はて、どうしたものか
草刈をしてる最中にキジの巣にあたってしまったことがあって、
キジの親は、草刈機に驚いて、飛び去った。残るは、今しがたまでキジが
抱いていた、9個の卵である。彼は悩むことなく、キジの卵を持ちかえった。
彼はチャボを飼っていて、様々な卵の里親をさせることを趣味としていたのだ。
当時一羽のチャボが巣に入って、余所の子とは知らず、ウコツケイの卵を温めて
いた。さて、とそこでやっと彼の悩みが始まるのである。ウコツケイにするか、
キジにするか。知り合いは皆、キジよりウコツケイの方が高いのに!と惜しがったそう
だが、稀少価値の値段は、しばしば現実の値段を越えるものなのである。
惜しかったのは、泣く泣くウコツケイの卵をあきらめた翌日、もう一羽のチャボが
巣に入ったことであった。もう一日早ければ、そっちのチャボの方がキジの親に
なっていて、ウコツケイの卵は捨てずに済んだのに。そう思えば、素知らぬ顔の
チャボの前で、多分彼はわなわなと震えたに違いない。
チャボはいいですよと、それでも彼は語った。
放し飼いでも、夜は木の上で寝てくれる。問題は、あっちこちに卵を産みっぱなしに
するということだけど、まあそのへんはトリなりに習慣というものがあるので、
場所を覚えてしまえば大丈夫。
ただ、たまにヘンなところで卵を孵すことがあって、一羽いなくなったと思って
いたら、子連れで帰ってきたことがある。家の周囲を見まわっていたら、
石垣の穴の中に卵のカラがころがっていたから、どうやらそこで孵したらしい。
いやあ、やられました・・・って、そんな。(^^;)
キジの卵は、まさにその朝に孵ったとのことだった。さすがは野生、
孵るなり、すぐさまエサをつつき始めたということなのだが。一体全体、いやに
でかい自分の子に、チャボは不信感を抱かないのだろうか。
キジはキジで、チャボ母からおっぱいもらうわけではないが、一応は母親として
育つのであろう。しかし、キジには羽がある。大きくなったキジは、どうするのだ
ろう?やはり飛んでいってしまうのだろうか。チャボ母はそれを見て何を思う
・・・って、書いてる方がわけがわかんなくなってきた。
同じマイクロバスの中、その人は車を運転しながら話したのだった。
いっそ「物好き」とまで言ってもいいほどの、彼だけがそれを知ることになる。
ちょっと、というよりはかなりうらやましい私であった。
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御近所の家に、お茶に招かれた。
話によれば、そこは夫婦で理科系の人で、ゆえに昔昔、二人が使っていたという
秤などが飾ってある。するとどうなるか。「キュリー夫妻みたいですね。」
という言葉と共に、私は夫妻のことを陰でマリーとピエールと呼ぶことにする
のである。←問題あり?
マリーは山野草系が、ピエールは園芸植物が好きらしい。
で、ある日カタログを貸してあげようとしたら、マリーが
「ソウメンカボチャの種子、ある?」と聞く。
トルコから植物関係の学者がやってきたとき、マリーはソウメンカボチャを
使ってサラダを作った。それがいたく学者のお気にめして、マリーは台所のゴミから
種子を拾って進呈したのだが、トルコではうまく育たなかったらしい。
で、その人がまた来るんで、まともな種子が欲しいんだけど、知らないかと
いうのである。自分は馴染みがないので、今貸したばかりのカタログの会社に
電話してみたらと話し、そりゃそーねという答えを得る。
それにしても、ソウメンカボチャである。
私はまだそれを食べたことはないが、イスタンブールの食べ物が美味しかったこと
から逆算すれば(こんなんありか?)、そのトルコ人に気に入られた
ソウメンカボチャだって美味しいにちがいない。
マリーとピエールのおかげで、いいことを知ったかもしれない。
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カツン、カツン、とベランダで音がしたそうである。
最初は風で洗濯物でも揺れているのかなと思っていたらしい。しかし、いつまで
経っても音はやまないし、第一風があるというわけでもない。
あまりにうるさいので妹はついにブチ切れ、ベランダのサッシを開けたら、
目の前から一羽のカラスが飛び立って行ったそうである。で、ベランダの床には、
物干しに使っているクリーニングのハンガーが散乱していた。
「アタシだって、カラスがハンガーを巣作りに使うとは聞いてたけど、まさか
うちに来るとは思わなかったし〜。」確かに、妹に罪はない・・ような気がする。
というか、罪とかなんとかいう問題だろうか、これ?
妹夫婦は、青いハンガーと白いハンガーを使っていたそうだが、カラスが
選び出していったのは、全て白いハンガーだった。ベランダでは連続的に音がして
いたのだが、それはカラスがハンガーを持ち去る音ではなかった。
その音は、気に入らない青いハンガーを、これでもかとばかりに、わざわざ
物干し竿から床に落としている音だったのである。
カラスが。