はじめ

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63号

何がほしいんだろう?

土屋聡

 教職員組合の女性部が主催する講演会に参加しました。講師は、社会学者の上野千鶴子さん。人をひきつける魅力的な方でした。学校でのジェンダーをテーマにした講演会だったのですが、私は夫婦別姓のことを考えていました。

 みなさんが子どもの頃、学校では、何でも男性が先で女性が後じゃありませんでしたか。今でも、そうです。でも、問題視する人も増えてきました。男性がいつも先という名簿を変えようという運動が広がっています。性別混合にしようという動きです。他県の方から、混合名簿の学校をどれだけ増やしたか、報告があったりしました。私も、混合名簿にするべきと考えます。でも「男女平等というよりも、個人の尊重なんですよね」と、少しひねくれていたりしています(講演会後にシンポジウムがあり、パネリストとして、そんなことも話しました)。

 さて、上野さんの話ですが。上野さんは「何がほしいの?」「名簿を変えて、何を求めるの?」と、繰り返していました。名簿が性別混合になって、何が変わるんだろう。私は、考えました。上野さんの話の中で「自由」って言葉が聞こえて、私はなんか嬉しかったなぁ。何か、私の中で、力が湧きました。筋力ではなく、知恵としての力。組織の運動の向こう側にあるもの。何か、そんなことを考えました。

 私がジェンダーの話を聞きながら別姓のことを思ったというのは、このへんのことなんです。私たちは、民法改正を希望しています。けれども、民法が改正されて、何が変わるんだろう? そう考えたりします。夫婦別姓が法的に認められる。ふむ。そして、私たちは、自由になれるの? 差別はなくなるの?「いろんな生き方あっていい」とは、何と果てしない営みでしょうか。私たちは、何がほしいんでしょう? 何を求めているんでしょう? 今のままでいいわけではありません。けれども、今の向こう側を、どのへんに定めるのか。ちょっと重要なところにいるのではないかと、考えているところです。

 講演会の数日後、別姓の世論調査に関する報道がありました。みなさんご存じの通りです。いわゆる追い風になるはずです。でも、私が憂鬱なのは「いろんな生き方」が本当に認められる一歩になっているのだろうか?という思いなんです。こんなときこそ、「いろんな生き方」...それは「通称使用」とか「事実婚」とかに限りません... を考えたいものです。