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「東京で見られるアジアの布たち」などでご紹介した展示会に私も足を運んでいます。“こんなものを見せて・聞かせていただきました”をご紹介します。
●2003年10月●9月●8月●6月●5月●4月●3月●2月●1月●2002年
※7月は更新をお休みしました。
友禅楊子糊 山田忠夫作品展
場所dシルクラブ (東京・沼袋)
2003.10.12楊子糊は江戸時代の初めの頃の技法で、竹べらにすくった糊を操って、指先にすべての感覚を集中させて絵を描いていく。糊置きの妙だけで描くから、その後、絵の色づけはほとんどされない。布地の染め色と、糊を置いて防染された部分の白抜きだけで、竹や梅が描かれていく。
その後、江戸中期以降になると、お菓子づくりのクリーム絞りに連想されるような筒描という技法が開発されて、それが一般的になっていく。江戸前期頃の布地は、劣化などによりほとんど残されていないので、美術館が所蔵する小袖なども楊子糊で描かれたと断言できるものは少ない。そもそも、今、その技術を伝承する人がごくわずかだから、描かれた線を見るだけで判別できる人も少ない。
そんな天然記念物のような技法。しかも明治に廃れた後、長く眠っていた技法。それを復活させたのが、今回の展示の山田忠夫さんのお父様だ。見る側、着る側は、美しくあれば、そんな手の内を知ることもないのかも知れないが、いや、過剰な演出を抑えた描線だけの美は、その高い技術を知ればさらにいとおしく思えるはず。その集中力と緊張が、竹には風に騒ぐ音を、水には流れを、梅には香りを感じさせる。