夏のドジな話

 私にしては珍しく続いている。水泳が。
同じ水泳教室でも、一昨年の今頃は「腰痛改善コース」に入ろうとしていた。
しかし、1年以上もわしわしと泳いでいるうちに腰痛とはおさらば出来た。

 苦しくて死にそうなので休みたいそぶりのクロールの相手に先を譲ってやった
その挙句にブレストであおるという、人の悪い楽しみも得た。
よくないなー、なんて思ってるわけもなし。

 それにしても関東は人間が多い。あちこちで様々なレベルの人々に出会う。
たとえば市民プールに行くと、子供の目的は大抵水遊びで、たまにコースに入って
くると逆走(逆泳?)したりして、もー本当に邪魔である。これがフィットネス・
クラブのプールだと、下手なオトナより子供の方が速い。

 究極は国際プールで、ダイビング・プールではシンクロのチームが練習している。
1日に1万メートル以上も泳ぐという、あの、シンクロである。大人に関しては、
まーそんな人たちもいるんだろーなーとは思えるが、どう見ても小学生のチームが
足もつかないプールでごく普通に背泳ぎしながら片足をホイとあげたりしている。
すげー&かわいー、いーもん見させてもらったぜー、である。

 よくも悪くもこの年齢になれば、健康維持以外、水泳にたいした意味はない。
だが、水泳をすることで、そういう余計なことと出会えるのがうれしい。

 ・・・ところで。
プールで泳ごうとすると、様々な持ち物を携えて行かねばならない。
スイミング・キャップ、ゴーグル、水着、タオルは最低限、必要だろう。
でも、たまには何か忘れてしまうこともある。

 それが積み重なるとどうなるか。
私は「水着以外、一通りのものは忘れたことがある。」のだあ。
あなたがプールに行くにあたって、忘れて一番困るものは何か。
私はそれをも忘れたことがあるのだ。どうだ、すごいだろう。
あの時は困ったよなあ。

                   xxxxxx

 「ああ、最初の子やねえ」
という言葉の視線の先には、真っ白いさらし木綿で縫った新品のオムツが
並んでいた。

 「最初の子のオムツは真っ白でぱりっとしとるけど、次の子供に使う頃には段々と
黄ばんできて、柔らかくなってくる。3人目の頃にはぼろっちくなって、でも、
それくらいの方が本当は赤ちゃんには気持ちいいんやなあ。」

 どんな人が言ったかは、覚えてはいない。聞いたのはもう10年も前の話である。
その言葉だけを夏に限って思い出す。なんで夏に限ってなのかといえば、私の夏の
部屋着が3人目のおむつ、みたいな代物だからである。

 10年くらい前か?ハワイのデパートで買った木綿のワンピースである。
半袖の襟なしで、「簡単服」そのもの。だが、洗っては着、洗っては着るうちに汗は
吸うし、堅めの生地がちょうど良く肌にまとわりつかないしで、絶好調に
気持ちよいしろものになったのだ。・・もはや育てた、って感じ?

 ここまで長持ちさせてしまったのは、紺という、服の色も関係する。
10年の間にはいろいろなもの(たとえばトマトの汁とかユリの花粉とか)を吸い込んでいる
はずなのだが、この色の前にはなんの影響もない。

 なので、なんーとなく夏になれば引っ張り出して着ていたのだが、さすがに一枚の
布として10年の歳月はいかんともしがたく、とうとうこの程、裾に小さな穴が
空いてしまっているのを見つけてしまった。げげ。

 この年齢でオムツ着てるかと思えば、さすがにすごいものがある。
きょうび服というものは、一般にどうなったら処分しなければいけないものなのか。
げげ、と言いながらも今日もまた、洗って干してしまった。

 同じのを買えるなら、いっそハワイに行ってしまっても良いのだが。
いや、それなら自分で縫ってしまった方が早い。
うちにミシンはない。

                                2007年8月