相変わらずマスコミでは、アラスカのエスキモーの人たちを何の躊躇もなく「イヌイット」と呼び続けています。 「エスキモーは侮蔑語なので『イヌイット』と呼ぼう」いつの頃からかカナダ式の考え方がそのままアラスカの人たちにも使われるようになってしまいました。
「『エスキモー』、アルゴンキン(Algonkin)インディアンの言葉で『生肉を食う輩』という意味である」、というのが一般的な説ですが、「よその土地の言葉を話す」という意味だという説もあります。また、フランス語が語源であるという説もあります。
「『生肉を食べる人たち』という表現は侮蔑である」、という考え方は、西洋的な偏った考え方ではないでしょうか? 生の肉を食べる、すなわち調理をしないということは文明が遅れているということか? そんなことはないでしょう。日本人は生の魚を好んで食べますし、西洋人は生のカキが好きではないですか? エスキモーの人たちも調理はしますし、火を通さないものばかり食べていたわけではありません。 肉を茹でて食べることは以前から行われていた行為です。有名なグリーンランドの「キビアック」、これはアザラシの腹の中に、アッパリアスという海鳥を詰めて石の下で熟成させたもの。このサイトでも紹介している「アクトック(エスキモーアイスクリーム)」や「ミキアック」も調理された食べ物です。
「イヌイット(Inuit)」とは、グリーンランドからカナダ東部にかけて住んでいる、いわゆる「東エスキモー」の人たちの自称であり、これが西カナダの場合「イヌンムアーリート(Inunmmaariit)」、ここで取り上げているアラスカ北部の人たちは「イヌピアック( )」、アラスカ西南部に住んでいた人たちは「ユピック(Yup'ik)」になるなど、さまざまな自称を持っていました。このうち、「イヌイット」と自称する人たちは、いわゆる「エスキモー」全体の6割未満です。
言葉の面から見れば、このサイトで扱っているイヌピアックエスキモーの人たちも「イヌイット語族」と言われる言語的には同様の民族であるため、「イヌイット」と読んでも間違えではないのですが、実際問題として、アラスカのイヌピアックの人たちは、自分たちのことを普通に「エスキモー」とは言いますが、「イヌイット」とは決して呼びません。 「私たち、イヌイットじゃないのに」と言っていることさえ聞いたことがあります。
アラスカのエスキモーの種族で「ユピック」という人たちがいます。彼らは言語的にはイヌイット語族ではないため、彼らのことをイヌイットというのは明らかな間違えです。それでも日本のマスコミは「イヌイット」と呼んでいる場合があります。ユピックの人たちがこれを聞いたら、どう思うでしょうか?
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