古家庭園 その1
家を引き渡してもらってすぐ蒔いたのが、ルッコラと枝豆とニガウリであった。
古い物置をとっぱらったおかげできれいに空いた北側のスペースに、肥料も石灰も
ざざっと適当にやって、とりあえずはせっかく手に入れた地面なんだから、無駄に
月日を送らせてなんかやるもんか、という寸法。
あちこち掘り返していくことで、園芸好きだったという、亡くなったおじいちゃん
と親しくなっていく。それは掘り返すと出て来る鹿沼土であり、石の少ないこと
であり、実に掘り返し易い土であること、などで。これは、受け取る為には、資格が
要るという遺産だった。
庭が本格的になるのは来年春からなので、今は過渡期なんですと言えば
言い訳になるのだろうか。和風の庭にヒマワリがぽつぽつと咲き、ツツジの
横にバジルや大葉が植えてある、という状況が、言い訳のモトなのだが。
過渡期そのものなのは、切った枝があちこちに転がってるということであり、
それが南の庭では、撲滅中のササの根だったりするわけで。除草剤を使ってはいて
も、一応、根は掘り起こしたいし、でも一度には出来ないので、庭、穴だらけで
でこぼこである。
切りたい樹木は沢山あれど、問題は、いずれの樹木も目隠しとしても機能している
ということである。切るなら切るで、別のそれなりの樹木を用意しなければならない。
さて、何にしたらいいのか。樹形、もそうだし、成長の早さ遅さ、いずれなるだろう
大きさも考えなければならない。
しかし、だからなんだというのか。それでお金をとるわけじゃなし、どんな
無茶苦茶をやってもいいのである。とりあえずは空いてる地面を頼みに、好きな
ものをどかどか植えていこう。失敗したら切ればいい。いつだって、怖いのは
成功の方なんだよ。ふふん。←自分ながら良く言うわい
私の庭は、畑でないところも「畑」になるはずである。
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折り良く国華園のカタログが届いている。ここの球根は、安い。
今ではそのへんのホームセンターでも十分安いが、ホームセンターは配送してくれな
かったりするので、結局はここから買うことが多い。よく贈り物にも使った。
妹は、ここの果樹を買っては実家に送っているらしい。静岡の実家にも都内の
妹のところにも、川崎の私のところにも同じカタログは届いて、3軒でそれをモト
に話をしている。よそではもっと安いのがあったの、いや、品質が問題だことの、
どうせなら10本買ってしまえのと、エライ騒ぎである。
共通の資料はあった方がよい。パソコン通信でも、私はそれをもくろんだことが
ある。それがカタログであると、特定業者とのナントヤラ、みたいな世界を想像して
しまうかもしれないが、その頃はまだインターネットが普及してるわけでなし、
全国版で、どんな初心者でもひょいとめくって、「ああこれか」とわかる資料が必要
だと思っていたのである。なんたって、ここのカタログはタダだった。
タダであるばかりか、「お友達紹介ハガキ」なるものまで付いてきた。
これに誰やらの住所氏名電話番号を書いて送れば、そちらにもカタログがタダで
届く。てなわけで、パソコン通信では、「お友達紹介ハガキ・チェーン」というのが
出来た。皆、カタログが届くと、それについているハガキを使って次の希望者を
紹介したものである。(今だとちょっと物騒な話かもしれない。)
ただ、それで国華園ボロ儲けかと言えば、それだけで話は終わらず、パソコン通信
の俎上に乗っかるからには、全国版で「苗がいまいち」だことの、「クレーム対応も
しょーもない」だことの、そういった話も出ることになった。フェアな話である。
だが、思い出の共通テキストといえば、Thompson & Morgan のバラクラ版
カタログだ。あれが出ると聞いたときは喜んだが、現物がアレだったからである。
下手に日本語になってるだけで、内容が英語のまんまだったから。M先生なんぞは、
「こんなことだろうと思ってました。(^^;)」と書いてくれやがった。
当のM先生を含め、見かねてチェーンに参加してくれた人達の、経験に基づいた
「意訳」の交換は素晴らしいものだったが、パソコン通信も知らず、ただ、日本の
カタログのようなつもりであれを見た人々にとっては、何がなんだかさっぱり
わからなかったに違いない。
結局は、「自分がくだくだ批判してもどうにもならないなら、使えるところを
使い、許せるところとだけつきあって行く方が早い。」と考えるしかなかったが、
だからこそ、翌年のバラクラのカタログに出した、ケイ・山田の挨拶文には
心底頭にきた。こんな私を怒らせる方が悪い??
今、バラクラはT&Mのカタログから手を引いていて、何がどうしてそうなった
かは、一介のおばさんである私は知らない。バラクラ以前からの顧客は、その方が
良かったのだとさえ、言っている。しかし、あんなのでもまだ、ないよりましである
という現実は否めない。
T&Mからさっさと手を引いたバラクラは、T&Mにいいかげんに手を出した
バラクラより悪いと思っている。
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以前、庭を持つことになったよーんとある人に書いた。
うれしく言いふらす私に届いた返事は、「樹木の類はとくに、あせって一度に色々
植えない方がいいよ」というものだった。
同じ人は、お酒飲みながらカタログを見ては、カタログをマーカーだらけにして
しまうと言っていた。当時は半ば納得、しかし半ばバカにして笑ったが、今の私は
納得の度合いが違う。あの話を聞いてから、3年経っているのかいないのか。
今朝、台所のテーブルの上に、彼が言っていたのと同じカタログの注文書が封を
され、110円の切手まで貼られて置いてあるのを発見してしまったのである。
つまり、ああ、やってしまったわけであった、私も。
注文の中には、1年で9フィートのびるとある Eucalyptus viminaris
なんてのも含まれていて、あせって早いとこやろうとしてしまっていたので
あった、私も。ああ、恥ずかしい。