「かき浜」へ行ってきたのだ

 というわけで、石川県在住の知人に教えられた穴水は「かき浜」に行くことにした。
かきはRのつく月に食べるべし、って本当かどうかは知らないけど、連休最初の
方に泊りがけでどっか行こう!ということになって、それじゃもうシーズンも
終わりだからと、牡蠣を堪能することにしたのだ。

 電話予約の時にもきっぱりと「牡蠣を食べたいんです!」と言った。夫は「かきは
かきでも、ほしがきが出てくるかもしれんぞー!」とまぜっかえすが、
うるせえやい。

 で、まわり道と山道がだ〜い好きな私たちは、金沢から福光に抜けて、それから
チューリップ祭りの砺波を横目に小矢部、高岡、氷見に抜け、氷見のマクドから
民宿に電話したら「そこからなら、1時間くらいです」って、普通に走ったら2時間
かかった。普段、一体どんな運転しとるんじゃい!!

 先にお風呂に入り、用意できましたと言われて、囲炉裏端と書かれた部屋に入る。
と、そこはバーベキュー部屋だった。細長い囲炉裏があって、そこに炭を入れ、
まあそこまではなん〜とも思わなかったが、ナイフとカキつかみ?と軍手と、
それならまだしもエプロンまで用意されている。

 そこに登場するのは民宿の奥さんで、洗面器より大きく見える金物のボウルに
山ほど生カキを入れてきた。「カラはこっちに入れてくださいねー。あ、初めて?
じゃ、教えましょう。カキのこのへんが乾いてきたら焼きあがりです。」

 炭の匂いをかぎながら、カキが焼きあがるのをまつ。もしかして、から付きの
かきなら、このままこじ開けて生で食べてもいいのでは?と思いつつ、待つ。

 しかし、牡蠣もそのまま食べられてしまうほどいいタマではなかったのである。
カラの破片が、パンパン飛び、顔にも髪にも襲いかかる。汁もぷしゅうっ!とか
なんとか音をたてて降りかかる。景気がいいったらありゃしない。このための
エプロンなのだと感心するが、出来るなら覆面もつけて欲しかった。(なんと
怪しい食事風景だろうか・・・)

 そのへんの店で能登産の生カキのパックを買うと、粒が大きいのに驚かされる。
で、ここの牡蠣もまた1粒が大きい。ようようカラをこじあけ食うと、
しょっぱくて、その後こってりと。パリの生牡蠣もこんなだっけ。これに、バター
つけた田舎パンとシャブリがあったら、フランス人が口惜しがるだろうなあ。
けけけけけけ。

 次は、ほっかむり用のタオル(三角巾でもいいぞ)と、お願いしてフランス・
セットを持ち込ませてもらおう。

 ビール飲みながら、牡蠣と格闘する。そのうち牡蠣フライも到着する。
ナイフさばきも段々慣れてくる。牡蠣だって負けてはいず、力一杯反撃してくる。
浴衣の袖で牡蠣が飛ばすからの破片や汁をよけながら、食う、飲む、焼く。
牡蠣の粒が大きいこと大きいこと。

 「ま、まだあるの?」と聞けば「あと6つくらい」。それでまた食う、飲む、焼く。
私の人生に、牡蠣でお腹一杯になる日が来ようとは。食べ終わり、「終わりました」
と報告?に行くと、「じゃ、ごはんと汁を用意しましょうか?」と聞く。

 今にして思えば、その言葉は疑問形だった。食わずにどうすると思って、「はい」
と答えたが、普通はそこまでたどり着かないのかもしれない。いや、たどりついた
ところで、ごはんに汁まで食べようと思わないのかもしれない。台所では、「いや
まさか全部食べるとは思わなかったな〜」な〜んて言ってたのかも。

 ごはんは牡蠣ごはんだった。それに、味噌汁とお漬物。これ以上なにかついて
きても困るけど、全体を見渡せば、いたってシンプル。部屋に帰るために立つ
のもいやなほど、堪能してしまった。

 翌朝は、食事をしてから9時に宿を発った。
牡蠣がああいう食べ方をされる場所、穴水おそるべしと話しながら帰った。
昼は門前町のおろし蕎麦だったが、夜は、そらもう熱血中華となった。