『別姓通信』41/1997.11.10より
別姓を考える会(宮城県) 樋口典子
いやはや、なにかと全国的にお騒がせしている宮城県ですが、今回の参議院補欠選挙でも、昨年の衆議院選挙の時と同様に、各候補者に別姓・婚外子差別・別姓夫婦の子の姓について(このことがらは今回から付け加えました。)・「家族観」についての公開質問状を出しました。衆議院選挙の際の候補者と重なる部分が多く、前回の回答も一緒にお知らせします。各候補者の事務所を回ってきたのですが「別姓を考える会」と言うと、どの事務所でも「民法改正ですよね、改正は当然なのにどうして国会でも議論が巻き起こらないのでしょうね。」と概してまあ、好意的な意見ばかりでした。全員の候補者から期日まで回答が寄せられました。回答の内容はそのまま載せますので、投票の参考に、また法制化賛成と書いてきた方には、国会でも活動してもらえるよう、そして今後の運動のきっかけとなるようにしたいものですね。
私たちは、別姓を考える会です。
私たちは「いろんな生き方、あっていい」を合い言葉に、1991年から、選択的夫婦別姓の法制化を実現される運動を進めてきました。東北(宮城県)を中心に活動してきましたが、現在では北海道から沖縄県まで全国におよそ130名の会員がいます。
これまで、選択的夫婦別姓法制化のための国会請願を多くの議員の方々にお願いし、そして快諾していただきました。ありがとうございました。しかし、96年、97年の通常国会では、選択的夫婦別姓の法改正は実現されませんでした。私たちは残念に思っております。また、私たちは宮城県と仙台市各議会に「選択的夫婦別姓等の民法改正を求める請願書」を今年2月に提出しており、継続審議となっております。 選択的夫婦別姓とは「別姓でも同姓でもどちらでもいい。本人たちの選択の幅を広げよう」という柔軟なそして許容量のあるものです。
さて、今回の選挙でもさまざまな争点があるようですが、別姓を考える会では「一人一人が自分の個性を大切にしながら、互いの個性を認めつつ、互いの権利を尊重し合いながら暮らせる社会を実現させたい」と考え、最も信頼のおける候補者に一票を投じようと考えております。選択的夫婦別姓の法制化だけではなく、性別による差別(女性差別)や戸籍による差別(婚外子差別・部落差別・外国人差別・民族差別など)も撤廃されなければならない課題であると認識しております。今回の選挙の立候補にあたり、貴候補者がどのようにお考えになられているか、当会では注目しております。ぜひ以下の4点について、ご回答いただきたくお願いいたします。
1.あなたは、選択的夫婦別姓の法制化には、賛成ですか。反対ですか。その理由は、どのようなものですか。
2.夫婦別姓とともに、民法改正要綱案には、民法900条の婚外子差別に関わる条項の改正が、提起されています。婚外子差別条項については、国連の人権規約委員会からの勧告がなされておりますが、あなたは、婚外子差別撤廃に、賛成ですか。反対ですか。その理由はどのようなものですか。
3.民法改正要綱案で、別姓夫婦の子どもの姓について、法務省案では、別姓夫婦の子の姓は婚姻時に届け出をすることになっておりますが、97年通常国会に議員立法で提出され、審議された案では、別姓夫婦の子の姓は出生時に届け出をすることになっております。この2つの案について、どちらがよいと思われますか、その理由はどのようなものですか。
4.家族は大切なものであるということに、どなたも異論はないと思われます。しかし一言家族と言ってもその姿は様々です。今日においては人数・構成・それぞれの仕事戸籍国籍についても、非常に多様化が進んでいます。私たちは、一人一人のちがいを認め合うことが、家族を大切にすることと捉えております。互いのちがいを認め合うことが、豊かさなのではないかと考えております。選択的夫婦別姓の論議の中で「別姓は家族の崩壊をもたらす」という声がありましたが、家族とはどうあるべきとお考えですか。あなたの意見をお聞かせください。なお国際家族年宣言には次のように書かれてあります。「国内、あるいは国によって《理想の家族像》も、大きく異なる。政府は、家族に関わる政策の遂行において、明示的であれ、非明示的であれ、唯一の理想的な家族像の追求を避けるべきである。」(1989.12.8.国連総会採択)
以上4点について、ご回答をお待ち申し上げております。なお、会員に貴候補のお考えを伝えるため、少なくとも11月7日午後8時までにお返事をいただきたいと思います。また別姓を考える会関連のホームーページにも回答を載せたいと思います。(以下の別姓を考える会連絡先へFAXで送信していただければ幸いです。)お忙しいことと思いますが、よろしくお願いいたします。
1997年11月 2日 別姓を考える会 (連絡先 樋口典子)
97'11
参議院補欠選挙における選択的夫婦別姓の法制化に関わる公開質問状回答
(順番は届け出順・敬称略)
質問事項
1.選択的夫婦別姓の法制化に賛成反対、その理由
2.婚外子差別に賛成反対、その理由
3.別姓夫婦の子の姓について、婚姻時に届け出か、出生時に届け出か、その理由
4.家族とは、どのようにあるべきか
5.メッセージなど
遠藤いく子(共産党)
1.賛成です。こうした民法改正が民主主義の新たな前進の第一歩となることを心から願っております。女性の社会進出がすすむなかで、結婚による改姓は積み重ねてきた社会的信頼や研究の実績を途絶えさせてしまうなどの弊害が指摘されており、選択的夫婦別姓は認められるべきと思います。日本共産党は、すでに1987年から、夫婦が互いに希望すれば別姓を名のることができるように民法の改正を求めてきましたが、先月末、「選択的夫婦別姓制度の導入など民法改正案大綱」を改めて発表しました。今日、「別姓をのぞむ人に選択の自由を与えてもよい」という、社会的な合意形成がすすんできていますが、その早期実現めざして、私もがんばりたいと思います。
2.賛成です。子どもは、みんな社会的にも経済的にも平等に扱われるべきです。日本共産党は「民法改正案大綱」でも、「非嫡出子の相続差別の廃止」を明確にし、現行法では「嫡出でない子の相続分は、嫡出子の2分の1」となっているのを、「同等に改め」るよう提案しています。
3.別姓夫婦の子どもは、出生時に夫婦いずれかの姓を届けるようにすべきと考えます。そして、子どもが18歳になったときには、みずからの意志で改めて自分の姓(夫婦いずれか)を決めることができるようにしておくことも必要です。結婚が、「個人の尊厳と両性の本質的平等」のうえになりたつものであることは当然ですが、夫婦が別姓を名のる場合は、子ども自身の人権を尊重してすすめることが大切と考えます。
4.家族とは、人類の長期にわたる人間生活の営みが積み重ねられ、今日のように、個人の尊厳と両性の平等が家族生活の原則となるような生活形態が確立されてきたものと考えます。そのあり方は、夫婦や子ども、親など、その同居する構成によってさまざまであり、また、一人ひとりの考え方によっても多様だと思います。したがって、特定の理想像を設定して、それをモデルにすべきではないのではないでしょうか。私自身は子どもが生まれ、また、夫の両親と同居するようになって、三世代同居の生活のあり方を学び、忙しいなりに家族全員がそれぞれの役割をはたしながら協力し、援助しあって生活できるよう、工夫し努力してきました。いまでは、家族みんなが私の活動をささえてくれ、感謝しています。
5.いま、多くの女性のみなさんは、一人の人間として、人格と個性が輝く生き方をしたいと願い、それを妨げる障害を取り除こうと努力されておりますが、結婚してもみずからの姓を名のれるようにしてほしいという運動もそのあらわれの一つと思います。そうした、「いまの社会や政治をよくしたい」という声は、いま、国民のあいだにひろがってきているのではないでしょうか。ごいっしょに、力を尽くしてまいりましょう。なお、日本共産党が発表した「選択的夫婦別姓制度の導入など民法改正案大綱」を、参考資料としてお送りさせていただきます。
選択的夫婦別姓制度の導入なと民法改正案大綱(1997年10月31日日本共産党)
民法の一部を改正する法律案大綱
1.「選択的夫婦別姓制度」の導入
^結婚にあたって、夫婦どちらかの姓に統一するか、別姓のままにするか、選択できるように改めます。
_既婚夫婦の場合も、改正法施行後2年以内に届け出れば、別姓にすることができます。
`別姓夫婦の子どもは、出生時に夫婦いずれかの姓を届けます。子どもが18歳になったときには、自らの意志であらためて自分の姓(夫婦の姓のいずれか)を決めることができることにします。
2.非嫡出子の相続差別の廃止
「嫡出でない子の相続分は、嫡出子の二分の一」となっているのを同等に改めます。
3.結婚年齢を男女同一に結婚できる年齢を現行の「男18歳女16歳」を改め、男女同一の18歳とします。
4.再婚禁止期間 現在、女性のみに設けられている、離婚後の再婚できない期間(180日)を当面、100日に短縮します。
5.離婚に際しての財産分与など
^協議離婚の際には、子の利益を最優先して考え、子の養育者、父または母と子の面会ゃ交流、養育費の分担などについて取り決めることにします。
_離婚の際の財産分与について、夫婦の財産形成への寄与の程度の違いが明らかでないときは、各々二分の一とします。97/11/6 18:38
さとう芳博(社民党)
1. 賛成です。皆様方もご承知のことと思いますが、社民党は社会党時代から選択的夫婦別姓制度の導入、相続に関する婚外子への差別撤廃などを軸とする民法改正を主張し、党独自案も検討してきました。その理由は、姓の選択権は個人に属するものであり、法律によって強制するものではないこと、結婚により改姓する場合、手続きがわずらわしい上に、知名度を一から作り上げなければならないなど、仕事上、日常生活上の不便が多いことなどです。
96年2月に法制審議会の法律要綱案が出されて以来、与党協議を勧め、法制審案、党独自案の両方で立法化作業を進めてきましたが、法改正を急ぐ立場から法制審案を土台に法案を作成し、社民党が議員立法の形で国会に提出しましたが、残念ながら廃案になっています。
釈迦に説法ですが、選択的夫婦別姓とは、現行制度によって不利益を被っている人が多数いることを踏まえ、別姓を強制するものではなく、夫婦別姓を求める人が何らかの不利益を受けることがないように保障するものです。旧弊にとらわれず理解されるように訴え、改正案の成立に全力を挙げる決意です。
2.賛成。婚外子の相続権が婚姻内子の2分の1しか認められていないと言う差別は、法律上の形式行為に過ぎない婚姻制度によって、財産上著しく不利益を与えるものであり不当な差別と言わざるを得ません。また、子供に責任のないことで不利益を与えることにもなります。婚姻についての考えの変化も考慮し、差別は撤廃すべきです。
3.出生時に届けることとすべきです。別姓の子の姓をどうするかは、夫婦間の十分な話し合いと合意によって決定されるべき事です。その合意は、夫婦生活を続ける中で自然に作られてくるものでもあります。したがって、子の姓の決定はなるべく遅いほうが望ましく、出生時に届ければ良いと思います。
なお、先に述べたとおり、社民党は議員立法案を提出している立場であり、出生時に届けるという案は、党の見解でもあります。
4.家族の核になる夫婦は生まれも育ちも考えも違う他人同士です。それぞれの考えを尊重し合いながら、だんだんと夫婦間の共通の考えや家庭のルールも育っていくものと考えます。子供についても一人の人格であり、その個性は尊重されなければならないと考えます。しかし、子供がしっかりとした価値判断力を身につけるためにも、その判断の根拠の一つとして親の考えかた、親の価値観についてはしっかりと子に伝えるべきだと考えています。
また、国連総会の採択はまったく同感であり、家庭に関する価値観、道徳観は国家が介入すべき問題でないと思います。
5.以上述べましたように、社民党、さとう芳博は、民法改正を積極的に推進しております。古い考えにとらわれず、今日の多様な価値観を認め合うように、これからも世論にアピールし、法改正をできるだけ早く実現できるように努力する所存です。97/11/6 18:29 FAX 記入者 渡辺俊哉
岡崎トミ子(民主党)
1.賛成・・・婚姻によりどちらかの姓を選択する事は、どちらかが変わること。代わったほうは、今までの個が否定される感覚に陥ったり、社会的にも不自由な思いをすることになる。どちらかを選択しなければならないいかなる理由も見当たらない。お互いの生き方の自由を認め合うパートナーシップの考え方になるべき。
2.賛成・・・憲法11条の基本的人権から考えれば、嫡出子と婚外子を区別する理由は何も無い。家父長制度の習慣を強く残し、多様な家族の在り方を否定する婚外子の差別は何よりも生まれてきたこどもたちを苦しめている現状を直視すべきである。こどもの権利条約の24条・・・子どもには最善の利益を与えなければならない・・・という趣旨を徹底すべきだと思う。
3.出生時に届ける案・・家族や夫婦の関係も時とともに変わる。婚姻時はジェンダー、家族の意向などに影響を受けたりする場合も多く、自由な選択をはばむ要因が多い。出生時の場合には現実に生活をする中で十分夫婦が話し合い、決定する事が可能である。
婚姻時に届け出をさせることは、こどもを生む事を当然と考えており、生む自由、生まない自由(リプロダクティブヘルス・ライツ)を阻むことになる。
4.文部政務次官の時、『動くゲイとレスビアンの会』の人達の陳情を受け、教科書に載っていた同性愛者の差別を是正したことがある。その際、頭の堅い文部省の官僚を説得するとき、国際家族年の宣言を引用した。どんな人にもそれぞれのあり様や生き方を尊重する共生の考え方が民主主義の根幹であると思う。『別姓が家族の崩壊をもたらす』という考え方は家族を固定的に考え、その中に個人を閉じ込めてしまうもので、人としての生き方の可能性を狭めてしまうと思う。それがいつの時代にも差別を作ってきたのではないかと考えており、一人一人を尊重する社会をめざしていきたい。97/11/7 20:03 FAX
土井きみお(諸派)
1.女性の地位向上に向け、現行法を女性の観点から総合的に見直し男女共生社会に適合するようにえ整備していく必要があります。女性の社会進出は大いに歓迎すべきことであり婚姻による姓の変更によって女性が不利益にならないようにすべきです。法制化については、幅広く国民各層の関心を高めることにより意識の向上をはかり、国民的同意の下に実施すべきと考えます。
2.子供がその出生の違いにより差別されることがあってはなりません。賛成です。
3.結婚すべてに出産が伴うわけでなく、例えば高齢者同志の結婚や子供を生まない夫婦もあります。従って婚姻時より出生時に届け出るのが誠実的でよいと思います。
4.家族は社会を構成する生活の最小単位ともいえ、ともに助けあい、いたわりながら生きていくことをより可能にします。家族の理想像やあるべき姿は各家族が決めるものであり、多種多様な家族形態があってもよいし、又その方がよいと思います。決して国や地方自治体が決めつけるべきではありません。97/11/5 8:04 FAX 政策・広報担当 谷口
もう冬です。栗駒山も鳴子の荒雄岳も、もう白いんです。寒いです。もうすぐ師走。早いものです。ところで、会員のみなさん。今年(1997年)の会費は、もうお納めになりましたか。年を越すと、1998年。新しい年の新しい会計が始まります。みなさんの会費で作られている『別姓通信』です。ぜひ会費の納入をお願いいたします。(振り込み先は、表紙に書かれてあります。)
編集部のつぶやき
◆今回は、号外です。予定では、12月6日に41号を作ることになっていました。けれども、選挙に当たって公開質問状をだそうということになり、今回の『別姓通信』です。 質問状の作成・配布・回答の整理まで、全部樋口さんの頑張りによるものです。樋口さん、どうもありがとう。
◆私の住んでいる古川は、王城寺原から近くはないと思うんです。学校のある岩出山も、そんなに近くじゃないですよね。なのに、軍事演習の音は衝撃波となり、アパートのガラスを、学校の窓を振るわせています。10日から米軍の演習です。・・・色麻で、こんなコンサートがあります。よかったら、来てくださいね。
喜納昌吉&チャンプルーズ 王城寺原コンサート
日時 1997年11月20日D 開場 18時30分 開演 19時00分
会場 宮城県加美郡 色麻町町民体育館
チケット大人2000円(当日2500円) 小中学生500円(当日700円)
仙台市内のレコード店(一番丁 ヤマハ・カワイ・サンリツ・大一楽器 フォーラスHAMANO)や、フォーラス横田や、 サンライフ、おひさまや、たんぽぽ、ぐりんぴーす等で取り扱っています。
主催 「すべての武器を楽器に!」王城寺原コンサート実行委員会 葦の会
お問い合わせは、実行委員会スタッフ:土屋(『別姓通信』編集部・表紙に連絡先)まで