鳥
金沢に白鳥路という道がある。
玉砂利が敷かれたその道の入り口には藤棚の下に白鳥の像、そこからお城の
足下をぐるりと回る感じで兼六園に到達する。道の両側には、高い木立、点々と
立つ彫像、そして道のまん中あたりには、金沢が誇る3人の文豪の像がある。
この道は観光シーズンともなればそれなりの数の人々が行き来する。夫はこの
白鳥路を通勤路にしているが、とにかくマメに掃除されることは、驚くばかりだそう
である。
しかし、マメに掃除しなければならないのには、理由がある。それは、カラスと
いうものの存在、である。白鳥路の木立に巣をかけ、出勤し、帰宅する。カラス
の生業の前にはなす術もなく、泉鏡花も徳田秋声も室生犀星も、お掃除のおばさん
の雑巾でふきとってもらうのを待ちわびる身の上となる。
夕方ともなればものすごい数の御帰宅のカラスの群れが白鳥路の上を飛びまわる。
あれでは白鳥路どころか黒鳥路だ。もちろんカラスは夜になっても人間に変身して
32回もぐるんぐるんまわったりはしないだろうけど。なんのこっちゃ。
そして、春ともなればこの白鳥路にカラスの死骸がぼこぼこ落ちているのだそうで
ある。巣作りの時期だからなのだろうか。カラス同士で戦って、結局負けた方が死骸
となるのであろうか。カラスに聞いてみたことはない。
しかし、ツツジの影に落ちていたそれを、お掃除のおばさんが無造作に掴んで
ほいっ、とゴミ袋の方に投げるのを目撃したときには・・。彼女にとっては、カラス
の死骸はいちいちびびってはいられない、ただのゴミであるということがはっきり
したというだけのことなのだが。赤ん坊のオムツみたいなもんでしょか。
今年は、いしかわ緑の博覧会、というのが開催されることになっていて、
「100年後の国宝を目指し」つつ、金沢城は、それに間に合うよう再建されている。
しかし、その輝かしいお城の足元は、問題の白鳥路である。あれが出来上がったら
遠からずカラスのお家になることは目に見えている。
一体全体、どうするんだろうか。
ところで、男の人を謗る言葉に「うだつがあがらない」というのがあるが、
大分の方言には、「すもつくれん」というのがある。
だからどうだというわけではないが。
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犀川にはトンビが相当数、いる。
一応あれも猛禽類のはずで、大きくてコワイ。時々川沿いの家のTVアンテナに
とまっていて、そうなると、アンテナの方を心配してしまうくらい大きい。
先日、TVでそのトンビさん達の行状が映し出された。
それによると、トンビは油揚げならぬ、人間さまの弁当をさらうことにしたらしい。
犀川の河川敷で子供にせよオトナにせよ、食べ物持ってうろついていると上から
さあっと急降下し、さらっていってしまうらしいのだ。
TVカメラは親子連れのパンをさらうトンビの映像を見事に捉えていた。
母親が「パンをとられてしまったんですよ。」と言ったら、それまで呆然としていた
小学校に上がるか上がらないかくらいの女の子が、改めて、うえーーん・・と
泣き出した。
これは全国ネットで放送されたから、見た人もいるかもしれない。
うちはあの映像から歩いて10分以内の場所にあります。でもこんなこと書いても
意味があるんだかないんだか。
こっちは近くではないが、金沢大学の方でも「トンビ注意報」を出すという。
天気が良いからと外でお弁当広げたりパン食べたりしていていると、死角にあたる
真上から急降下してきて、お弁当などはひっくりかえされるらしい。
気持ちはわからないでも、ない。だって人間ってトロいし。生の魚なんかより、
味付けされたハンバーグやメロンパンの方がカロリー高いし、食べやすい。ケーキや
から揚げなら、尚可?がんばってそのへんの人間の食べ物をひっくり返し続ければ、
今年はタマゴをもう2つ3つ余計に産めちゃうかも、ってやつだ。
こっちもトンビに向かって、正しい食べ物を摂取せよ、どうせなら生協のトラック
から帰って来る奥様を狙った方がいいぞ、なーんて説教する気にもなれないが。
先日、知人の奥様が何も知らないままその犀川の河川敷でおやつを食べようと
してたら、近くにいたよその子供が大声でやめるよう教えてくれたそうである。
で、その子の尋常でない顔と声にあっけにとられて上を見たら。
既にトンビが頭の上を旋回していたそうだ。うう、こっわーーー。
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金沢から車で2〜30分の、湯涌温泉で鶴を見た話は「園芸」の方で触れた。
私は、鶴がいるのは田舎ゆえだと考えていた。しかし、この鶴はここ1週間、湯涌
に行くと必ずいるのであった。
通りすがりの観光客は指差して喜んでいる。これではまるで観光資源である。
何で鶴はここにいるのか??そして、ちょっとやそっと近づいたくらいでは、
鶴は逃げようともしない。初めて見たときには、何故こんな道に近いところに
置物を置いておくのだろうかと訝しがったくらいである。
これだったら御近所のタマの方がずっと用心深い。本当に野生動物か、こいつ?
何がいやって、浴衣がけのオジサン同士でおしゃべりするその1mしか離れて
いないところに、平然と立っているのである。
雰囲気としては、わかる。舞台は湯涌温泉、である。
温泉に出入りしようというときに殺気立ってる奴は、いない。のんびりと満ち足りた
人間は、鶴を脅かすようなことは、しない。で、車は鶴をよける。いや、私も最初
の時は置物(=他人の財産の一部)だと思って避けたのだが、ナマの、鳥そのものと
わかっても、避けたのだ。
鶴がいる場所は、寿司屋の前だった。
寿司屋のやつ、何かやったんじゃないのか?という疑いはすぐさま持った。
それで、総湯の風呂番のおねえさんに取材してみた。やっぱり。寿司屋が餌付けを
したのだそうである。鶴じゃなくてアオサギで、名前はガーコ。
ガーコ。ガーコはねえ。いくらなんでもひどかないか?なんちゅうセンスだ。
そして、おねえさんの話の裏付けがとれたのは、愛鳥週間を迎えた北国新聞において
であった。なんでも地元の寿司屋が8年前に傷ついたアオサギをみつけ、残り物の
刺し身を与えては、介抱したものだという。
最初はなつかなかったらしいが、次第に慣れてきて、やがてケガが治って外に
放した後も朝夕の食事時には戻ってくるようになった・・・って。
最近は子供と見られる別のアオサギとともにえさをねだりに来る・・・って。
子連れで帰って来て、食事を催促するってか。
嫁に行った娘じゃあるまいし。なんだかなあ。
よくまあ台所の片隅でタマゴを孵すと言い出さなかったことだ。
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4月下旬に入る頃、家の前の田圃に水が入った。
毎年のことだが田圃に水を張ると鴨が飛んで来る。水を張るだけではなく、代かき
って言うんですか?田圃の準備のこと。あれをやると鴨が食事しやすくなるのかも
しれない。
田圃に水が入る直前あたりから、蛙が鳴きはじめる。
5月になるとオタマジャクシを用水路で発見することになり、稲が育って窮屈に
なってくると、鴨は来なくなる。その頃には、社宅はカエルだらけだ。
うちは2階だが、ここまで上ってくる奴も、いる。それほど大きくはなく、
小さくてカワイイものなので、害虫駆除をノルマにカエルの存在を許している。
・・・しまった、カエルの話になってしまった。