その1:金沢からオランダまで

  9/10、朝 5時に起床、6時 5分の金沢発「しらさぎ」に乗る。
「白鷺」は金沢から白山の足元をまわりこむような形で福井を通り、米原に抜け、
名古屋に至る。金沢から関西空港はちと遠いので、今回は名古屋から行くことに
したのであった。夫が。

  遠くに見えた山が近づくにつれて、霧が出て来た。
山に霧がまとわりつく風景は、私にとっては物珍しい。それでうれしくなっていると、
夫が「霧の中にはサイとゾウがいる。・・・きりがくれさいぞう。」
そして、「タンスでもいいかもしれないな・・きりたんす。」
敵さんは上機嫌だった。

  休暇がとれるかどうかわかるのが、2週間前である。仕事をしながら手配の為に
一人で走りまわって、やっとここまでこぎつけたのだ。上機嫌でなくてどうしよう
かというものである。変なシャレの2つや3つ、出て来ない方がおかしい。多分。

  名古屋駅から、空港までバス。途中、「手羽先から揚げ」の大きな看板を見る。
言われてみればそんな食べ物もあったと思わされる。しかし、これから空港に
向かおうという人々に向かってそんな看板を出してどうしようというのか。
ミラノで手羽先のから揚げを食べろとでも??おいしいかもしんないけど。

  離陸 1時間前に、空港到着。そんな時間でいいのかと思われるかもしれない。
個人旅行であるということもさりながら、GWでもなく盆正月でもなく、おまけに
名古屋空港から行く海外、となればこんなもんである。その証拠に、免税品を飽きる
まで眺める時間まであった。

  それだけではない。チェックインを済ませようとしたところで、自分たちが乗る
べき飛行機が札幌を中継することがわかり、呆然とする時間までもあった。
手配をした夫は、「誰も何も言わなかった、第一載ってなかった!」とまで言うの
だが、飛行機の運行表を見、インターネットで空席状況を見るような奴に言うには、
それは初歩中の初歩だったのだろう。良くある話だよ、君い。

  そして、今更何が出来るというのか。乗るしかないやんけ。名古屋から千歳まで、
1時間 20分。だからって何のおもてなしもしないわけにはいきませんし、という
わけでか、サンドイッチと飲み物が出た。

  それにしても、オランダに行こうとして、札幌の土を踏んでしまうとは思わな
かった。なんと貴重な体験をしてしまったことか。惜しむらくは珍しくはあっても
自慢出来るような内容ではない、ということであった。

  乗り継ぎ用の待合室にも売店はあって、北海道土産が並んでいる。しかし、
名古屋の「手羽先から揚げ」の看板じゃあるまいし、だからってどうすりゃいいのだ。
最初からわかっていさえすれば「らっき〜!」で済むという証拠に、周囲の人々は
それではとばかりにその地ビールを飲んでみたり、お土産を買ってしまったり、
携帯電話で 「あたしー。今、千歳ー。」なーんてやってる人もいて、今にして思えば
いっそ見習った方が早かったかも。これこそが、「楽しむ」というやつだ。

  もう一度飛行機に乗る。名古屋から一緒だった隣席は西洋人の青年である。
別に名古屋から国際線に乗るからってそこに住んでいたとは限らないが、何故なのか
と素朴な疑問を持ってしまう。彼は日本語を話さない様であるが、これが不思議で。

  東京ならともかく、金沢的思考回路としては、外国人は日本語を話そうとして
当然、である。でなかったら、何の為にいるのかわからないからである。その証拠
に、うちの近所でシャム猫を散歩させてた西洋女だって、こないだ地元誌に和服着て
登場し、大樋焼きの窯元と金沢の茶室をテーマに対談していた。
例が極端かもしれないが、ま、金沢にいる外国人は、似たりよったりである。

  2時に飛行機は千歳の地面を離れた。これから10時間半、距離にして 8600km
の旅を始める、と飛行機のビデオ・モニターは教えてくれた。
14:45、シベリアの大地の上に入る。15時頃、食事が出る。鶏肉丼みたいなやつ。
夫の方は洋風と言ったが為に、火が通ったり通ってなかったりするような、つまり
固かったりやわらかかったりするようなパスタだった。

  20時頃、アイスクリームかカップヌードルか、という変な選択を迫られた。
私達がカップヌードルを食べてる横でアイスクリームは嫌だと思ったのか、それとも
けっこー好きなのか、隣の西洋人もアイスクリームと言おうとしてカップヌードルに
変更するのだった。それはいいんだけど。音がしないように御行儀良く食べやがる。
こいつはやはり素人だ。通なら、日本人より派手に音をたてるはずだ。
・・・しょうがないので、素人に合わせる私達だった。食った気がせん。

  22時頃、朝食らしきものが出る。それが、パンケーキとクレープの中間くらいの
厚さの何かに、良く分らない食べ物がはさまっていて、その上にリンゴを煮て
カレー粉をぺぺっとかけたようなものが乗っかっているというものだった。食べ物の
うまいまずいをその言葉ではっきり言うのはいかがなものかと思ってはきたが・・
ええっとまあその、珍味ってやつかな??私にはついていけなかった。

  00:25、現地時間でいうところの 17:25 にスキポール到着。

  ツーリスト・インフォメーションには何人かの人がホテルを求めて並んでいた。
私達の番になったが、これが2泊連泊となると全然とれない。やっとアムスでとれ、
やれやれといいながらタクシーでホテルに向かった。3つ星ホテルだが、ここは
高いよといわれたが、その時はなんのことだかわからなかった。

  到着してわかったことは、なるほど高いということだった。
高いったって、東京の水準からすればなんてこたないのだが、狭いのはともかくと
しても、古くはないが、そこそこにキタなく、なお素っ気無い。素っ気ないとは
何かと言えば、椅子がパイプ椅子であったりすることだ。設備そのものは 3つ星
だから悪くない(つまり風呂、トイレ、TV、クローゼット、タオルにセッケン
なぞが部屋に備え付けてある)し、お湯もちゃんと出るのだが。

  だが。疲れているし、大体がとこ眠ってしまえば見えやしないのである。ふふん。
ということで1分後には納得、「夕飯食べにいこう!」しかしここはアムステルダム
でも郊外にあたり、基本的になーんも、ない。結局、来るときに私の目に入った
近くのカフェ・レストランで食事。ビール1杯3ギルダー、大体150円と聞けば安い
ような気がするが、これがホントのグラス1杯。200ccあるかなきかの。

  夕飯ったって、そんなにお腹すいてない。私はカルパッチョで、夫はウィンナ・
シュニッツェル。「前菜」の中に、チーズ2きれ、というのがあったが、彼らの1きれ
とはどれくらいなのかと悩む。

  私は以前、ブルーチーズのサラダというのを同じアムスで食べたことがあるが、
そのときは野菜の上に日本で売られているくらいの大きさのブルーチーズがどでんと
乗っかってきた。あんな恐ろしいもの、二度と食べたい。しかし、チーズが2つだけ
ド〜ンと素っ気無く皿にのっかってきたら・・。それで「前菜」の真の目的をとげる
ことが出来るのか?過ぎたるは、ということになるのではないか。

  というわけで、前述の通りの食事をし、おとなしくホテルに帰って寝た。