履歴書在中


夫が古本屋で池澤夏樹を買ってきた。
本は「むくどり通信」で、その昔、週刊朝日に連載されていたものだった。
連載中は毎週読んでいたが、とっくに昔の話となり、久しぶりに読み返したく
なったのだろう。

そこまでは良かったのだが、本の中には、納品書が入っていた。
それによるとこの人は 2冊、会社出入りの本屋「北国書林」に注文している。
「むくどり通信」の他のもう1冊は、1900円の本という値段だけしか書いてなくて、
タイトルはわからない。

そして注文主は、「H陸A日放送」の「Y崎K哉様」であった。←全然伏せてない?
同じ趣味を持つ人の名前を知る喜び?いや、意味ないだろう。大体、「むくどり通信」
を買う人くらいはいくらでもいるはずだ。ただ、ほんの少々親近感を覚えてしまった
彼の不用心さが、心配になる。悪いことはいわない、納品書は捨ててから売った方が
いいぞ。

本は2刷発行で、日付は 5月30日になっているが、買った日付は、同じ1994年の
10月12日となっている。本が出てすぐに買ったわけではないようだし、案外、好き
なのは本を読む方であって、池澤夏樹ではないのかもしれない。なんたって、
売っちゃったんだからなあ。でも、ここまできたら、売った日付も欲しかったね。

それでもこの人、何でこの本取り寄せる気になったかな。面白そうな書評でも
読んだかな。それとも誰かに薦められたかな。そんな友達が、いるのかな。
私の知り合いだったら、薦めるより先に現物を送ってきちゃうけどな。他にどんな
本読んでるかな。大体この人、今もこのお勤め先にいるのかな。同じように北国書林
に本の注文出しては読んで、読んでは売って、また注文を出しているかな。

顔を見たいとまでは、思わない。ただ、思ってみるばかりである。