いつか、君はHEROになる





 滝川の天才取得に気を良くしたせいでもあるし、その日は戦闘がないことがわかってもいたので、準竜師からの命令を受領することにした。つまり、降下作戦である。この戦闘は装備固定――あのばかばかしい重装備だ――のイベントではあるが、N.E.Pを一発放って戦闘終了というやり方にも飽きている。ここらで一つ、息抜きをしよう。敵の総数が20なら、ぎりぎりOKラインでもあるし……。
 作戦会議で電子戦仕様への変更は可決されているから、これが、突撃仕様3番機にとっての最後の戦いでもある。以後は、滝川のフォローに回るため、ジャミングが使える電子戦仕様のほうがよいだろうと思っていた。煙幕弾頭によるスモーク効果と合わせれば、十分なはずだ。敵の初期配置でどちらを優先して使うかを決めればいい。
 そうして、降下作戦も無事終り、翌々日――、それは起きた。




 2番機パイロット滝川の初陣である。初期配置で、2番機と3番機は、すぐ側にいた。電子戦仕様は、入力可能ステップが7と、機動性が非常に悪い。1ターン内で稼働させることができるのは、スモークかジャミングのどちらかになってしまう。幻獣の初期配置を眺めると、スキュラは2体、後はミノすけ、ゴルゴーン、北風ゾンビ、キメラの混在だった。この時期としては、普通の顔合わせである。
 とりあえず、スモークを放つことにし、その後、ジャミングにでもしておくか。まあ、N.E.Pが放たれた後は、敵は逃げ出してしまうのが常だから、2ターン目の戦いは、実際には存在しないに等しいはずでもある。滝川が掃討戦を傷なくやれるように、ジャミングが効いていればいい。




 さて、戦闘開始である。2番機は、異様に長い射程を示している。N.E.Pのせいだ。画面の端から端まで届くその距離、扇形の射角に敵を納めれば、障害物の遮蔽などおかまいなしに即刻消し去ることができる。
 滝川は一度に何体撃墜するだろうか? ふんふんふん〜と、鼻歌まじりで画面を見る。


 え? ちょ、ちょっと待てっ。おまえ、どこへ行くんだ!? 何やってるんだ? N.E.Pを担いで、移動してどうするっ。もっとも捕獲率の高そうな方向へ向きを合わせれば、それで済むことではないか? 移動して、射程を先延ばしにする必要なんか、どこにもないんだぞ〜〜〜!!


 驚く間もなく、N.E.Pは発動した。射程内に納めた敵は、当然のことながら、すべてが消え去る。
 オペレーターを勤める瀬戸口からの、無情なメッセージが出た。

 ――滝川機、ナーガを撃墜

 以上、おしまい。


 OVERS@芝村舞、茫然自失である。N.E.Pを使って、ナーガを1体撃墜しただけって、いったい……。ナーガなんて、いたんだ……。

おのれ〜、滝川〜〜〜。

 などと言ってる場合ではない。滝川が突っ込んだ周囲には、スキュラもいれば、ミノすけもいた。そして、2番機は、未央ちゃんの乗っているような重装甲ではない。スモークが発動しているから、スキュラは大丈夫にしろ、ミノすけはそうはいかない。これの近距離攻撃は――。
 真っ青になりつつ、1ターン目終了。
 先行入力のジャミングの末尾を消すかどうかは迷ったが、結局そのまま続行させ、幅跳びジャンプの繰り返しで前に出ることにする。と言っても、電子戦仕様の悲しさから、1つのターン内での移動可能距離がとても小さい。ステップ数が2つ違えば、JF1回分は少ないということでもある。
 そんなわけで、なんとか、ある程度の幻獣を把握できたのは、3ターン目だった。その間、滝川は――。
 N.E.Pを捨ててから、太刀を振りかざしてスキュラに向かい続けていた。1回の打撃力800程度である。ゴルゴーンの攻撃が当たり、「いてっ」などとほざいていたり、ミノすけの近距離攻撃を食らったりしながら――。


 ――滝川機、被弾によりパイロット部署の性能低下。神経接続故障、照準装置故障


 やめてくれ、瀬戸口〜〜〜。見たくないぞっ、そんなメッセージはっ。パイロットとしての初陣後の死体探しなんて、ごめんこうむる。
 もちろん、滝川が戦死する可能性は考えていたループではある。その場合に限り、リセットをする予定でもあった。が、それは、陰謀の犠牲でスカウトに飛ばされたときには、そうなることもあるかもしれないといった考えからだ。ま、まさか、無事パイロットになってから、そんなハメに陥るかもしれないなんて、想像外である。
 なんのために、前回ループの最終日、発言力を56000も使って、N.E.Pを発注したのだか、これでは意味がない。うち半分の発言力が無駄になっているというのに――。




 ぜーぜー言いながら、3番機がようやく敵の集合密度が高い位置へ入る。元から7ステップしかないから、さらにそれが減ってしまうような、楯など装備していないのだが、そんなことにはかまってはいられなかった。スモークをかいくぐったような被弾もする、それは仕方がない。それでも、降下作戦前に原先輩が徹夜で整備してくれているから、仕事性能値は1500オールオーバーとなっている。被害は、微々たるものだった。
 狙いをつけて、ミサイル発射――。とうてい、後方支援が主たる使い方なはずの、電子戦仕様士魂号とは思えない戦いぶりだ。その頃、ようやくスキュラを撃退した滝川は、次の敵目がけて移動しようとしていた。
 敵が撤退を始める。参加する気にもなれない、掃討戦。勝手にやってろ〜〜。




 4月3日終了。18体の敵を屠って大勝利な軍隊である。うち、2番機の撃墜数3、3番機は13体……。
 翌、日曜日に来須とプラネタリウムに出かけたのが、せめてもの慰めだったと思うことにする。月曜日は、アルガナ勲章の授章式だ――。


「お前……、幻獣を殺すたびに、人間じゃなくなっていくみたいでさ。……恐ぇよ」
 滝川〜〜、おまえにそれを言われたくないぞ〜〜〜。


 これから一週間後には、幻獣の大量発生がある。そのときまでに、滝川の戦い方をなんとしかしないと……って、これっていったいどうすれば?
 パイロットとしてコクピットに納めれば、それで済むと思ったら、大間違いだったのだ。N.E.P持ちとは思えない、この戦果――。これでは、司令に移動して、外部から誘導をかけたほうがいいかもしれない。
 途方にくれる、OVERS@芝村舞である。


 滝川って、N.E.Pの性能を無視するほどの特攻体質だったのか……!?




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