白日寝眠
視野が狭まってきているのが、わかった。
まるで天井が眉の上にのっかったよう。結局、眠たいだけの話ではないのかと
言われそうだが、めまいにも似て、くらくらする。経験したことのないこの
感じ、こうなったことに思い当たることは、何ひとつない・・・わけでもないが。
普段が丈夫なので、変調に驚いた私はいきなり、こりゃ脳がどーとかなって
いて、死ぬのではないかと思ったんである。で、とりあえずここで死んだら
どうなるんだろかと考えた。場所は地下鉄内、だ。行き倒れであるところの、
私が私であることを語るのは所持品。
神保町のタキイで買ってきた、蘭鉢3つとミリオンA、あとは、文庫本1冊。
ここまでは、いい。私というご遺体は多少重たいかもしれないが、私が重たい
思いをするわけでなし(おいおい!)、ちょっと早めだと思うけど、ご遺体になる
のも、やぶさかではない気分になったその時。
そこに、同じ神保町で買った、いしいひさいちが加わることを思い出した。
この年でこんなの読んでるのがバレるなんて。センスのいいおばさんだと思って
くれたらいいが、残念ながら世間が私にとって都合が良かったためしがない。
今、死ぬわけにはいかないと悟った私は、それこそ死ぬ気で家まで
帰ったのである。眠気をこらえて。全然ほめられた話じゃーないなあ、しかし。
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毎年、年の始めに遺言書を書き換える人がいるという。
一方で、そのへんきちんとしてくれと言われて、「縁起でもない!」と怒る人もいる。
どっちが長生きするかと思えば、鼻歌混じりに遺言書を書きかえる方、のような
気がするが、どんなものか。
遺言書って、書いてみたいと思うのだが、未だに着手していない。
大体、遺せるようなものって何も持ってないような気がする。というか、多分
人が欲しがるものは私の内側にあって、死ぬとともに終わるはずである。
考えてみりゃ、私が欲しいと思うものもご本人が死ねばなくなるものであることが
多い。概ねそれは、他人様の長年にわたる蓄積、だったりするのだが、これが、
死んでしまえばなくなることに、私は本当に驚き、もったいなくて泣けそうになる
のである。←バカだねえ〜〜
私の大事な部分は、昼寝が出来る身分から来ているはずだから、だから
自分は一生懸命昼寝をしたり??くだらないことを妄想する。その一方で、価値ある
蓄積に至った人々には、「お邪魔はしません。お身体を大事にして下さいね。」
なーんて思ってしまうのである。
ま、余計なお世話だし、どっちかと言えば、すっごい怒られそうな予感?
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その昔、臨死体験で見たお花畑を園芸で再現したいと園芸相談する
おぢさんのことを書いた。そんなヤツ、いるもんかといわれそうだ。そりゃそうだ、
いるもんか。たんなる、おちゃらけとして書いたからである。
おちゃらけなのだがおぢさんは真面目で、真面目ゆえにヘンで、先生はと言えば
これまた真面目に答えるのがヘンで。・・・「なえもえ」芽出し号の、随分時間を
かけてひねりにひねった他の部分に比べて、この話だけはあっという間に書けた。
あれを考えついたのは、夏だった。
夫が遅い夜、TVの心霊番組っていうか、納涼番組を見ていて、考えついたので
ある。随分単純な話だと自分ながら思う。トホホ。
ある種の人々によると、人間はしばしば死んで幽霊になる、ことになっている。
幽霊を私は見たことないし、多分これからも見ないだろうと思うのは、私が
自分勝手だからである。
幽霊によって事情は様々なんだろうが、そんなもんに対して、私には何も
してやれない。してやれないどころか、敵さんのあまりの暗さにつきあうのが
面倒くさくなってしまうのである。
なんだってまあ、いつまでもちんたらと死んでまでこの世にうろうろしてないと
いけないのか。天国だろうが、別の人に生まれ変わるのだろうが、今よりマシでは
ないのか、と思ってしまうのである。
こんなヤツのところに、幽霊が出たがるわけもなし。