子どもができたときを考えます。
鈴井かんろ
私たちは事実婚歴6年余りの夫婦で、今までほとんど不自由も不快もなく暮らしてきました。確かに、一緒になるとき互いの親に誠意を尽くして説明する努力は惜しまなかったし、年賀状の名字は間違えられたし、銀行でお金を借りるとき面倒だったし、といろいろ経験しましたが、結局すべて乗り越えられたので、「いつか別姓法案が通るといいね」ぐらいののんびりした気持ちで暮らしていました。結婚当初は、周囲に自分たちの行動に興味を持って欲しかったけど、そのうち説明するのが面倒くさくなって……。でも、経験を語るだけでも誰かを勇気づけられるなら、もっと積極的に発信したほうがいいのかもしれませんね。ちょっと反省です。
そんな私たちも、そろそろ「子どもができたとき」のことを考えるだんになり、再び「夫婦別姓問題」に敏感になってきました。子どもができても別姓の意志は揺らぎませんし、精神的には親子共々クリアしていけるという自信があるのですが、経済的な損は最小限に押さえたい。ところが、ただでさえ複雑な役所手続き。自分らの意を曲げない範囲で、最大限に保険や手当の損をなくす方法を知るのが難しい。子どもの戸籍はどちらか? どちらの扶養にするか? どちらの健康保険に入るのか? そのためには住民票は(妻)ではなく、共同世帯主にするべきか? 一方で(妻)だと「収入が少ない=3号被保険者」になれるのか?などなど、これから損得の勘定が大変です。このホームページでも情報を仕入れていきます。ほんと頼りになります。よかったらいろいろ教えて下さい。
ところで、年賀状の話題がどこかに出ていたと思うので、この年末年始の経験を申し上げます。私たちは、共通の友人には連名で出し、個人の友人には単独の名前で出しています。今年は私が祖母をなくし喪中でしたので、私のみ単独名で私の知り合い全てに(夫婦共通の友人も含めて)喪中ハガキを出し、夫は夫の知り合い全て(夫婦共通の友人も含めて)に普通に単独名の年賀状を出しました。もちろん、私の家族からは喪中ハガキが彼のもとに来ておりますので、彼は私の家族には年賀状を出しませんでした。
事実婚といっても、親戚づきあいも何もかも普通の結婚と変わらない生活をしていますので、この場合どうしたらいいのかしら?ということには、ときどき出会います。まず、互いに「嫁」でも「婿」でもないので、互いの親が呼び方に困ります。「つれあい」とか「妻」「夫」などと言い換えていますが、呼びにくい不自由をさせているので、少し悪いなあと思います。うっかり「嫁」「婿」などと呼ばないように、気をつかってくれているのがわかるので、ありがたい限りです。ただ、親たちに婚外子に対する理解があるかどうかは、まだわかりません。
また、法事ではお互いに「長男の嫁」「長女の婿」としての席に座りました。穏やかな席で無粋な主張もするのも心ないので、そういう席では自分の納得できる限り、周りの雰囲気に添うようにしています。ただ、今は若いので冠婚葬祭でもお客様ですが、実際に切り盛りする年になったら、どんな立場をとることになるのでしょうね。
「事実婚=夫婦が経済的に対等でなければならない」とも思いません。実はフルタイムで働いていたちょっと前までは、私もそう思っていたのですが、生理的に役割の違う男女が一緒に暮らすとき、いつも経済的対等は保っていられないとその後気づいたからです。夫婦で役割分担を決めて納得していれば、経済的な結果はなるようになればいいと思います。
最後に、別姓でいることは、高齢者介護時代にも新しい意識を築くきっかけになるようにも思います。子どもの数が2人を切り、介護が在宅支援の方向に向かう今、義父母・実父母との関係をどう考えていくかが、とても重要になってきます。これからの時代、義父母の面倒まで見る余裕は子どもたちにはありません。「嫁に看てもらう」という構図は不可能になりつつあります。実父母の面倒さえままならないぐらいです。嫁に限らず「誰かに看てもらう」という気持ちでは立ちゆかないでしょう。もちろん「夫に看てもらう」「妻に看てもらう」も限界のあることです。一人一人がまず自立するのが前提で、プラスアルファで助け合うという形でないと。でも、頼ってくるつもりだった人にいきなり自立してくれと宣告するのは酷ですし、相手も準備ができません。結婚しても名字を変えずにいるということは、「最初からベッタリあてにしないでください」と間接的に伝え、親世代の自立をうながすことになると思うのです。介護の現場に直面して、いきなり誤解や摩擦と向き合うという事態を避けられそうな気がするのです。もちろん、大切な人の大切な家族を粗末にしようなどとは思いません。ただ、名字の違う人から受けるお世話は、きっと「世話して当然」と思う相手から受けるより、大きな感謝の気持ちを生むでしょう。感謝の気持ちがあれば、人間関係も介護もうまくいきやすいのではないでしょうか?
長くなってしまいましたが、とにかく今、婚外子関係の手続きの損得勘定をするのが課題です。そして、事実婚・夫婦別姓の先輩方に敬意を、これからめざす方にエールを贈りたいと思っています。