中華料理屋で考えた
夫は今日も遅いというわけで、一人分のメシを作るのもナンだしと、
もてあました胃袋を中華料理屋に持って行く事にした。
金沢って、都会なんだか田舎なんだかわからない。
確かにここは北陸一の繁華街、香林坊から歩いて25分、ではあるが
田んぼだってあるし、畑もある。で、そのうちの御近所には、中国人がやってる
中華料理店が2つあるわけだ。
本当の中華料理にラーメンがないという事くらいは知っている。
しかし、日本で中華料理を商売にするとなれば、なくていいわけがない。
そんなふうに相手の足下を見ながら、昼や一人っきりの時はラーメンを食べる。
と、今日は私も一人だったが、相手も一人だった。
敵は、暇をもてあましていた。そして、私は話を「流す」というか、ありそうな
パターンでその場をしのいで行くというのが嫌いな性質、または何でもかんでも
マジに言葉を探したくなる、暇でお馬鹿な体質、なのだった。
いやー、まさかラーメン食べに行って文化論になっちゃうとは思わなかったね。
彼は、「どうでしたか」と聞くと誰しも「おいしかった」と答える事に悩み、
昼に客が来ない事に悩み、土日にしか店が満員にならない事に悩み、
とにかくとにかく、「この人達は、本当は一体何を考えているんだろう?」と
悩んでいた。
敵さんは真面目な奴で、ラーメンを作りたくないのであった。
本当の中華を食べさせたいから、大人数で食べる場合は、ラーメンとギョウザだけで
食べるより一品料理を注文した方が安くなるような工夫もしていた。
で、高ければお客は入らないし、量が少ないのは自分は嫌いなので(ははは)、
いつだって原価と売価のせめぎあいでと、スペアリブなんかは特にそうで、
出したいけれども肉自体が高く、客の全員が満足出来る量を出そうとすると
儲けが出ない。だから出せない。他にもこんな料理があり、あんな料理があり・・。
わかったわかった、だけどなあ、日本人がラーメンを食べようと思う時の
気持ちをどう言えばわかってもらえるだろうか。私はちょうどその日、ラーメンに
頃合いの状態だったのだ。いやほんとに、午前中は畑に行って、公園から枯れ葉を
かき集めたりした、今夜は夫がいない主婦はだなあ、ただ一人正直に、話す相手も
なく、麺をずずずずっ!と力一杯すすりこもうじゃないかという気持ちだったのだ。
もちろん、不味いのは嫌。(^^;)←このへんがまだ甘いか・・・?
彼のいうところによれば、その店はラーメンは1日に5〜7食しか出ないらしい。
残りは全て、本格中華なのだと彼は言った。OL風の女の子が二人で来て、1万円も
使って行った事だってある。彼女らに「半分でいいから」と彼は言ったそうだ。
彼の言葉の意味するところは、わかる。つまり、ハーフ・ポーションでいいと
言おうとしたわけね。
「へいきー
とか言われたでしょ?」「そう。」
中華料理屋で、1皿780円から高くても1000円の店で1万円使ってしまう二人の女。
彼女らに、一体何があったのか、私にはわからない。わかっているのは、普通の
女はちょっと間違えると男なんかメじゃない大食いになれるという事だ。(^^;)
中華包丁とはこういうもんだとか、中華鍋とはこういうもんだとか、実物まで
見せてもらっちゃって、ああ私、ラーメン食べに来て何故包丁をつきつけられ
なければならないのか?彼は中国では結婚式の料理を作っていたそうで、冷盆から
始まって魚の丸揚げは必ずイシモチだったとか、色々しゃべってくれたが、
「でもそれ10年も前の話。あの頃は今より中国は貧乏だったから、結婚式とも
なれば、貯金の全てを吐き出した。今はどんな風だか、ワタシわからない・・」
一人っ子政策始まってから何年経ってるか知らないが、そりゃーまー、
両方の祖父母まで入り交じって、もっと派手になってるのではないか。が、敵さん
における、贅沢や派手とはどういうものかと言えば、私にもわからない。
私が中国語を読まないように、彼は日本語を読まない。何故か店には「美味しん
ぼ」なんか置いてあって、コレが読めればねえ、と思ったが。単に日本人の
メンタリティに、驚くばかりかもしれない。父親に対してあんな失礼な態度をとる
など、中国人には想像もつかないはずだし。(^^;)混乱させるばかりかなあ?
ただ、日本的な「贅沢」の観念だけは、わかるはずだ。
日本人なら、海鮮ラーメンにそこそこの大きさのエビを出しておいて、使うときに
ちょん切るような馬鹿はしない。ちょん切ってしまったら、それは小さいエビを
使っているのと同じなんだって。それで原価の話なんかすんな。ああ、歯がゆい。
まだまだ色々あった。夫婦でやってきて、招興酒1升あけちゃう夫婦、毎日
来ては同じあんかけを食べる人・・。けど、さて私にどのようなアドバイスが出来る
のか。金沢料理で育った人が、彼の大連風中華を食べてどう思うのかなんて私に
わかるわけがない。が、彼は彼なりに満足したらしい。ゴハン食べなくてもいいから
遊びに来てとまで言われてしまった。(^^;)
早い話が、真剣に話をしてくれる人が欲しかったわけなんだろう。
大体、真剣に話をするもなにも、そこまで誰も中華料理の事なんて考えちゃ
いないんだよなあ。単に美味しくて安ければいいのであって、中華と一緒にビール
が何故売れないかって、「ビールは腹一杯になってしまうという伝説が日本には
はびこってるから、中華を腹一杯詰め込もうという時には邪魔なのだ」という
ような話が出てくる人はそうそういない。(出てくるのは、暇人のゴクツブシだ〜)
この次は、夕食に行くか。実はこの店は3度目で、ラーメン食べたら美味しかった
んで、次は夕食に行って、で、この日は久しぶりにラーメンときたわけだったが。
・・・そんなに言うなら、力一杯腕を奮わせる機会を作ってやろうかい。
・・・どっちみち、2度とあの店では、ラーメンは食べられない。(T^T)/