花がらみその1:畑で

  3月27日、久しぶりに畑に行けた。
この前行ったら、卒業式前で暇こいてる中坊どもがうるさかったので、春休みまで
待とうと思ったのだった。めでたく世間では終業式が終わり、モノのついでにまた
雪が降ったのは余計だったが、今度のはすぐさま消えた。

  作業は醗酵鶏糞を仕込むこと。午前は晴れるが午後からまた雨だと予報では言っ
ている。で、夫を送り出してすぐ、それっ!とばかりに畑に行ったわけだ。
雪なんか降っても雑草の元気なことよ。スコップ使って掘っては起こし、起こしては
掘って、がしがしと鶏糞を仕込む。こぼれ種のデイジーが畝の横で咲いている。

  うっすら汗をかいたあたりで、知らないジイサンがいきなり畑に入ってきた。
「ここはXXのばあさんがやっとるはずだが。」・・があああああっ、まだその話!?
あたしがここを借りてから、1年半経つんですけどおーーーーお!!

  畑のいきさつについてはもう飽き飽きだが、一応。
XXのバアサンというのは、現在の地主の亡くなったオジイサンのお友達で、そのお声
がかりで土地を借り、友達に機械貸してもらって畑を始めたものの、最近になり寄る
年波で休み勝ちになった。で、草だらけの畑を見た地主の嫁さんは自分が草を刈る
一方でもうやる気がないのかと思い、バアサンに確かめもせず、あぜ道作業中の
私に声をかけたわけだ。

  が、畑に案内されて行ってみると半分草だらけであっても、残り半分はさつまいも
畑になっていた。「あーら、あのおばあさん、また始めたんだわー。じゃ、この草
だらけの半分を貸すから。おばあさんにはうちから言っておくからね。」・・・お察し
通り、地主はバアサンに言っておくのをころりと忘れた。

  勇んで畑の草むしりから何から始めた私に、御近所の皆様の御注進を受けた
バアサンの怒るまいことか。で、「広い畑の半分だけなんだし3年もすればいなくなり
ますからー」と言ったら「じゃあアンタは3年もいる気なのか!?」だって。(^^;)
悪いのは私だけじゃないんだけどなー。

  だが、ここを逃したら他に畑など借りられるわけもない。で、さっさと様々なもの
をかなぐり捨てて、「オババの一人くらい、手なづけてやろうじゃないの。」と決心
したのだが。オババの「年波」は本当に寄ってきて、手なづける暇もなくリタイア
しちゃって、代わりに現れたのはオババが勝手に又貸ししたオババの知人。オババの
分を耕しはじめた。

  とりあえず地主には告知しといたが、この地主との間にも色々あって、いやもう、
こうなれば「もう知らんがなー」というところで。そのまま畑は続き、現在に至る。

  で、現れたジイサンは「ここはXXのバアサンが地主からかったはずだが。」という。
「XXのおばあさんはこの土地を買ったんじゃありません。借りたんです。私は地主の
奥さんの友達で、XXのおばあさんが畑を出来なくなったらしいということで、こちら
半分だけを借りました。でも、それは私が貸してくれと言ったわけじゃなくて、
地主さんの方から言ってきたんです。」

  ・・・かった??買った??
自分の都合のいいことだけを言うのは良くある話だが、オババは見栄はって嘘まで
ついていたのか??それとも一人で畑やってる女を見て、ジジイはちょいと
からかってやろうとしてるだけなのか??それとも金沢の方言では、借りたをかった
と発音するのか??

  「XXのばあさんは、見も知らない人が自分の畑を耕していたと言っとった。」
「ですから、地主の方から・・・」って、何で地主とオババと私との間だけで済む
話をこの見ず知らずのジジイに説明しなけりゃならないのだろーか。

  言うことなくなったのか、「草が生えてる。」とジジイはぬかした。
「ええ、雪が降ってもこれだけ草は生えるんですね。」「・・・ばーさんにはもうこの
畑は出来ないだろうね。あのばーさんはここで小遣い稼ぎをしていたんだ。オレは
XXのじいさんの友達だった。」「私は、奥さんの方の友達です。」ジジイは結局、
了解顔で停めておいた自転車で去って行った。

  オババは気の毒と言えば気の毒かもしれない。が、オババに若い時がなかったとは
言わせない。私には未来があるなんて、言わせない。そんなわけのわかんないものを
あてにしても、しょーがない。だから、うざったいオババともうまくやっていこうと
思ったのだ。いやー、そう思ったんですけどねー。

  オババはさっきも書いた通り、再び土地を耕すことなく、地主に何の挨拶もなく、
彼女の知人に又貸しして畑を去ってしまった。が、又貸した土地は彼女の分だけで
あって、こちらの半分には及んでいない。又貸しの件を地主に言った時点で
私の義務は全うされた。あとは、自分の分のこの土地を活用するだけの話。

  しかし、オババったら小遣い稼ぎなんかしてたのねー。初めて知った、この事実。
「ああはなるまい」という言い方はよく聞くけど、そこまで行くと「見習わなくては」
って感じかも。だって、私もそうなら、オババだって無料で借りてたんだぜー!?

  予定の仕事をこなした後、ふと目の端に動くものが見えた。セキレイだった。
胸からお腹までが、オレンジ色がかっている、きれいな小鳥。これを初めて見たのは
一昨年の暮れだった。畑を耕してる私につきまとう「胸元からお腹がオレンジ色で、
残りは黒かったり白かったりする鳥」について某所に書いたら、名前を教えてもらえ
たのだ。彼のところは、つがいでつきまとわれているという。それもなんだかなー。

  もちろん、セキレイが私につきまとったのは「耕してた」からである。
畑を耕すと、セキレイにとっておいしい有象無象のなにかが見つけやすくなるわけ
で。ぴろぴろ鳴く声の中身は、「あ、もーちょい右も耕すといいと思うよ!バラの
根元なんかすっごく良さそうじゃない?チューリップなんか気にしなくてもいいから
掘り返しちゃっていいよ!!」てな内容だ。ははは。でももう、今日はもうおしまい!
で、セキレイに見送られながら畑を後にした。

  汗みずくを理由に、湯涌温泉の共同湯に行った。
露天風呂では若いムスメが浮力を利用した前後開脚180度をこなすのを見、脱衣場では
「この間、私の紙袋に誰かのぱんつとシャワー・キャップが入ってた。」とか
「子供に着払いでモノを送るー!?」「だって、何だかんだで4000円だもん。」と言う
ような話を聞いた。笑いをこらえるのが大変だった。思い出し笑いしながら、
運転して帰った。  そんだけー。