[駅弁の誘惑]

「誘惑」?

 そう、「誘惑」なのである。

 国内を隅から隅へと旅しはじめてから、はや10年以上の年月が過ぎた。

 もともと飛行機がそれほど好きではないのと、遠くへ行くときには時間をかけたほうが、 その到達感はさらに高まる、との思いから、移動の際にはほとんど汽車、バス、 船などを使って地べたを這って移動していた。
 そして、その移動方法は、必然的に、 鉄道、すなわちJRを利用することになった。

 すると、行く先々の乗り換え駅で、山と積まれた駅弁に出合うことになる。

 最初は移動にかかる時間を短縮するために、食事を電車内で済ませられれば、という思いで駅弁を買っていたが、各地の名物や名産に引っかけた駅弁はおいしいものが多く、やがて、気に入った駅弁の掛け紙を、せっかくなのでと記念に持ち帰り始めた。

 当初は、味や見た目が印象に残ったときにだけ持ち帰ると決めていたのだが、 いつのまにやら、買った駅弁の掛け紙は、そのほとんどを持ち帰るようになってしまう(汗)。

 そして、さらにエスカレートする。

 

[本末転倒!? の展開]

 食事用なのだから、1個買えばよいものを、山と積まれた多種多様な駅弁を目の前にすると、せっかくこんな遠くまで来たのだからと、2つ買ってしまうこともするようになってしまった。

 だから、乗り換え駅で駅弁売り場に出くわすと、 まるで妖しい光に誘われるようにふらふらと近づくことになる。

 これが、つまり「誘惑」なのである。

 たしか一度だけと記憶しているが、どうしてもこれと決めきれず、同じ箇所で駅弁を3個買ったこともある。 理由は、ただ、ただ掛け紙欲しさ(滝汗)。

 こうなると、まるで、「ライダーカード」欲しさに、「仮面ライダースナック」は買うものの、 中身は捨ててしまうという行為と、大差はない。

 まあ、それでも、最後の一線として、食べずに捨てるということだけはするまいと思い、 それだけは信念を通し続けている。

 そのため、移動中の昼ご飯どころか、夕ご飯や、ひどいときには翌日の朝食になったこともある(激汗)。

 単に意地汚いだけだろ、と言われてしまえば、それまでだが(苦笑)。


[愛すべき掛け紙たち(^^)]

 このように、いつのまにやら本末転倒しているのだが、それでもいつのまにやら、掛け紙が集まってしまった。

 旅先で写真を撮ると、意外に自分の記憶に実際の景色が残らないと気づいてから、 自分の頭脳にきちんと記憶させるために、旅にはカメラは持っていかないというポリシーを25歳のときから持っているため、 当然ながら、駅弁の中身の写真はない。したがって、私の旅先の写真は、ほとんど存在しない。

 だから、この掛け紙は、私がそれぞれの土地に行ったという貴重な軌跡を示すものともなっている。


[選定について]

 ただ掛け紙だけを並べるのも芸がないので、私なりのコメントをつけさせておいただくことにする。

 ただし、食べ物ということで、やはり味についての感想を書くことになるが、 この「味覚」とやらは、人によってさまざまなことと、なかなか言葉で表現しにくいこともあって、客観的な評価難しいと思う。

 また、そのときの私の体調や、空腹の具合、あるいは、その弁当をつくるときの条件 (好素材が入手できたか、作り手の担当者が熟練者か初心者か、駅弁ができてからの時間経過)などによっても評価は変わるので、あくまでも参考という程度で認識していただければ、と思う。


 なお、ここで区分けしてあるのは、自分の記憶にはっきりさせるために、自分なりのランキングをつけたものであり、そのランクづけにしても、すべてのものを同じ条件のもとで、いっせーので比べたわけでは、もちろんない。

 だって、日本全国すべての駅弁を食べたわけではないのだから(笑)

 したがって、たまたま私が手にした駅弁たちが、その対象であり、味やその他の判断基準は非常にあいまいである。

 もちろん、私の中でははっきりとしているが、 一般的にはなんら根拠になりえないものと言えよう。 そこのところはお汲みとりいただきたい。