出土品
「メイン・ディッシュは、昨日の鯛と今日のタラのどちらがよろしいですか?」
そう聞いたら、夫は不思議そうな顔をする。一度でわかりそうなものだ。
「つまりですね、昨夜遅くなったアナタのために用意した鯛は今でも冷蔵庫の
中に残っているわけです。
・・あの鯛は、小さい切り身が一切れ380円でした。今日用意したタラは、私が
食べても貴方が食べてもいいわけですが、その一切れは290円であり、なおかつ
鯛よりもはるかに大きな面積を誇っています。」と、続ける。
「タラと鯛とが同列に存在する理由は、鯛がいかに冷蔵庫の中とはいえ、一昼夜を
過ぎているという事実に鑑み、自主的な値引きを行った結果です。新鮮なタラと、
昨夜の鯛は、値段として同じ、つまり公平と考えてもいいのではないでしょうか?」
さあ、うちの夫はどっちを選んだでしょう?(^O^)/
なーんて福福しく笑ってみたりもするが、それはともかく。どこの御家庭でも、
こういうことをやっているのかどうか。やっている、と私は考えている。ここまで
オープンに?語られるかどうかはともかくとして。
xxxxxxx
友達んちはお寺である。
友達であるところの彼女は、ダンナと自分の家に住んでいる。だからと言って彼は
お坊さんではないのだが、それはここではどうでもいい話である。
彼女の家は、広い。庭も広い。なんでも管理が大変なので、他人の家の土地
みたいな顔して知らんふりしてる場所があったりするらしい。そんな風に聞くと
私も実家の竹林なんか思い出したりするが、地価が全然違うなんてことも、どうでも
いい話であろう、やはり。
彼女のダンナさんはマメな人で、それはうちも一緒、なんてこともまた関係ない
けど、こんなにのらりくらい書いてていいのだろうか。
というわけで、ずばり核心に入る。
「庭を掘り返したら、入れ歯が出て来た」そうなのだ。
彼女の話によると、ダンナさんが庭を少しキレイにしようと七つ道具を持って
庭に出て行き、しばらくしたところで「うひゃー、出たよ出たよ!」と息せき切って
帰ってきたのだそうである。何がと聞けば、入れ歯が出た、と。
「バカじゃないのかしらねえ。」と、彼女は平然としている。
「人が死んだら、そのまま家に置いておくには不適当なものとかが残ったりするじゃ
ない?そしたらね、お墓やそのへんに埋めたりするものなのよ。入れ歯くらい、
騒ぐようなことか、っての。」・・・そういうもんなのか?
その昔、祖母の法事で、田舎のお寺でお坊さんを待っていたときのことである。
そこにいたのは親類少々とお寺を預かるお婆さんだった。
「もう夏なのに、今日は随分冷えるねえ。」と誰かが言ったのである。
「ここは、あの世とこの世の境目だから。」というのが、お婆さんのセリフだった。
私は子供ながらに、「このお婆さんたら、すごいかもしれない。」と思ってしまい、
この発言を今でも覚えているのである。
あの時の化け物じみたお婆さんと、エステを欠かさない、靴はフェラガモで
ストッキングはナントカで、下着はどこそこ(ちっとも情報になっとらん!)
の彼女とは「同じ」であった。
私だって、庭から入れ歯が出土したら驚くけどなあ。