実家トイレ更新

 年末直前、田舎の実家で、水まわりの改修工事が終わった。
ことの起こりは浄化槽が壊れかけているのを夫が見つけたところから始まる。
あれは確か、早春だった。合併浄化槽にしなければならないが、役場から補助が出ると
聞いて、夫は色々調べ始めた。

 ところがそこでこちらが家を買うことになった。古い家なので、引っ越しだけでは
済まず、土日を割いてはローコストを目指したより良い暮しの追求を、平たく言えば
日曜大工をすることになり、ワタシ達にとっては実家の浄化槽は遠のきそうになった。
これが、夏の話。

 が。家を買ったことで両親が喜び、それなりのお祝いを包んでくれたのである。
こんなお金、そりゃああった方がうれしいけど、使えばあっという間になくなる
はずだ。絶対。そして、お返しは「毛布一枚」でもないだろう。

 というわけで、それを使って懸案の実家の水廻りの改修工事をやり、お返しにする
こととした。で、また役場に連絡をとり、業者を紹介してもらいつつ、見積もりの
前に家族で話し合うのだが、これが、夏から秋にかけて。

 どうせなら内トイレを昔あった場所にもどして両親の寝室と近くすることとなり、
娘達夫婦が泊まる離れ入り口にトイレを増設、こちらは外仕事や来客のために、
土足で入れるトイレにした。(母そこで、その外トイレは箒ひとつで掃除が済む
ようにしてくれと要望を出す。)

 あとは、内はウォシュレット、外はウォームレット。
壁には断熱材。コンセントは二口。灯りは取り替えやすい位置と構造に。ドアノブは
レバー。問題は主夫妻の社交生活も含めた居住性、そしてメンテナンス。そんな話を
業者とした見積もりの朝、私は渋柿をとっていて、それは現在干し柿となっている。

 業者はマジメな人々だった。浄化槽と役場の補助というのが元々の話なので、
紹介してもらったのは当然、水道業者。だが、田舎なりに様々な工事をこなして
きているし、周囲の評判も悪くない。というわけで、プチ・ゼネコンになってもらう
ことにした。

 なんせ田舎である。職人に心当たりのないわけがない。そしてこちらは一人一人
大工だの電気工事だの人間を集めている暇はなかった。モノはトイレであり、
こちらも忙しい時期であり、おまけに年末になるというわけで、のんびりやってる
時間はなかったのだ。

 届いた見積もりは少々予算オーバーだった。見積もりを見直して削れるところを
探す一方で、業者さんにもその旨話す。残土はうちの土地に持って行くということで
5万円が一万円、外用ドアは廃用となるやつを転用、これで3万円の節約・・・。
そんなこんなで、なんとか予算内に。納期は四週間後ということで、行程表が届く。

 プチ・ゼネコンは、マジメだった。毎日一度はやってきて、職人と両親の間に
立って指図してくれたらしい。マジメな業者が選定したのはこれまたマジメな業者で、
高いところにある外灯を低い位置に直してくれ、その分は業者とは別に出すからと
電気屋に言ったら、「うちは業者と契約してるので、そんな勝手なことは出来ない」
と言ったとのことで。

 両親はちょうど一番忙しい季節で、お茶なんて出してる暇はなく、職人だってお茶
などしばいてる暇はない。納期?が迫ってるうえに、場所がトイレなので、何人も
入りこんで仕事が出来ない。仕事にとりかかるのは競争であり、ゆっくり来た職人は
帰ることになった。もちろん出来ないからと言って行程表も納期もなくならない。

 おかげでかっきり納期には出来あがり、竣工検査の時、見積もり書にも書いてある
二口コンセントに一口を取付けてしまったことが判明したが、クレームはこれだけ
だった。断熱材は一坪1000円。だというのに、入ると寒くない。廊下や、外は寒い。
トイレだけが、暖かくはないが寒くないのである。トイレ用の暖房は、入れなくても
済んだ。

 検査の後は、お茶を飲みながら、業者さんまでもが楽しそうにしていた。
個人宅のプチ・ゼネコンになるのは初めてということもあって、はりきってくれた
らしい。「やれば出来るんですねえ〜。」って、おいこらっ!(;^0^)/
一番苦労したのは、古い家の多少の傾きとのすりあわせ、とのことである。

 こちらの失敗は、一つ。
「棚を作ってくれ」とだけ言って、用途を話さなかったことである。私の考えた棚は
トイペや手拭タオルを載せておく、なければ「つっぱり棒」がその役をする棚であった。
が、大工が作ったのは飾り棚だったのである。花しか置けないような立派さで、
しかし立派「すぎ」という文句が成立するものなのか。うう。

 嫁に行ってしまった人間、そのムコが出来ること、やっていいことには限りがある。
(翻って言えば、一人っ子の気楽さと心細さにもつながる。)うちは私と妹だけだった
ので、遠慮なく手だしが出来たのである。もちろんトイレ会議には妹夫妻も参加し、
今では外トイレは皆のお気に入り(^^;)になっている。

 多分、両親の友達やら顧客やら親類やら、お客さん達も気に入ってくれると
思う・・・。問題は、喜んだ両親が施工費用を全額返してきてしまったという
ことであった。骨を折ってくれただけで十分なんだとのことで。

 先々のことを考えれば、自分たちのためでもあったわけなのだが。
ま、いっか〜。(;^^)/