にんにくや
「にんにくや」という名前の店がある。
あちこちで見たが、入った事がない。夫が連れて行ってくれないからである。そこそこの店なら、普段なら私も一人で入る。
だが。「にんにくや」に一人で入っていく女を見て、世間はどう思うだろうか!自動的に、「んまー、よっぽどにんにくが好きなのねえ〜」という事になってしまうではないか!!「そんなに精つけてどうすんの?」とも・・・。
そう、ここは金沢だ。
イタめし屋に一人で入ってたらふく食うというだけで、「金沢の人間ではないんですね!?」なんて言われる土地柄なんだぞ。だと言うのに、にんにくやなんかに女一人で入って堪能しちゃったら、何を言われるかは想像に難くない。
確かに私は金沢の人間ではない。だからにんにくやに一人で入ってもいい。
(本当かよー)ただ、別の展開が私の脳裏にうかぶのである。
イタめし屋に入るだけで「金沢の人間ではない」のなら、にんにくやに一人で入ったら、「他所の人間でさえない」つまり、人間ではないという事になるのではないか!?
「いやー、ただ単に女じゃないよなあってだけじゃないのー?」と言って下さる方もあるかもしれない。女だなんて、そんなもんは、とっくに捨ててるようなもんだが、しかし人間扱いされないのは困る。いやほんとに。
人が「人間なんだから」と言う時、意味は二つある。
「人間はケダモノの一種だ」というのと、「人間はケダモノではない」という、この二つである。温かい言い方をする時は「ケダモノでもしょうがないよね」と言ってくれてるし、冷たい言い方をするときには「ケダモノじゃあるまいし!」と怒られてる事になる。
で。にんにくやについつい一人でも入ってしまいそうになる私に、世間はどんな言葉をかけてくれるのであろうか。
人間なんだから、ただ生き延びるという事を卒業して、素材や料理というものに関心を払い、みずから実行してみようと思ってもいいではないか・・・と自分では思うのだが。