今週はこれを見に行こう(9月2週目)

『議事堂を梱包する』

監督:ヴォルフラム・ヒッセン&ヨルク・ダニエル・ヒッセン

クリスト&ジャンヌ=クロードについてのドキュメンタリー作品(96年)

国際交流基金フォーラム・赤坂

クリスト&ジャンヌ=クロードといえば、島のまわりをピンクの布で囲ったのが(83年)かなりインパクトありました。やることがでかい。先日ヤン・アルテゥス=ベルトランの航空写真展に行きましたが、それを思い出しました。今回はドイツのライヒスターク、旧帝国議会議事堂を、銀色の布とロープでがっぽり梱包する!というもの。そんな大建築を包もうという発想も驚きですが、それがよりによって議事堂ですからね。いろいろ、政治家の反対とかあって、大変だったみたいです。おかげで構想から完成まで24年。その様子を追ったのが、このドキュメンタリー。

芸術家VS政治家の争いが見られる!と期待して行ったのですが、激しい討論が基調な映画ではありませんでした。それより、クリストとジャンヌの人柄が素敵でした。顔が、表情がいいです。キリキリしてない、穏やかです。楽しいです。明るいです。カラっとしてます。そして、素敵なコンビなのです。いいな。自分たちがつくっていった作品を見て、美しい、と感動している。いいな。この映画の後味のよさや、爽やかさは、彼らをいかに記憶させようかという監督の業でもあったのでしょう。梱包された議事堂も、クラシックなんか流しながら優雅にじっくり撮っていて、それがとても美しいのです。

梱包完成後、その場を観客に解放します。日本みたいに枠で囲って作品を守ろうとするのではなく、実際に触れる。布サンプルも配付してて、広場ではみんな勝手にショーとかやってて、楽しんでいます。布をつくる工場で働くひとも、「こんなプロジェクトに参加できるなんて幸せ」とか言ってるし、なんだか楽しげな映画なのです。

ところで、このプロジェクトが構想されたのは、71年。まだドイツが東と西に分かれていた時代です。梱包するのが、なぜ議事堂か。なぜドイツなのか。そういうことも提起する映画です。また、資金はどうしたのかというと、国から助成金をもらうわけでもない、企業と提携するでもない、自分の作品をひたすら売り自力で製作費をつくりました。すごいですね。億単位ですよ。そういう、芸術家の自立性を問う映画でもありました。


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