ギャラリー見て歩き

「東京で見られるアジアの布たち」などでご紹介した展示会に私も足を運んでいます。“こんなものを見せて・聞かせていただきました”をご紹介します。
2004年2月1月2003年
※11月、7月は更新をお休みしました。


OZONE布づくし展〜日本の世界の布が集う4WEEKS〜
場所dリビングデザインセンターOZONE (東京・西新宿)
2004.2.8

日本の染織作家作品と、ギャラリーかんかんオーナーである小川圭さんプロデュースのアジアの布コレクション、それから若きクリエーターの作品展の3本立て。OZONEのフロアをフルに使ったイベントである。
日本各地の手仕事を今に伝える染織作家展は、200点もの作品が結集。そのほとんどが帯であり、着物になるもの。私自身は作家作品を買い求めることはほとんどないけれど、でもこういう人たちが伝統を守ってくれるから、今も着物が着られるんだと思う。目にも鮮やかな紅型。素朴な図柄がやさしい久留米絣や琉球絣。「かわいい〜っ」と思わず叫んだ音符柄の十日町紬などなど、やっぱり着物は着物として着ようよ。
吹き抜けの空間を活用して、天井から吊した着尺の数々は圧巻。12mもの着尺が上手に組み合わされ、仕立てられて一枚の着物になるんだ。その意味でも、訪問着として染められたものは、絵羽に仕立てられたところを見たかった思いも。「布」としてだけでなく、「着る」視点も欲しかった。
アジアの布コレクションも、ジャワ更紗やイカット、ラオスの紋織り、インドのミラーワークやパトラなど盛りだくさん。フィリピンの木綿やマニラ麻の布が多いのも印象に残った。すでに形としてできあがったスカートやズボンもあったが、やはりこちらも「着る」視点が欲しい。トルソーにバティックを巻き付け、ヒダを取ることや、バギソレ形式の柄の2面性を見せてもよかったんじゃないだろうか。
リビングデザインセンターOZONE HP


白州次郎・正子邸「武相荘」
場所d武相荘 (東京・町田)
2004.2.15

コピーライター・仲畑貴志の骨董狂いのエッセイを読んでいたら、仏像を見に行きたくなった。しかし、奈良・平安あたりのものを見たいなんて考えても、首都圏ではすぐにお寺が浮かばない。ん、エッセイの中にあった、鶴川の白州正子邸「武相荘」はどうだろうと思い、早春の温かさを感じる休日、小田急線に乗った。
古い農家を改装して、昭和18年に移り住んだというその建物は、大きな茅葺き屋根を持ち重厚感たっぷり。折しも、紅梅が見頃。2年前のオープン時期は、雑誌などによく紹介されていたが、一息ついたところだろうか。そのたたずまいをゆっくり見やることができる。
建物内は、書斎、居間などが往時のままに残されている。その中にコレクションしていた骨董や着物などが展示されている。仲畑氏も5客組の1つを持ち、興奮して正子さんに見せたという志野焼の盃もある。仏像のコレクションは飾られていなかったが、私の目を引いたのは、居間にあるじゅうたん。やはり私はここにハマる。
祇園祭の懸装品にも使われそうな、緋色のメダリオン的な柄のものだが、本来、花と蔓で表されそうな図柄に獅子や虎などの動物が印されている。なかなか珍しいものではないだろうか。これが見られただけでも楽しい。
それにしても、昭和18年のこのまわりはいかばかりだったのだろう。正子さんは銀座の「こうげい」へ、次郎氏は実業家として務められていた都心の会社まで、ここから足を伸ばしていたのだろうか。街とこの森とも言えそうな一帯との大きな隔たりを感じる。
それは建物を後にした時、はっきりと感じさせられる。宅地化がすぐそばまで迫っているこの一帯。武相荘のすぐ隣は、同じ表情をした一戸建てが敷地いっぱいに建ち、坂を下りたところにはユニクロ。いろいろなものの価値観を感じさせられる武相荘散歩だった。


TOP

All copyright by Atsuko Ishiguro