花粉症の特殊な治療
 
花粉症の治療は、マスクやうがい、洗顔などで花粉を除去することと、内服薬、点鼻薬が治療の中心となります。
しかし、これ以外にも特殊な治療法があります。当院で行っている特殊な治療をご紹介します。
特殊といっても、全国的にはごく普通に行われている治療法で、別に珍しくはありませんが、行われていないところもあるため、特殊と書かせていただきました。
花粉症の治療はどれも100%の効果があるものはありません。一つの方法で効果が少ない場合、他の方法を併用することで治療効果を上げることが期待できます。

アルゴンプラズマ治療免疫療法(減感作療法)



アルゴンプラズマ治療


*アルゴンプラズマ凝固とは
 アルゴンプラズマ凝固とは、高周波電流をアルゴンガスとともに流すというもので、止血、組織を失活させ固めてしまう、などの効果があります。この原理を利用して、アレルギー性鼻炎の下鼻甲介焼灼術、鼻出血の止血などに用います。手術の方法は、装置の原理が異なりますがレーザー手術に類似しています。

*アレルギー性鼻炎のプラズマ凝固手術の特徴
 アレルギー性鼻炎の反応は、主として鼻内の下鼻甲介という部分で起こります。この下鼻甲介の表面をアルゴンプラズマで焼灼し、凝固させてアレルギー反応を起こさせなくするというものです。
 アルゴンプラズマ凝固では、理論的に焼灼が深部に到達しにくいため、狭い鼻の中での手術の安全性が高くなっています。また、効率よく焼灼が行われるため、手術時間が短くて済むという利点があります。

*プラズマ凝固手術の適応
 花粉症などのアレルギー性鼻炎の患者さんはすべて対象になりますが、特に、薬で鼻づまりが取れにくい人、薬をあまりのめない、またはのみたくない人、などが最もよい適応になります。
年齢の制限はありませんが、基本的に麻酔、手術が静かに受けられる年齢以上ということになります。小児では鼻の中が狭く、手術がかなり難しいので、具体的には中学生以上ぐらいが望ましいでしょう。

*具体的な手術方法と手術効果について
 鼻の中に麻酔薬をつけたガーゼを入れて麻酔を行い、約30分後に、アルゴンプラズマで鼻粘膜を処置します。実際の処置時間は10分前後です。
 これで手術は終了です。術後には出血や痛みはあまり無く、ガーゼをつめたりはしません。もちろん入院の必要もありません。
 術後には、粘膜の炎症反応のために一時的に鼻づまりが強くなりますが、1〜2週間程度で改善します。
その後は、症状は改善してきます。
アルゴンプラズマサージャリー研究会のデータでは、手術から3ヶ月後の統計で、98%の人に鼻づまりの改善がみられています。鼻水の改善は78%、くしゃみは60%となっています。
当院では詳しい統計は取っていませんが、概ねこのデータに近い印象です。ただ個人差が非常に大きく、全く無症状になった人もあれば、あまり改善が自覚されない人もおられますので、全員に完全な効果が出るとは言えません。
 スギ花粉症の患者さんの場合、スギ花粉シーズンの少なくとも1ヶ月ぐらい前までに終了しておく必要があります。秋から年末ぐらいが一番いいと思います。
 手術の効果は、残念ながら永久的に続くわけではありません。治癒力によって粘膜が再生してくるからです。一度の手術で、2〜3年間効果が持続するといわれています。
 言い換えれば、粘膜に過大な処置を行っていないとも言えるわけで、安全性は高く、何度も繰り返して処置を受けることもできます。
 この手術には健康保険が適応されます。

*手術を希望される方へ...予約など
 予約制となっています。手術適応、手術の可否など、最初に診察させて頂く必要があります。
とりあえず来院されるか、または電話でお問い合わせ下さい。(059-213-1200)




免疫療法(減感作療法)
 アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に対して、抗原物質を少量ずつ注射し、アレルギー反応を抑えるというものです。現在の所、ハウスダストとスギ花粉の治療エキスが使用可能です。
 抗原を入れてなぜ反応が抑制されるのか、実のところはっきりとはわかっていません。最近では研究が進んでいますがなかなか複雑なようです。どうやら、免疫反応を行うリンパ球が抑制されるらしいということですが、簡単に言ってしまうと「抗原物質に慣らされて反応が鈍くなる」というところでしょうか。
 臨床効果は、6〜7割の方が症状が軽くなります。非常に良く効けば花粉症でも薬がいらなくなります。
 問題が無いわけではありません。最大の問題が2点あります。
 一つは、抗原物質を注射するので、アレルギー反応が起こる可能性があるということです。注射した局所の腫れ、じんましん、喘息、ショック症状、等の全身症状も起こり得ます。
 もう一点は、期間が長くかかるということです。通常、週1回の注射を約半年間、その後は間隔を月1回までのばして、2年から3年間、と、とても根気が必要です。途中でやめれば効果があまり得られず、それまでの治療が無駄になってしまいます。
このような苦労の末、有効率が100%ではないので効果が出ない人もあるわけです。
 こういった問題点のためにこの治療法はなかなか普及しません。しかし、花粉症の症状が重く、薬もなかなか効きにくいといった場合は、トライしてみる価値はあると思います。
 安全性を高め、治療期間も短くて済む免疫療法の薬剤は、実は開発中のようです。あと数年たてば出てくる可能性が高いと思います。そうなれば花粉症の治療の主体は薬から免疫療法へと移ってくるかもしれません。
実際の治療については、当院でご相談下さい。