お盆
お盆を理由に、初めて妹夫婦と一緒に田舎に帰ってきた。
これまでは、別々に帰って別々に作業していたのだが、どうせなら一緒に帰って、
様々なことを一気に片付けようというのが今回の計画であった。
普通、妻の実家に行くとなれば、遊びに行くことだと思うのだが、実家は
不良資産家、おかげで殆どは「田舎の別荘やその周辺の土地の手入れ」で終わる
のが通例となっている。幸せなのか不幸なのかと考えるに、そんな計画がまかり通る
ぶん、幸せなのだろう。多分。
しかし兄弟姉妹といえども向き不向きはあるもので、例えば宗教系は妹夫婦が
こなすことになる。何故、長女夫婦の仕事にならないのかといえば、興味がないので
覚えられない。妹はその点、占いやら風水やら大好きなだけあって、完璧とくる。
お盆ともなれば義弟と一緒になって、様々な飾りや料理をしきたり通り作ったり、
その昔の個人のものであった頃の墓まで出かけ、色々やってくれる。
知人によれば現在のお勉強は、社会に出たときのためではなく、受験のためのもの
でしかないのがいけないとのことである。つまり、覚えて忘れて、それっきり。
しかし、現実に役立つような場面がなければ、忘れるに決まっているではないのか。
というわけで、季節の行事ならともかく宗教の行事に現実感を持てない私達は、
聞いても覚えられない。占いやら風水やら好きな妹達だけが、何の疑いもなく嬉々と
してきゅうりやナスで馬を作る。
そして不信心者の長女は、お供えのために収穫してきたサツマイモを
危なく煮てしまいそうになるのだった・・・。
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今年のお盆は寒かった。
買い物に出るときに母は必ず、自分は誰に見られても大丈夫かと周囲に聞く。
しかしその日の私は、その質問を「大丈夫大丈夫、誰も見ないから〜。」と流し、
自分は自分で寒いがゆえにタンスから発掘したフリースを着て、母の車に乗った
のだった。
ところが、さすがは田舎である。どうせ誰もいないだろうと思っていたスーパー
では、右を向いても左を向いても、母の知り合いだらけなのであった。働いていた頃
の知り合いに、趣味の会の知り合いに、お得意様と、どっちを向いても誰かに
ぶち当たるとは!
これはやばい、誰も見ないどころか、上から下までチェックされてしまう!
というわけで、いくら寒いからと言って夏の真っ盛りにフリースを着ている娘を
母は他人のふり、娘は娘で化粧もせず、フリースなんか着てきた責任をとって
他人のふりをすることになったのであった・・・。阿吽の呼吸ってやつかしら。
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既に天気予報でも出ていたが、お盆は雨続きだった。
そしたら、帰ろうという日になって、乗るべき電車が、止まってしまった。
初日はとりあえず駅まで行って、3時間待った。が、復旧の見込みがないうえ、
連絡するJRも止まり、代行運転しているバスも大遅延、そうこうするうちにその
バスでさえも止まったのである。私達は、実家に電話してもう1泊することにした。
駅の中には、料金の払い戻しをする人が並び、座っているのは、待つしかない
人々だけだった。駅の外には周囲の温泉旅館やホテルから迎えの車がやってきては、
今日中に帰るのをあきらめたお客さん達を拾っていく。最後の最後まで待つしかない
人々は、海水浴用なのかシートやバスタオルの類はちゃんと用意してあって、子供は
その上に寝かされていた。
迎えにきてくれた義弟の車にありがたく乗り、3時間前に別れた家族に、
「久しぶり!皆、元気だった!?」と挨拶して顰蹙をかったのはこの私・・・。
だって、他になんと言えばいいんだよう。うくく。仕方ないとばかりに、パソコン
持ち出して実家の目的別住所録を整備したのは夫。分類は母と義弟。家中でタイプが
一番早いのは私だが、妹と一緒のごはん作りでそれどころではない。
当のゴハンも、お盆で雨降りとなれば、ろくに身体を動かしていない。胃の消化作用
と運動量とは関係ないと思っていたが、1日目は御馳走だとしても二日目となると
お腹が空かなくなり、3日めとなるとカンベンしてくれえ、となってしまう。
で、ゴハンと干物とお新香、みたいな食事を整えつつ、余所の騒ぎとは関係ない
実家の平和さに驚く。スーパーまでの道は通行止めになってないし、食べるものが
なければ畑までとりに行けばいいし。たんに雨がざかざか降っていて、ちょっと
うっとおしいというだけの話である。
しかしそれでも帰らなければならない。そのまた翌日になり、電車は止まって
いても、道路の通行止めはあちこちで解除になったというので色々電話を
かけまくり、途中駅からバスで別の線の駅まで行けるというのを調べ、その駅までは
バス便が出てないので、義弟の運転で連れて行ってもらうことになった。
が、そうなると考えることは皆同じ。普段なら30分の道に、二時間。
バスはバスで1時間半で済むはずの道が、1時間多くかかった。死ぬかと思ったと
言いたい。が、雨以外は食事作りと食べまくりと渋滞っての、これこそは、
正統的お盆というやつではないのか。
実家のあたりのお盆は、地元民と観光客の両方で混み合い、ものすごいことになる
のが通常である。しかし今年は雨続きという予報が出ていたので、それでも来たい人、
来るしかない人だけが来ているはずなのだ。
してみれば、死ぬかと思った渋滞も、別に暑くて大変だったわけでもないし、
例年に比べれば楽なものだったのかもしれないのである。いやはや。