その4:オランダの朝
9/12、ということになる。朝 6時すぎに目が覚めた。
食事まで時間があるので、お茶をいれる。旅先では、時間がありさえすれば、お茶を
いれては飲んでいる。そんな日本から何千キロと離れたところでさえもお茶を飲まず
にいられないのかと言われれば、「いられな〜い!」と大声で言おう。
もちろん、緑茶である必要はない。紅茶でも何でもいい、とにかく温かい飲み物を
部屋で飲めさえすればいいのである。例えば英国だったら、我々が泊まれる程度の
ホテルにも部屋に湯沸かしポットとカップ、茶葉が置いてあるから、道具を
持っていく必要がない。
ところが、これがパリやローマだとカフェを利用することになり、外に行かねば
ならない。外ではくつろいでいるようでも、限界というものがあるではないか。
で、出かける前日には私はせっせと「お茶パック」にお茶を詰めることになり、
外国の電圧でも大丈夫なポットを荷物に入れることになったのだった。
畳や布団は関係ない。ご飯も、関係ない。ただ、温かい飲み物だけが欲しい。
ホリデイ・インなるホテル・チェーンがあって、それはアメリカ人が旅先で困ら
ないように作られたとなにかで読んだ。ローマでもエジプトでも、外を歩いて
いる間は旅情を味わう。ただ、ホテルに帰ればそこはアメリカ、自分の家にいる
のと同じようにくつろげる、それがホリデイ・インだという話だ。
こういう話になると、アメリカ人ってエライと思ってしまう。例えば戦争時なぞ、
ずっと新鮮な素材が地元で手に入るのに、米軍ときたらアメリカの食べ物をわざわざ
戦場まで運ぶのだそうである。理由は、ホームシックになると兵士の士気が落ちる
から。
海外において根性だけで旅行しろと私に言うなら、その人は結局旧日本軍の世界を
受け継いでいることになる。まあ、そういう人はそういう人でガンバレばよろしい。
しかしそうなると逆に、日本版ホリデイ・インが外国にあってもいいのにと思う。
朝からゴハンに味噌汁出してくれて、ご飯には漬物が必ずつくホテルが、何故
エジプトやギリシャにないのか。多少お高くいただいて、畳に布団、そしていっそ、
仲居さんつきのお部屋を用意すれば・・・。
アテネの遺跡を遠くに眺め、コーランを聞きながら露天風呂ってのもいいのでは
ないかと思うが・・。もちろん、旅の不自由さも旅情というもので、逆にそんなのが
あったら旅先での緊張感を維持するのが難しいのかもしれない。
何の話だったか。外国でもお茶を飲むという話から、脱線した。
そんなわけで私達は朝のひとときを緑茶で過ごしていたわけだが。偶然、TVに
JAPANの文字が映り、次にはNAGOYA の文字が映った。言葉がわからないながら、
どうやら名古屋で大水害が起こり新幹線も何も停まったということがわかった。
新幹線の中で疲れて横になってぐーすか寝てしまった若い彼女は、全世界にその姿を
知られたことを知っているのかどうか。ま、知らない方がいいだろーなあ。
私達に関係あるとしたら、当の名古屋から飛び立ったということであり、
そこに帰るのだということだ。すごい。出発が
1日遅ければ、私達はここにも
イタリアにもいなかった!!帰る頃には水は多分、ひいている。そんだけ〜。
朝食に行くと、昨日の中国人男女の給仕がいて、「ぐっもーにん!」と声をかける
と、敵さんもにっこり笑い、手元にある大鍋を指差し、これをどうぞという仕種を
する。見たら、なんと白粥が。その向こうには中国のお漬物っつーか、粥用の
お惣菜が。ここって本当に、オランダはアムステルダム!?
日本人か?と敵さんが聞くが、ええ、そうなんだけど、お宅、ご出身は?なんて
話しをきっちりしようにも筆談用のペンがない。敵さんは中国語でペラペラと
しゃべる。好意に対して返答のしようがないのがかなしーーーーいいっ!!
遠慮しつつも遠慮なく白粥を食べる。それにしても、何故こんなところにこんな
ものがあるのか。これは彼らの朝食なのか。私達は彼らの食事をもらっていること
になるのか?昨日はこんなのはなかったところを見ると、なんか別の事情があるの
かもしれず??
悩みながらも熱い粥をうれしくすすっているうちに、部屋に頭の黒い人々が
入ってきた。つまり、こういうことだ。彼らは中国人のツアーで、朝食には白粥が
約束されていたのである。私達は、かの中国人従業員たちの一存により、彼らの
ための朝食をかすめ取ることを許されたのであった。たとえ彼らの懐は痛まないに
せよ、これって悪かないではないか。いや、うれしい。
中国人ツアーのおじさんたちは、ポットを持って来ていて、従業員からお湯をもら
っていた。ポットの中には茶葉が入っている。彼らはそれを飲みながら旅を続ける
らしかった。中国人は生水を飲まないから、たとえ売っているものでも生水は生水、
彼らにとっては生活習慣として、飲めないのだろう。
温かいお粥を食べるだけ食べ、お礼を言って部屋に帰った。
予約しといたにしてはタクシーは遅れたが、BMWのタクシーはとばしてくれて、
そこそこの時間に空港に着いた。
今度は免税品なんてのは見てる暇なく、飛行機に乗ることになった。
飛行機は、座席がAからFまでしかないやつで、3列づつ。北ヨーロッパから
南に飛ぶ、この路線の何が楽しみかと言って、アルプスを越えるということだ。
よく晴れたということもあり、眼下には、真っ白く雪に覆われている、アルプス
が見えた。よしよし。
午前12時半にはミラノ、マルペンサ空港に到着。