はじめ

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69号

家名存続・養子・法改正
〜相談会報告〜

土屋聡 

 夏の別姓相談会は8/25に、いつものエルパーク仙台で行いました。初めての方、久しぶりの方、いつもの方という感じの大人9名子ども1名の参加者でした。今回は「明日から始める夫婦別姓」というタイトルでしたが、相談に来たAさんの具体的な案件について、みんなでいろいろと知恵を絞りました。
 Aさんは、国会の動きについて知りたくて、はるばる新潟から来てくださった男性です。選択的夫婦別姓の法制化を、待ち望んでいるとのことでした。お話を聞いて、なるほどいろんなケースがあるものだと、考えさせられました。
 Aさんのお連れ合いは、結婚改姓しました。お連れ合いは、一人っ子でした。お連れ合いの親御さんは、姓を残すことを切望し、Aさん方の娘さんを養子にしました。ところが、その娘さんも大人になり、結婚し改姓しました。親御さん方は、もうかなりの高齢。何とか姓を残したいとの考えは捨てきれません。Aさんご自身の親御さんが亡くなり、Aさんがお連れ合いの親御さんの養子になることも選択肢になってきました。そんなとき、別姓という選択があることに気付き、関心を持ちました。夫婦別姓が法制化されれば、Aさんはそのままの姓で、お連れ合いは旧姓を名乗ることができる! Aさんには、娘さんがまだいますが、その娘さんを養子にすることは考えていません。自分で辛いと感じることは、娘に押し付けたくないから。お連れ合いの親御さんがより一層高齢になる中、もう少し待てば...とは言えなくなっている状況ということでした。
 参加した皆さんから、いろんなアドバイス・意見がありました。お連れ合いが通称として旧姓を名乗ればいいのでは...という意見もありましたが、Aさんのお連れ合いの親御さんは、「正式に」姓を名乗ってもらわないと意味がないと言っているそうです。もしも、Aさんが養子になっても、その後で、その姓を継ぐ人がいないのではないですか、という話もありました。お連れ合いの親御さんも、実は養子だったそうです。先代から守るように託された姓を、自分の代で絶やしたくない...とにかく継ぐだけはしたい...という考えがあるということでした。きっと、親御さんご自身、いろんなご苦労があったことと思います。
 正直言って、すぐに法律が改正されるとは、言えない状況です。そう私が言いました。ちょっと酷だなぁと思いましたが、無責任なことは言えません。娘さんに養子になるようには言えないと言っていた優しさが、私には理解ができる気がしました。ですから、もしも私なら...ということで話しました...10年前の私なら、きっと親御さんの話を理解しようとしなかったと思います。姓を守るだなんて!と、抵抗したでしょうし、そういうものから自由になりましょうと、小生意気に親御さんを諭したと思います。でも、今なら、多分ひょいと養子になっちゃうと思います。自分の姓のこと、自分の親のことなどを考えると、面倒くさいなぁと感じます。でも、養子になるということを、あまり重大にとらえないで済むようになってきたのかもしれません。Aさんに、養子になるのがいいですと、勧めませんが、私なら、養子になっちゃうような気がします...。
 夫婦別姓を希望する人には、それぞれの背景があります。決して私たちは、画一的な一枚岩ではないんですね。戸籍制度に対する抵抗から別姓という選択をした私にしてみれば、いわゆる「家名の存続」などというたがは、不自由なシステムを後世に残す以外の何ものでもないように感じられます。でも、実際の暮らしの中では、原則論だけで、人の生き方を決定することは、難しいです。少なくとも、このような相談をできる場は、必要だなぁと、相談会の意義を感じた八月末の午後でした。