花がらみ 4:よそさまのワイルド・ライフ
久しぶりに実家に帰った。知人の山をグループで見に行くという企画が持ち
上がり、その山というのが実家の近くだったので、これ幸いと「親孝行のついでに
見てくるわね!」ということになったのだ。
どっちがついでなのかと聞くことなしに、夫は快く送り出してくれた。
なんと恐ろしいことに、うちの夫は私の親に対し、私より親孝行なのである。
えらいこっちゃ。
故郷の山は木々が芽吹いていて、美しかった。杉の間に、山桜がところどころ
かすみをかけている。植林したなら商売にならない桜は切るのが筋、というもの
なのに、地主は桜をわざわざ残しているらしい。いいじゃないか、そーゆーの。
いきなりレベルは低くなるが、うちのパパも草刈りするとき、山百合は残す。
パパより男らしいうちのママは、「全部切っちゃえばいいのに、馬鹿みたい。」
と言う。が、幸い、ママが草刈りすることはないので、山百合は年々増えている。
今どきの実家は忙しいので、スーパーに寄って野菜などを買っていく。
お土産はお菓子よりお惣菜にして!って、それくらい忙しい。もちろん、暇な時期も
あるが、相対的に忙しくない、という程度のものだ。そして、いまどき忙しいのは
知人の間では周知の話らしく、次々とうちからのお裾分けによって作られたお惣菜が
届けられるのには笑ってしまった。
そう、実家は山持ち。田舎では普通レベルの広さだが、これを管理するののいかに
大変なことか!使える土地もあるにはあるが、通常の場合は土地に使われ、季節と
自然に追われている。
バス停から歩く。どこの家でも春らしい花を植えている。裏山ひとつがそのまま
カラーリーフで出来た寄せ植えになる土地では、ぴらぴらのパンジーが、真っ赤や
まっ黄色のチューリップがいいような気がする。
・・・実家滞在中は、手伝いとおさんどんで終わった。それだけでは悔しいので、
夕方に町営温泉に連れて行ってもらった。新しく道が出来たのだそうでここはどこ?
私は誰?状態。帰宅してから今度はイノシシを角煮にしてみたが、柔らかくならん。
3枚肉でないから駄目なのか???
そして、その為にいったのに、待ち合わせ場所へは見込み違いで遅れてしまった。
誰かの携帯の番号をメモっておくんだった。トホホー。
とりあえず、富士竹類植物園。偶然タクシーの運転手がここのファンだった。
自分が好きで入れ込んでいるものだから、「お客さん、通だねえ〜」状態。挙げ句に
「今度このへんにホスピスが出来るから、もう少しお客さんが入るのではないか。」
って、そこまで心配していて、「ああでも子供連れが入るようになったら面白く
なくなるから、それはちょっと困るんですよねえ。」って。殆ど自分のシマ気分。
竹ってばこんなに面白いもんかと思いつつ、季節が季節だから、メンバーの間で
タケノコ方面の話にずれるのはいたしかたなかった。こちらで交配した実生の竹も
あって、たまに部分開花したのなどを見つけてはささっと(シャレか?)交配するに
せよ、花粉はどれくらい保存が効くものなのだろうか。
「竹も大変よねー。いやな相手とかいないのかしら?」という意見もあった。
なにすんのよっ!?
いいじゃないか、減るもんじゃなし〜。ってそりゃまあお約束
だけどさあ〜。ま、実が出来ないというのが事実上の嫌な相手ってことになるんだ
ろうなあ。だけどやっちまった後でそんな・・ということになるわけか。いやはや。
動植物を擬人化するのは百害あって一利なし、と思っていてもつい、ねえ。ははは。
知人の山。いえ、正確には山の尾根の内側がその知人のものなのだそうである。
地形といい、実家の山そっくりで、その立体的な地形をまるごと使って園芸をしてい
る。広い土地のあちこちに様々な自分の好みの植物を植えていて、白椿の巨木もあ
る。うちの実家とちがうのは、ヘレボラス・ニゲルの大株なんぞがさりげなく
植わってるということ。
植生はうちと大体一緒のはずだがと思いながら周囲を見回す。でも、うちに
ウラシマソウなんてあるかなー??今度探してみっか。皆様、すごく楽しそうに、
勝手に生えた山モミジなど掘ってもらっている。(実は、これを書いている私の目
の前には「Acer,
Mixed species」 の袋があったりする。ははははは。)
そう言えば私はユキモチソウと言うつもりでイシモチソウなんて言っちまったが。
イシモチという魚を思えば、どんな植物なんだと自分のボケがおかしい。
しかし、誰もツッコミ入れてくれないのはかなしかったなあー。とほほ。
この知人のところでもイノシシが出るのだそうである。ことしはとうとう
大立ち回りをしたらしい。車でイノシシをひいてしまったはいいが、車はパアだし
イノシシは中途半端に生きてるしで。婿さんと一緒に闘ったおかげで、結果的に
シシ肉にありつけたそうだ。うわー、おめでとう!!
私はこういう話が好きだ。今度はもっと詳しく聞いてみよう。鹿も出るそうだが、
あれっておいしいのよね。うっとり。カモシカ?あっちは不味いって聞いた。
え?何故特別天然記念物のお味を知ってるかって?さあ〜??雨ノ森、コドモだから
詳しいことはわかんないや〜。
お味の話はともかくとして、駆除願いは出したところでたいして役に立たないと
聞いている。真夏に駆除願いを出そうとしたが、猟犬が夏バテだから駄目だと言われ
て罠免許を取得したのはうちの父だ。そして猟銃の免許をとるのは年々難しくなり、
一方で現在猟銃を所有する人々の老齢化はすすみ、獲れるものも獲れなくなっている
らしい。
全く余談だがイノシシの冷凍は2週間をメドに食べた方がいいと言ったら母は
平気で「このへんでは1年もかけて食べるよ。家族の顰蹙かいながら何日も仕事を
ほったらかして泥だらけになって野山を駆け巡ってやっと獲ったイノシシを、
そんなに簡単に食べられるわけないじゃないの。」と言い切った。ハハは正しい。
ふと、そちらではそこまでして獲るイノシシを我が家では罠で獲っているという
のが心配になり聞いてみたら、猟犬にはイノシシの骨をやるのだそうで、うちの父は
骨のお裾分けをしてやり、喜ばれているのだそうである。そっか、猟が趣味である
ならば、苦労をも楽しむのはごく当然の話だっけ。
知人の家を辞去した後は、長々と電車に乗って帰った。乗り換えはうまくいった
が、帰りついたのは
10時半だった。三島くらいなら金沢から日帰りも可能だ。
たんに実行する気になれないだけの話である。