フィールド・ワークの欲望
先日、10年以上ぶりにナンパにあってしまった。
時間は午後 7時すぎ、碧羅でゴハン食べてビールも少し飲んで、さて帰ってまた
文書でも書くか、えっへっへー、と巾着振り回して、てんころてんころ歩いている
ところであった。今にして思えば、我ながら実にスキだらけというか、非常にくみ
しやすそうな態度で歩いてはいたな、確かに。
昨今のナンパ事情を私は知らない。それどころか・・まあ、そんなことはどうでも
いい。ナンパの歴史、その変遷など書けてもしょーがない・・わけでもないな。
大体ああいったものは庶民階級の・・ええい、前に進まぬ。モノの本の、ナンパと
いうものは、ないならないで、さみしいものなのである、ということで話を
先に進めよう。でもこれ、このトシで言うのは既に図々しい話なんですけどね。
というわけで、相手の顔をつぶすようなこともなくお行儀良くお断りした後、私は
正直に気分を良くした。わざわざ警戒心起こさせるような、薄暗い道で声をかける
という、敵さんの馬鹿さなどは、あっちの方に投げ捨てておいた。で、その後なんで
ある。イケナイ気持ちがふつふつと湧いて来た。
「いっそお茶ぐらい。」・・・イケナイ気持ち、それは好奇心だった。
私は、土地の話に飢えている。大体がとこ、金沢生え抜きのお友達なんて、
クソ忙しくて私の相手などしていられないおじさん約一名のみ、残りは何故か、
これがぜーーんぶ!見事に!よそからやって来てる人々なんである。(T^T)
飢えた私は、ゴミの日のお当番で組んだ相手さえも、質問攻めにした。
その日の収穫は、その人のところでは、正月のお菓子「福梅」は自分の家では買わ
ないけれど、誰かが必ず持ってくるので、食べずに正月が終わることはない、という
話であった。これは、すごい。金沢における「福梅」の位置を端的に示している
ではないか。いやあ、ゴミ当番もやってみるもんである。惜しむらくは、年に一度
だということで。そして、あれから彼女はココロなしか私を避けているような・・。
金沢の人でなくてもかまわない。富山だろうが福井だろうが。能登あたりだったら
それはそれで、文化が違うからまた面白いのである。寿司屋のお兄さんから聞いた
「いしる(しょっつる)は、魚屋で買った。」という言葉は新鮮だったもんだ。
そしてこういう話は、車もTVも家になかった頃を知ってる年代の人の方が面白い。
こないだなんて、タクシーの運転手さんから昔の火葬の話なんか聞いちゃったぞ。
今と違って正座させて焼いたが、なんか、「生木を使うとホトケさんが立ち上がって
しまう」とかなんとか。(^^;)アマチュアが行う火葬のコツなど知ってどうするかと
言われればそうかもしれないが、味のある運転手さんではないか。少し、別れ難い
気持ちになったくらいである。
もちろん、ナンパの彼の目的が目的であるからには、こんな望みは大迷惑なことは
確かである。大体そんな面白い話が出来るくらいなら、あんなところで私に声を
かける必要はない。(一方で、聞き方によるかもしれない、とも書いておく)
夫は会社でバイトのお嬢さん達に「普段、何食べてるのー?」などと聞いては
困られてるそうである。そんな、人格形成やらフトコロ状態やら、ひいてはお嫁の
行く先にも関係するような一大事を一見の上司ごときが明るく聞いてはいかんと
私は夫をたしなめているのだが。
けっこー、似てるのかもしれない。