染織
読書帖染織に関わる書籍・雑誌を「きもの」「東南アジア」「西アジア」等のテーマ別に紹介します。雑誌の一部は古本屋で購入したものですが、その他は基本的には図書館で借用できるものです。
紹介文の最後の( )内の数字は、いしぐろあつこが読んだ時期です。過去に読んだものも含め、随時更新します。
●きもの●工芸●東南アジア●南・西アジア●雑誌
染織読書帖 きもの
琉球布紀行 著者/澤地久枝 出版社/新潮社 初版/2000年12月20日 ノンフィクションライター・澤地久枝が、2年間の沖縄暮らしの内に、奄美から与那国まで、布作りの現場を訪ねた旅記録。沖縄の布としては、芭蕉布や紅型がよく知られているが、その他にも昔から糸つくりから染め・織りに至るまで、すべて手仕事で行われた地域ごとの布がある。何よりも大きいのは、太平洋戦争で日本で唯一、地上戦に見舞われ、すべてのものごとが壊滅状態に至ったところから、復活を遂げていること。澤地久枝の堅実な文章が、ゼロあるいはマイナスから布づくりを立ち上げた人々の地道な道のりを伝えている。
紹介されている布は以下の通り。
○首里の紅型○読谷山花織○奄美大島紬○久米島紬○宮古上布○芭蕉布○八重山上布○琉球藍○与那国織○琉球絣○首里織 (2001.2)
日本の銘随筆 別巻58「着物」 著者/鶴見和子 編 出版社/作品社 初版/1995年12月25日 昭和のはじめから現代に至るまで、さまざまな人々が着物について書いた随筆を鶴見和子さんが選っている。祇園の様子を描く舞踊家・武原はんの「元旦」、一流の西洋文化を身につけた育ったことが逆に着物への関心を開かせた白洲正子の「きものが好きになるまで」や、最近では中野翠、林佳恵、上野千鶴子など、各方面からの38編の文章。着物を取りまく時代の様子や意識がわかり、社会風俗史でもあり、個人史でもある面白さを持っている。(1999.11)
染めと織りと祈り 著者/立松和平 出版社/株式会社アスペクト 初版/2000年3月29日 雑誌「美しいキモノ」に連載された、立松和平氏の日本布紀行。日本各地で活躍している若手の染織家たちを訪ねる旅だ。親の代から引き継いだ人、都会の近くで独自に進めている人、後継者を育てる講習会など、布に携わる人々の多彩さを知ることができる。またそれぞれの技法をほんの触りだけだが得ることができる。
ドキュメンタリーのナレーションで立松氏が聞かせる思い入れの深い語り口が文体にも現れているが、染織技術の入門書として興味深く読むことができた。
紹介されている地域は以下の通り。
「川平織(石垣島)」「大島紬(奄美大島)」「阿波藍」「草木染(東京)」「黄八丈(八丈島)」「京友禅」「加賀友禅」「江戸小紋(群馬県)」「裂織り(佐渡島)」「越後上布」「結城紬」「みさやま紬(松本)」「みんさー織り・八重山上布(石垣島)」「南部紫根染(盛岡)」「出雲絣」「植物染め紬織り(宮城)(熊本)」「紬織り(川崎市)」「越前竹紙帯(福井)」「古代紙布織(米沢)」
(2000.4)
きもの自在 著者/鶴見和子 出版社/晶文社 初版/1993年12月15日 南方熊楠研究で知られる社会学者の鶴見和子氏は長年、着物で生活している。女史の着物との関わり合い方や、コレクションを紹介している。
若い頃からアメリカに留学し、時代の先端に触れて来た女史は、「日本人には着物が適している」ときっぱり語る。「魂のよりどころ」とも。確かに今の世の中は、着物は大変なもの、窮屈なものと一方的に思いすぎているんじゃないだろうか。気持ちがしゃっきりとしてくるのは、経験の浅い私でも感じつつあることだ。
とはいえ、絣や紬の地味な着物をきりりと着こなす美しさは、長年の経験の賜物。アジア各地で求めた布、贈られた布を帯に仕立てており、布との出会い、異国文化との出会いも楽しんでおられる。
女史は数年前に倒れて現在リハビリ中と聞く。着物姿はままならないけれど、それでも羽織などを着て暮らされており、自由に着物を着こなす意識、健在である。
(1999.6)
玉緒の「着物」の喜び 著者/中村玉緒 出版社/光文社 初版/2000年4月25日 バラエティ番組で大活躍の玉緒ちゃんである。実は歌舞伎俳優(二代目雁治郎)のお嬢さんで、若い頃は時代劇で市川雷蔵サマと多数共演している女優でもあるのだ。京都生まれで小さな頃から着物に親しみ、現在、着物のデザインも手がける玉緒ちゃんが語る着物との日々である。
俳優が楽屋でどんな着物を着てすごしているのか、あの大女優はどんな風に着こなしてい
るのか、現場を知る玉緒ちゃんでないと書けない話題が豊富で飽きさせない。彼とホテルに行って、帯が結べなかったら、コート着て帰ってくればいい、とはなかなか大胆。「着物研究家」のお歴々ではなかなかこうは書けないでしょう。
お祖母さん、お母さんが持っている古い着物に目を向けようと何度も繰り返しているので、古着ファンが増加につながるか・・・。
(2000.5)
きもの歳時記 著者/山下悦子 出版社/平凡社ライブラリー 初版/1998年4月15日 きもの学院など長年きものに携わる仕事を続け、自身も日々きものを着て暮らす山下悦子さんが1月に「晴着」、8月に「絽縮緬の長襦袢」というように、きものと四季の関わりをまとめた作品である。一つ一つのエッセイには、自身の経験もあり、染織の技について述べたものもあり、また歴史に関わるものもある。いずれにしてもきものについての豊富な知識によって紡ぎだされた文章たちだ。
「三筋格子の太縞」「太い吉原輪つなぎ」(いずれも7月“祭とゆかた”)と書かれてもグラビアがないので、ちと想像に難い部分はあるが、きもの好きになるに従ってそれらの理解も進むだろう。つまりきもの好きならば傍らに置き、何かにつけて読み返したくなる、そんな一冊だ。(1999.11)
※この他の山下悦子さんの著作※
「きもの知恵袋」平凡社/
こちらはきものの種類(振袖、羽織、浴衣)や
染織種類(紬、友禅)、小物種類(丸帯、八掛)別にテーマを決めてまとめたエッセイ。
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