はじめ

目次

60号

男女共同参画条例(仮称)素案

前文
 全ての個人は性別に関わりなく、人として相互に対等な存在であり、男女の人権が平等に尊重されなければならない。宮城県においては、男女平等の実現に向けて、男女共同参画推進プラン策定をはじめ、様々な取り組みがなされてきた。しかしながら、現実生活の場においては、固定的な性別役割分業に基づく因習や慣行が根強く残存している。あらゆる分野での男女平等と男女共同参画を実質化していくためには、行政・県民・事業者が一体となって一層努力する必要がある。21世紀において、宮城県の男女が真に豊かで、安心とゆとりのある生活を実現していくには、男女が共に個性と能力とを発揮できる環境が整備されなければならない。性別にとらわれることなく、全ての県民が労働、家庭生活、地域活動などをバランスよく営むことができ、男女が共に生活者の視点に立って、新しい生活文化を創造することこそが、20世紀の負の課題を解決する契機となる。男女共同参画社会は、女性にとってのみならず、男性にとっても、人間性の発露および真のゆとりと豊かさの実現を可能にする社会である。県民の人権が平等に保障され、男女共に責任を分かちあう社会を構築していくために、ここに、この条例を制定し、男女共同参画推進県を宣言する。

第一章 総則

(目的)第一条 この条例は、男女の基本的人権の尊重の具体的実現を図り、社会経済情勢の変動に対応した男女共同参画社会を形成することの緊急性をふまえ基本理念を定め、県、市町村、事業者、県民の責務を明らかにするとともに、県のすべての施策に男女共同参画の視点を盛り込み、男女共同参画社会の形成を計画的かつ総合的に推進し、固定的な性別役割分業に基づく因習や社会慣行を是正することによって新しい生活文化を創造し、真に豊かで活力のある地域社会を実現することを目的とする。

(定義)第二条 この条例における基本用語を、つぎのように定義する。

1 男女共同参画
男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ共に責任を担うべき社会を形成するために、男女が社会のあらゆる分野における活動に、社会の対等な構成員として自らの意思によって参画すること。

2 積極的是正措置
男女共同参画の機会に係る男女間の格差を是正するための必要な範囲において、男女のいずれかの一方に対し、当該機会を積極的に提供すること。

3 性的嫌がらせ・セクシャルハラスメント
性的な言動に対する相手方の対応によって不利益を与え、又は性的な言動により相手方の生活環境を害すること。

4 夫・パートナーからの暴力・ドメスティックバイオレンス
夫やパートナーから身体的または精神的苦痛を著しく与える行為。

5 性と生殖に関わる健康と権利・リプロダクティブヘルス・ライツ 
安全で安心な性生活を営み、生殖能力を持ち、妊娠、出産の自らの自己決定が尊重され、生涯にわたって健康的な生活ができる権利。

6 つきまとい行為・ストーカー 
同一者に対し、つきまとい等を反復してすること ストーカー行為規制法に規定するストーカー行為等。

7 固定的な性別役割分業
男性は仕事中心、女性は家事、育児、介護中心といった、性別によって役割分業が固定化されること。

8 クオータ制 
男女間の著しい不均衡を是正するための暫定的措置・割り当て制度。

(基本理念)第三条 男女共同参画の推進は、男女が平等に個人としての尊厳が重んぜられること、男女が直接的であるか間接的であるかを問わず、性別によっていかなる差別的な扱いも受けないこと、あらゆる分野において、男女が共に均等に個人としての能力を発揮する機会が確保されること、男女の精神的・身体的権利の侵害が禁止され、男女の人権が尊重されることなどを旨として行なわければならない。

2 男女共同参画の推進に当たっては、性別役割分業に基づく社会制度や慣習が、男女の自由な活動の選択に対して影響を及ぼすことのないように配慮しなければならない。

3 男女共同参画の推進に当たっては、男女が共に、いかなる社会的圧力も強制も受けることなく、主体的で自由な生き方が選択できるように配慮されなければならない。

4 男女共同参画の推進に当たっては、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、家事・育児・家族の介護その他の家庭生活における活動および社会生活における諸活動に平等に参加できることを旨として、行われなければならない。

5 男女共同参画の推進は、国際社会の動向と密接に関連していることにかんがみ、国際的な協力のもとに行われなければならない。

(県の責務)第四条 県は、男女共同参画の推進を主要な施策として位置付け、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的是正措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する。

2 県は、男女共同参画社会の推進に当たり、市町村、事業者、関係諸機関及び県民と連携して取り組む。

3 県は、第一項に関する施策を推進するために必要な体制を整備し、情報公開を積極的に行うとともに、財政上の措置等を講ずる。

(県と市町村との協働)第五条 県は、市町村が男女共同参画の推進に関する施策を策定し実施すること、並びに県が実施する施策に協働するよう求める。2 県は、市町村に対し、男女共同参画に関する施策についての基本的な計画の策定に関し、技術的な助言を行い、ITを積極的に活用し、情報の提供・広報に努める。

(事業者の責務)第六条 事業者は、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保に努めるとともに、職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことができる職業環境を整備するよう努めなければならない。

2 事業者は、事業活動において、男女共同参画社会の実現に寄与するよう努めなければならない。

3 事業者は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(県民の責務)第七条 県民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野に自ら積極的に参画するとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第二章 基本的施策

(男女共同参画推進のための基本的施策)第八条 県は、男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため基本計画を策定し、実施しなければならない。

(基本計画の推進)第九条 県は、男女共同参画に関する施策を積極的に推進するため、国、市町村、事業者、関係諸機関及び県民と協働し体制を整備する。

(県民の意見の反映)第十条 県は、男女共同参画推進のための県の基本計画について県民から意見を聴取し施策に反映させなければならない。

(政策・方針決定への女性の参画)第十一条 県は、県の審議会等への女性委員の積極的な登用を図るため、段階的にクオータ制を導入するよう努めなければならない。

2 県は、女性管理職の登用について、県が率先して行ない、市町村や事業者にも働きかける。

3 県は、男女参画社会の推進のための教育や研修の機会を充実し、女性人材を養成するほか、女性の人材発掘に努め、その情報を提供するよう努めなければならない。

(男女の共生教育の推進)第十二条 県は、公教育の場における男女の機会均等の場を保障し、人権尊重の精神を基盤とした個人の尊厳、男女の平等、男女相互の理解と協力についての意識をはぐくむよう努める。

(農山漁村社会における男女の対等なパートナーシップの確立)第十三条 県は、農林水産業の担い手である女性の「個」としての主体性が活かされその持てる力を十分に発揮し、評価され、方針決定の場に参画できる社会を実現するため、男女が対等な構成員として活動できるよう環境整備を推進する。

(職場での男女共同参画)第十四条 県は、男女労働者がその能力を十分に発揮できるよう、意識啓発、情報提供、能力開発等の施策を積極的に推進するよう努めなければならない。

2 県は、職場における男女共同参画に積極的に取り組む事業者に対し、男女共同参画推進事業者として認証する。

3 男女共同参画推進事業者の要件については別に定める。

(家庭や地域社会への男性の参画促進)第十五条 県は、男性の家庭や地域社会への参画を促進するために、家事・育児・介護や地域活動に参加する意義について広報を行うほか、家事や育児、介護に必要な知識と技術を身につけるための研修会の開催、情報提供・相談体制の充実を図るよう努めなければならない。

(仕事と家庭の両立支援)第十六条 県は、男女共に家庭生活及び職業生活における活動を両立させ、安心して子育てや介護ができるような基盤整備に向けた支援を行うよう努めなければならない。

第三章 男女の精神的・身体的権利侵害と差別の禁止

(女性に対するあらゆる暴力の根絶)第十七条 男女共同参画の推進にあたっては、女性に対する暴力の根絶が女性の人権の確立に欠くことのできないものであることにかんがみ、性犯罪、売買春、夫・パートナーからの暴力、その他あらゆる形態の女性に対する暴力の根絶に向けて積極的な取り組みがなされなければならない。

(性別による権利侵害の禁止)第十八条 何人も職場、学校、家庭、地域社会等において、性的嫌がらせ・セクシャルハラスメントを行ってはならない。

2 何人もドメスティックバイオレンスを行ってはならない。

3 何人も職場、学校、地域社会等においてストーカー行為等を行ってはならない。

(女性の生涯にわたる健康と権利)第十九条 リプロダクティブヘルス・ライツ、産む性、産む権利、性に関する自己決定について正しい知識の普及に努めるとともに、調査研究を推進し、きめ細かな相談・指導体制の整備を図らなければならない。

(関係機関の連携)第二十条 県の関係機関及び警察は、男女に対するあらゆる暴力の根絶のために、NPO、NGO、民間団体との連携体制を構築しネットワーク化を図り総合的に推進しなければならない。

(相談体制・カウンセリング対策・研修の充実)第二十一条 県の関係機関は、男女に対するあらゆる暴力の根絶のために相談体制、カウンセリング対策、研修体制の充実強化に努めなければならない。

(公衆に表示する情報に関する留意)第二十二条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による役割分担を固定化し、女性に対する暴力を助長し、連想させる表現を行わないよう努めなければならない。

第四章 男女共同参画の推進体制

(拠点施設の整備)第二十三条 県は、夫やパートナーの暴力などの被害者の女性と子どものために、保護・相談を行い自立を総合的に支援する拠点施設を整備する。

2 県は、女性に対する暴力に関して、被害者の避難や救済を行う避難所を設置する。

3 県は、女性に対する暴力に関して、市町村、民間団体、NPOなどが運営する被害者の避難や救済を行う避難所を支援する。

(研究調査)第二十四条 県は、男女共同参画の推進に関する施策又は、社会における制度、慣行が及ぼす影響または男女共同参画の推進を阻害する問題についての研究調査その他の男女共同参画の推進に関する施策に必要な研究調査を行い、その成果を当該施策に適切に反映しなければならない。

(NPO・市民活動団体との連携・協働)第二十五条 県は、男女共同参画社会の実現のため、政策の立案・事業の実施・結果の評価など各段階においてNPO・市民活動団体との連携及び協働を図る。

2 県は、男女共同参画に貢献するNPO団体の活動を支援・促進する。

(年次報告)第二十六条 県は毎年、議会に、男女共同参画の推進の状況及び県が講じた男女共同参画に関する施策についての報告書を提出し、公表しなければならない。

2 県は、毎年、前項の報告に係る男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を明らかにした報告書を作成し、これを議会に提出しなければならない。

第五章 相談及び苦情処理

第二十七条 知事は、県が実施する男女共同参画に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関する事業者又は県民からの相談や苦情の適切な処理に努める。

2 知事は、前項の申出を処理する職員(以下「男女共同参画相談及び苦情処理員」という。)を置く。

3 男女共同参画相談及び苦情処理員は、次に掲げる業務を行う。

4 事業者又は県民の相談に応ずること。

5 申し出処理のために必要な調査、指導及び助言、勧告をすること。

6 前二項に掲げるもののほか、関係行政機関への通知その他必要な措置を講ずること。

7 知事は、困難な案件が生じた場合や相談員に対する指導、助言、勧告を行うため必要に応じ弁護士を置く。

第六章  宮城県男女共同参画審議会

(宮城県男女共同参画審議会)第二十八条 基本計画その他男女共同参画に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項、進行管理、評価を調査審議するため、知事の付属機関として宮城県男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(組織)第二十九条 審議会は、委員20人以内で組織する。

1 前項の場合において、男女のいずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満とならないものとする。ただし、知事がやむを得ない事情があると認めた場合は、この限りではない。

2 専門の事項を調査するために必要があるときは、審議会に専門委員をおくことができる。

3 委員の任期は二年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

4 専門委員の任期は、専門の事項に関する調査が終了するまでとする。

5 全各号に定めるもののほか、審議会の組織及び運営について必要な事項は、知事が定める。