私が増村+若尾文子にハマったのは、おそらく97年の、今は無き大井武蔵館で行われた「増村保造監督+若尾文子」特集でした。それまで『刺青』は見ていたのですが、それほど思い入れはなかったのです。(『盲獣』にはヤラれましたが、、)ところが、大井武蔵館でぼりぼりスナック菓子を食べながら見る大映スコープの艶やかさに、すっかり仰天。まず『「女の小箱」より 夫が見た』『妻は告白する』という、今思えば素晴らしいブッキングの回のあと、『卍』、そして『赤い天使』を見たのです。どれもこれも増村作品の中で特出している名作、怪作ですよね。若尾文子のほとばしるパッションにも圧倒されましたが、レズだとか、戦争問題で触れてこなかった性生活を題材にしながらも、非常に上品に仕立て上げられている演出に陶酔を覚えました。ここから、私の若尾文子好きと、大映好きが本格的に始まりました。
私は、和服の若尾文子が好き。若尾文子の不機嫌で荒っぽい口調が好き。嫉妬のあまりみっともない格好でじたばたする脇役が好き。想いが熱すぎてフィルムにねっとりとこびりつく彩色が好き。影の中から浮かび上がる瞳と骨格が好き。ヒロインたちの視線が好き。裏切りが好き。崩壊が好き。
今までもちょこちょこ特集されていましたが、今回のような大大特集は私にとっては初めて。未見のものが多かったので10回券を購入。残念ながら若尾文子トークショーには入場制限で入れませんでしたが、この機会にたくさん見れてよかったです。やっぱり、増村作品の中でも、最後まで傑作なものと、わかりやすさが度を過ぎた凡作があって、こうも違うものかと思いました。もしかしたら増村は下手なのかもしれない。それが、たまたまいい脚本と、体当たりの演技と、イタリア帰りの信条が上手く噛み合わさったときに、私たちに忘れがたい映画を生むのかもしれない。
▽▽▽見たもの▽▽▽
『積木の箱』『最高殊勲夫人』『青空娘』『偽大学生』 『氾濫』『濡れた二人』『妻二人』 『爛』『清作の妻』『大悪党』『女帯』『大地の子守歌』