こんにちは、ネタがないのです、今週は(といってもいつも週末の更新ですが)オリンピックの季節ということで、そのドキュメンタリー映画のご紹介です。見に行くのではなく、家でだらだら見る。上に挙げた3作品はちょうどBSで来週あたりかかるので、お持ちのかたは、是非。
これはリアルタイムにデジタルで送られてくるようなドキュメンタリーとは異質なものです。運動のダイナミズムをフィルムに感応させた、美しい「映画」。『東京オリンピック』も、当時これはドキュメンタリーなのか、映画なのか、とオリンピック協会からクレームがつき問題となりました。今私が思い出すのは、ロンドのように優雅に回転する車輪、それにかぶさる軽快なジャズ、まるで『幕間』でも見ているかのようなめまいです。ソール・バスがヴィジュアル・コンサルタントを担当した『グラン・プリ』(66/アメリカ/ジョン・フランケンハイマー)に、この映画の影響が顕著に見られるというのは有名な逸話ですが、もともとカー・レース好きの私にはメロメロな美品でした。あの増殖する分割スクリーンこそダイナミズムですね。かっこいい。うん、やっぱりこういう映画は映画館の大スクリーンで、スコープで見るのがおすすめです。
『オリンピア』のほうは、ドイツの美人監督(女優あがり)、レニ・リーフェンシュタールによるもの。彼女は山岳映画から出てきたこともあって、陽のひかりや朝靄なんかでドラマティックに演出しています。こちらも、水泳の飛び込みシーンの美しさなんかはほんと絶品。逆回転なんか使って編集してます。これじゃドキュメンタリーとは言えないや!ほんとうっとりするほど綺麗です。レニといえば一般的にナチ・プロパガンダ映画と言われる『意志の勝利』(34)を撮ったり、ヒトラーの愛人の噂もあって戦後いろいろ問題になったようですが、『レニ・リーフェンシュタール 20世紀映像論のために』(平井正)から引用すると「リーフェンシュタールの映画は非政治的で<美的>だったからこそ<政治の美学化>に役立った」んだそうです。ヴァルター・ベンヤミンのいう「美学の政治化と政治の美学化」の、後者ですね。云々。以下略。あ、レニ自身のドキュメント『レニ』(93/ドイツ、ベルギー/レイ・ミュラー)もおすすめです。
ファシズムはスポーツを軍事教練と結びつけたのでしょうが、ハンス・ヴィルヘルムの『戦争とスポーツ』(42)も、それはそれは美しくも可笑しい映画でした。こういうの大好きです。
ついでにパリ、冬期オリンピックの『白い恋人たち』(68/フランス/クロード・ルルーシュ)も素敵でした。あれもアイス・スケートでくるくる回るのを真下から捉えたり、競技以外のシーンもいっぱいあって、ドキュメンタリーとは言えません。まあ、完全なドキュメンタリーなんかないと思いますが、それはまた別の話。