多分最後のおもてなし

人形町の井上さん達が、オジサン3人というメンバーで、1泊二日で遊びにきた。
たったこれだけの時間で、うちの金沢生活の集大成をしゃぶりつくそうという
つもりである。ま、やれるだけのことはやってやっか〜。

というわけで、到着した彼らに、とりあえず昼は中華を食べましょうと言って、
駅からバスに乗ってもらい、碧羅に呼ぶ。駅から店まで、歩いてたったの1時間
ほどなのだが、井上さんによれば「残りの二人は歩くなら死んだ方がいい」タイプとの
ことで、いたしかたないのであった。

井上さんは、バスの中で「金沢まで来て住宅街中華かよ〜〜?」とボヤいていた
そうである。住宅街中華とは、中々いいネーミングと言えよう。だが、その住宅街
中華こそ、井上さんが 「夢中になって読みました。」と e-mailを寄越した熱血中華屋
なんである。確かに、現物を食べたいとは書いてなかったがなあ。いやはや。

食べた中身は、そのうち井上さんのHPに出るだろう。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~detectiv/

この店で食べて飲めば機嫌が直るのは常のことだ。ビールと中華で盛り上がり、
その後、またバスに乗って近江町市場まで行く。市場で売られている新鮮な魚を見て
いると、思わず客がいることを忘れ、魚買って帰りそうになる。ならない?え?
そういうのって私だけ?

カニが欲しいというので、いつもの店に連れて行く。ここは良い。何が良いって、
人の通行が少なくてゆっくり選べるし迷うことも出来るのだ。中央通りなんかじゃ、
人通りが多すぎて、買いたくても買えないのである。

というわけで、店の人が私を認めるなり、第一声はこれ。「こんにちわ〜。
今日はさすがにお客さん多いわねえ。」 そして、「今日はお友達を連れてきたの。
おまけしてあげてね。(にっこり〜)」確か以前にもこのお兄さんから買ったが、
敵さんが覚えていようがいまいが関係ない。どうせここは安い。モノもいい。

敵もノリ気。「そんじゃ、このズワイの箱に甘海老とウニつけて 5000円でどう?」
「や、安い・・」と井上さんの口から声がもれる。「えっと、岩牡蠣も欲しいんだ
けど。」「いくつ欲しいの?1個 150円。」おいこらちょっと待て。何でこの時期に
そんなに安い?と私も内心思う。夕方になっても 1個200円だぞ。私も欲しい。

いやにタマゴの量の多い、多産系の甘海老を見て、IK嶋さんもGN内さんも喜ぶ。
私は私で、後ろを振り向けば太胡瓜が200円なのに驚く。御近所のスーパーでは
出始めのこれが、380円だったのである。思わず2本、買う。

それにしても、市場ってどうしてこう盛り上がってしまうのだろうか。
皆、財布の紐がゆるい。金沢名物「豆板」など、こぞって買っていた。だがさすがに
大福入りパンの方は、気味が悪いということで財布の紐が閉まったが。うーん、

村上で抹茶をすすった後、枝垂桜を見ながら浅野川を渡り、芝居の書き割りのよう
な東茶屋街を歩く。つかこうへいの芝居をここで見たいという意見が出る。雨が降っ
たり止んだりするが、「このまま止めばいいんだけど」というセリフには、「大丈夫、
間違いなくまた降ってきます。」と答える。降ってたら、「間違いなくなく、また
止みます。」と答えるんだけどね。

浅野川沿いの民家に、今、帰ってきたばかりらしい猫がいた。飼い主は戸を開いて
入れというのだが例のごとく猫はぐずぐずして入ろうとはしない。お家のところまで
帰ってきたものの、家に入れとあらためて言われると入りたくないような気がして
くるのが猫というものである。

このほど猫を亡くした井上さんと、元来猫好きな私は思わず立ち止まり、未練
がましく猫の様子を見てしまうのだが、残り3人は猫に関心がないので、さっさと
行ってしまう。薄情なやつらのあとを、カサさして小走りで追う。

そのへんの武家屋敷(戦災にあわなかったからか、こういうのが金沢にはゴロゴロ
している)なぞ覗き込みながら兼六園に向かう。途中、味噌蔵町小学校というのに
通りかかると、おじさんたち、名前が変だというので喜んで盛り上がっている。
いい年してこういうことが大好きなのだ。で、こういう奴らに限って、金沢まで
たどりついてしまうのだ。もしかして、類友・・・??

兼六園を見たあとは、香林坊の、椅子のある本屋でつくろぐ。たいして歩いても
いないのに、暖かさに忘れていた酒の酔いが帰ってきて皆、寝そうになっている。
だが、夕食の為に外に出ると、雨は降ってるは寒いはで、ほーら目が覚めた!

「たかむら」で夕食。どんなだったかは、井上さんのHPに出るだろーと思う。
碧羅といい、ここの料理がこんななら、よそのお店はどんなかと思われそうな店構え
である。是非この次に金沢に来たときは、高級料亭に入ってみてほしい。
私達は、つきあいたくないからな。

そして2次会は、先日見つけた、例のごとく傾きそうな寿司屋でふぐでも握って
もらおうという話をしてたが、お腹の隙間が足りなくなってしまい、しょうがなく
帰ることになった。

その寿司屋の女将はケバい美人で一見寿司屋の女将には見えないが、中身は
誰よりも寿司屋の女将という、意外性に富んだ人である。山菜やら植物やらの話を
聞くにつけ、何故もっと早く入らなかったのか、悔やまれる。店の名前は、翁寿司。

余談だが、後日この女将さんは夫に向かって「この間、奥様を近江市場でお見かけ
しましたよ。一生懸命買い物なさってたから、声はおかけしませんでしたが。」
と言ったのだそうである。それはどう考えてもこの人達と一緒の時だった。

翌朝は、忍者寺に放り込んだ。昨日の時点で入れたかったのだが、酒飲んだら
この寺には入れないのである。予約の電話をかけていると、「3人」という数字を
聞いてG内さんが「あっ、雨ノ森さんたら一緒に来ないのー?」とうるさい。甘えるん
じゃない、行けばわかるが、同じ説明を三度も聞けるかっつーの!

予約の時間に入り、お寺を見て出てきたオジサン達は静かだった。
このお寺の血なまぐさい解説を聞かされたあとは、誰しもこうなるはず・・だが。
「昔の人は頭が良かったのねー。」という感想を口に出してるオバサンもいたし、
勝手にそのへんを開け閉てして叱られたオバサンもいたらしい。度胸あるなあ。
そう言えば、出て来るなりオジサンの一人は「冷え込みました」と言ったなあ。

食事。市場まで来たが、どこも開いてない。
市場周辺はすべて休みなのである。しょーがないんで、近くの寿司屋に入る。
寿司とビールで何故か大河ドラマの話などになる。

時宗役(役者の名前がわからん)と兄ちゃん役が逆ならいいのに、などと話す。
あのきれいな顔で仇役をやってくれたら、話に余計深みが出るような気がするのだ。
そんで、変な言い方だけど、時宗役の彼の顔って、鼻と言わずほっぺと言わず
額と言わず、見ているとそこかしこつまんでみたくなるのは私だけだろうか?
愛でもえっちでもなくて、どうもあの肌の質感が気になってしょうがない。

大河ドラマで観光地は10年保つ、そうである。本当だろうと私も思う。
例えば好きな役者が石川門によりかかるシーンでもあろうものなら、そりゃまあ
石川門まで来て、門の石をなでさすってみたくもなるのではないか。
馬鹿と言えば馬鹿だが、そんなもんだと思う。少なくとも私は。

そう言えば、「利家とまつ弁当」というのが出来たそうだが、中身はどうなっている
のだろうか。「樅の木は残った弁当」というのがあって、一見普通の弁当だが、弁当箱
の底には樅の木が印刷してあるのだそうである。で、食べ終わると、「樅の木は
残った」。馬鹿売れしたそうだが、なるほどそれなら私も食べてみたい!

そんなこんなで駅まで行って、この人達、1泊二日なので、もう帰らなければなら
ない。2人を空港行の高速バスに客を乗せて、そのあと関西方面に行く客と飲んで
から1時間後に電車に乗せて。そしたら残ったのは、一人の女の酔っ払いだった。