はじめ

目次

71号

実現する市民ネットワークができました。
「男女平等のまち仙台」をめざす条例の制定を

樋口典子

 社会経済やこれまでの社会のあり方が揺らぎ、人々の価値観が多様化している中、「法の下の男女平等の実現への一層の努力」と「社会の急速な変化への対応」を進める上で、「男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会」をつくることは、わが国の緊急な課題であるとして、1999年「男女共同参画社会基本法」が生まれました。

Q.国の法律があるのに、何故地方で条例をつくる必要があるのでしょう?
A.男女共同参画社会基本法は、地方自治体が国の施策に準じ、地域の特性に応じた施策を具体化する責務があるとしています。(第9条)。そこで、地方の実情にあった、具体的な施策を進めるために独自の条例づくりが、各地ですすめられているのです。

Q.条例ができた自治体はどれくらいあるのでしょうか?
A.40都道府県、97市町村が独自の条例を制定しています。(2003年5年1月1日現在)。政令指定都市では、7つの都市で既に制定。現在、仙台市を含む4つの政令指定都市全てが制定に向けた取り組みをしています。仙台市では、2003年度の条例制定を目標に、2001年6月、市の審議会である「仙台市ジェンダーフリー推進協議会」に「男女共同参画推進に関する条例のあり方」を諮問しました。審議会は、広く市民意見の聴取を行い、1年半に及ぶ審議を重ね、昨年11月に答申をしました。これを受け仙台市では、今年2月に開会される市議会へ条例案を提出する予定です。答申の精神を十分に反映した条例の成立を期待し、多くの市民のみなさんに答申の内容を正しく理解していただけるよう、その概要を次に紹介するとともに、これまで議会などで出された質問などを中心にしたQ&Aを載せました。

★答申「男女共同参画推進に関する条例のあり方」に示された考え方 
★提言は、「誰しもが一人の人間として認められ、かつ、性別にかかわらず、個人としての誇りを持って生きることができる平等で多様性を認が認められる『男女平等のまち』」を目指すべき社会と位置付けています。現実社会には、DVやセクハラなど人間としての尊厳を著しく踏みにじられ、場合によっては生命が危険にさらされるような人権侵害や、固定的役割分業に代表されるように性別を理由とする生き方の拘束そして処遇評価の性別格差がまだまだあります。提言は、このように否定的な評価を受けている「女性の人権擁護・社会的不利益の解消」をしっかりと捉え、市政の要諦に据えるよう提言しています。この捉えかたは、一見したところ女性優遇策のように見られますが、大切なことは、男性にとっても生き方の解放に通じるということです。というのは、従来の固定的な性別役割分業意識により「男は仕事に生涯を捧げるもの」として縛られていたわけですが、新しい社会のあり方は、そのような生活観の見直しに通じ、家庭生活やその他の活動において、新たな「自分」を発見することにもなるのです。男女という性別による格差解消という見方はそれだけで完結するものではありません。この提言は「法の下の平等」という観点から、あらゆるかたちの社会的格差の解消をめざしつつ、男女共同参画を進めようというものなのです。 

「ジェンダー」とは、社会的・文化的につくられた性差のことで、生物学的な性差(セックス)と  区別してつかわれています。

Q.「ジェンダーフリーは、男らしさ、女らしさを否定している」
A.ほかにも、「男らしさ、女らしさ自体をなくしてしまうものだ」といった誤解が一部になされていますが、一般には「ジェンダー意識にとらわれない」といった主旨で用いられてきました。個人を性別によって「男らしさ、女らしさ」の枠にはめてしまわずに、一人一人の個性を尊重する、個性の中にある男らしさも、女らしさも含め、その人らしさを認め合っていくことなのだと考えます。

Q.「男女は平等ではないのか。妻は現状に満足しているし、立派に家庭を守っている」
A.条例は、広く地域全体の女性がおかれた状況をふまえてつくられる、地域による地域のための法律です。個人の生活の周辺に、困難を抱える女性がいないから条例は必要ない、ということにはならないのではないでしょうか。答申には、「仙台の女性か感じている男女不平等感は、全国平均よりも高い傾向にある」など、データーに基づく仙台市の女性の意識や状況の資料が掲載されています。

Q.「専業主婦を否定するものではないか」「女性がみんな働くのか」
A.男女共同参画社会基本法や審議会答申に示された考え方は、性別によって生き方をこうあるべきだと枠にはめてしまわない、というものだと考えます。「専業主婦」、「共働き主婦」、「シングル」など、どの生き方も尊重されること、男女ともに自分らしい生き方の選択肢があり、多様性が認めあえる社会を目指すものと考えます。

Q.「女性の健康」ばかりでなく、「男性の健康」問題もあるのではないか
A.生涯にわたる健康はすべての人にとって重要な問題です。しかし、「産む性」である女性が、より身体的な負担を抱えたり、男性と女性の生理的な違いを理由に社会的な差別が生じたりしています。こうしたことを解消するために、正確な知識を学ぶ場や情報を得る機会をつくることは、大切なことだと考えます。

Q.「ひな祭り」や「鯉のぼり」など日本の伝統や文化が否定されるのではないか
A.伝統・文化や慣習には、変わることなく受け継がれてきたもあれば、時代に適した変容をしながら受け継がれてきたものもあります。伝統・文化や慣習は、法律・条令が一律に否定したり、反対に、固守したりするものでもありません。何を伝え、何を変えるのかを選んでいくのは私たち一人一人ではないでしょうか。

「男女平等のまち 仙台」をめざす条例の制定を実現する市民ネットワーク(代表 長池博子)http://www.kaigamori.com/jyourei/index.shtml
e-mail jjsn@mail.goo.ne.jp
☆「別姓を考える会」も上記ネットワークの賛同団体になっています。