春:金沢の場合

  もういくらなんでも雪なんか降るもんか!ってなわけで、桜が咲くころに、
浅野川園遊会というのがある。これはどういうのかと言えば、浅野川に舞台しつらえ
て土地のきれいどころが芸を披露するというやつだ。水芸だなんて、未だにこんなの
やってるのかと思えばこれこそは金沢ならではの観光行事と言えるが、残念ながら
それほど知られていないのだそうである。

  近所の寿司屋さんの話でも観光客は眼中に入ってなかった。今春BSで放送された
ことで少しは全国区の行事となれればいいねえと話したものだ。で、余談だが、この
寿司屋は今時分は予約が入るとイワナを釣りに行くのだそうである。その横では
奥さんが山菜採り。夫唱婦随?うーーん、すごい仕入れだ。

  桜が咲くと、兼六園の無料開放がある。兼六園に年間どれだけの税金をかけている
かという話はあちこちでよく出る。兼六園やその周囲は実に丁寧に管理されている。
そして、桜が咲く夜間の兼六園は素晴らしい。無料にした名所は荒れるのが常だそう
である。だったら、無料開放なんかするなといいたくなるほど美しい。
来る人全てに、「これにあなたならいくら支払う?」と聞きたくなるほど美しい。

  平地のソメイヨシノが散ると、山では山菜採りが始まる。
入山禁止の看板はあちこちにある。つまりそれほど皆様、山菜が好きなんである。
私が行くほどの山の中(トホホ・・)にはさすがに看板はないが、だからこそか、休日
ともなればあちこちの山の斜面に人が張り付いて採っているのを見ることが出来る。
夫は「入山料を徴収してみたらどうだろう?」と笑うが、余所んちの山でか。うーん。

  近くに、竹の子が名物となっている集落があり、「竹の子料理」の看板があちこち
に出ている。どんなものを出すのか興味はあったが、竹の子はさほど好きではなく、
今までは素通りするだけだった。しかし、GW初日に市内からそちらに走れば、珍
しく車が何台も後ろに続く。何かと思えば、皆竹の子の買い出し組なのだった。

  なるほどあちこちに竹の子の店が出ている。スーパーで買うのはいやだけど、後ろ
に竹薮背負ってるようなところなら、そこそこ食えるのを売ってるかもしれないと
思えばこそ、ついよろよろと入ってみたくもなる。ある店は、1gが1円だった。

  立ち寄ったのは午後 2時だったが、「朝掘りですか。」と言ったら「昼過ぎです」
という答え。店(普段は倉庫、みたいだったな)をやっているのは、化粧をびしっと
したおばさん。てことは、残りの家族は竹薮で掘りまくっているのだろう。中には
掘るのに失敗したようなのもあったが、あれは慣れない娘婿の仕業か?
ま、そんな御時世ではないかもしれないが。

  帰宅途中通りかかった「竹の子ごはん」の看板がかかった民家の前にはずらりと車が
7〜8台並んでいた。いくらGWったって、あれが全部、余所から帰ってきた
そこんちの子供たちの車、ってことはないだろう。そんなに好きか、竹の子ごはん?

   5月直前にならないと入れない山もある。雪と雪崩れによる山崩れを工事し終わら
ないと入れない、そういう道しか通ってない山である。秋には散々通った犀川ダム
への道もその一つ。この犀川通り周辺の地区には、「末」だの「駒帰」だのという
要約すれば「田舎でございます」ってな、わかりやすい名前がついている。

  が、名前通りだったのは昔の話であり、20年くらい淀んでいるように見える空気や
この土地独特の家や集落のたたずまいの中にあって、皆、オトナの数だけ車を持ち、
個人輸入やインターネットで遊んでいる、かもしんない。が、そんなことは余所者に
とってはどうでもいいこと。勝手な妄想と知りつつ、遊ばせてもらえばいい。

  この道は、あちこちで大量の雪溶け水が吹き出している。GWともなれば、車は
多い。どういう関係の人なのか、新緑の枝や、花の着いてない椿の枝をたくさん
せしめている人々もいる。手に持っているのはキクザキイチゲで、つまりまだこれが
咲いているほど、ここは涼しいわけだ。里山ではもう終わっている。

  やはり雪溶け水、ダムは、喉元まで水をたたえている。
目の前の山の上の方にはまだ雪が残っていて、その上で桜が咲いている。本当に桜
なのか不思議に思えるくらい桃色が濃い木も見える。カモシカにでもならない限り、
確かめようがないのが辛い。カモシカが駄目ならいっそタヌキでもいい!違うな。
やっぱ何かの鳥ー?←何もここまで入ってしまわなくとも・・・誰もついて来れんぞ。

  犀川ダムは割りとメジャーなところなので、、道端には何も残っていない。
1歩とか、3歩くらい奥に入れば面白いものがあるのかもしれないが、まだ入った
ことがない。この犀川ダムや医王山が暖かくなったら、金沢の春が本当に終わる。
その前になんとかして入りたいものだが・・・。