■自分の目に液晶ディスプレイを合わせるために
ちょっとしか見ていないのに目がとても疲れる、長時間見続けると片頭痛や吐き気がしてくる……。こんなふうに、自分の使っている液晶ディスプレイが目に合わない、という経験をした人は、世の中にどれくらいいるんでしょうか。ふつうに考えれば、あまり多くはないでしょうね。でも、広い世界のどこかには、私と似たような“弱い目”をしている人もいるはず。そこで、私の体験にもとづいた「自分の目に液晶ディスプレイを合わせる方法」をまとめておくことにしました。
ただし、おことわりしておきたいことが2つあります。
1つは、私は目の構造について専門的な知識を持っているわけではなく、単なる“弱い目”をしたユーザーにすぎない、ということ(私がどれくらい“弱い目”なのかについては、その一端を「液晶ディスプレイはこう選ぶ」で書きました。あのあとにも、いくつかどうしようもない体験があるのですが、それはまたいずれ)。したがって、ここに書いてあることは、あくまでも私個人の体験的な解決策でしかありません。
もう1つは、正確な色再現といった問題はいっさい無視している、ということ。目に合わない液晶ディスプレイと悪戦苦闘してきた私にとって、“正確な色再現”などというどこか遠いところにある基準は、優先すべき問題ではないからです。
■チェックポイント(1):見下ろすような位置に設置する
長時間見続ける液晶ディスプレイは、見下ろすような位置に設置するのが基本です。見下ろすといっても、目線がすこし下向きになるくらいでかまいません。いすや机の高さを調節して、見下ろすような位置に設置してみてください。
液晶ディスプレイの高さ調節が貧弱で、どうやっても見下ろすような位置に設置できない、という場合もあるでしょう。そういう場合は、ディスプレイアーム(モニターアーム)を使ってください(ただし、ディスプレイアームをつけられない液晶ディスプレイもあります)。
ディスプレイアームにはさまざまな製品があります。「液晶ディスプレイ アーム」で検索してみるといいでしょう。私自身は、アルファーテックの「PS-7A」と、ライブクリエータの「ARM-09EASEL」を使っています。
いずれにせよ、ディスプレイアームをつけられない液晶ディスプレイは買わないほうがぶなんでしょう。すでに購入してしまった場合は、買い替えるのがいちばんです。自分の目に“代え”はありませんからね。
■チェックポイント(2):“ツルピカ”液晶は使わない
ここ数年、メーカー製パソコンを中心に、ディスプレイの表面が“ツルピカ”の「光沢(グレア)タイプの液晶ディスプレイ」が流行しています。
光沢タイプの液晶ディスプレイは、テレビやDVDがきれいに見られる!ということをセールスポイントにした製品。長時間の作業には向きません。なぜなら、たとえ表面に低反射コートなどのコーティングがほどこされていても、“写り込み”は避けられないから。写り込みのある画面を長時間見続けると、どうしても目が疲れてしまいます。白っぽい服を着ていたり、ディスプレイ正面(つまり自分の背後)の壁が白かったりすると、写り込みは最悪になります。
テレビやDVDを見るためだけの液晶ディスプレイなら、“ツルピカ”でもいいかもしれません(それでも写り込みは気になるものですが)。しかし、文章を書くなど、その液晶ディスプレイを使って長時間の作業をするなら、“ツルピカ”の液晶ディスプレイは絶対に買ってはいけません。すでに購入してしまった場合は、非光沢(ノングレア)タイプの液晶ディスプレイに買い替えてください。自分の目に“代え”はありませんからね。
■チェックポイント(3):自分の目が耐えられる画素の大きさ(画素ピッチ)を見きわめる
液晶ディスプレイでは、1つ1つの「画素」(ピクセル)の大きさが決まっています。画素とは、R・G・Bの3色をひとまとめにした小さな正方形のこと。ルーペで拡大すると見えますよね。この小さな正方形=画素が、文字やアイコンなどを表示するときの最小単位になっています。なお、画素を構成するR・G・B各色の副画素(サブピクセル、ドット)は、かならずしも長方形ではありません。したがって、ここでいう「小さな正方形=画素」は、文字やアイコンを表示するときの最小単位として想定した「仮想の(バーチャルな)正方形」と考えてください。
1つ1つの画素の大きさ(画素ピッチともいいます)は、
- 「15型」などと表示される液晶ディスプレイのサイズ
- 「横1024ピクセル×縦768ピクセル」などと表示される液晶ディスプレイの解像度
によって決まります。
おもな液晶ディスプレイのサイズ・解像度・画素の大きさを、表にしてまとめておきました。
| サイズ(型) | 解像度(横×縦、ピクセル)と通称 | 画素の大きさ(ミリ) | 画素の大きさ(ppi) |
|---|---|---|---|
| 8.9(ワイド) | 1024×600(WSVGA) | 0.190 | 133 |
| 12.1(スクエア・4:3) | 1024×768(XGA) | 0.240 | 106 |
| 12.1(ワイド・16:10) | 1280×800(WXGA) | 0.204 | 125 |
| 14.1(ワイド・16:10) | 1280×800(WXGA) | 0.237 | 107 |
| 15(スクエア・4:3) | 1024×768(XGA) | 0.298 | 85 |
| 15.4(ワイド・16:10) | 1280×800(WXGA) | 0.259 | 98 |
| 17(スクエア・5:4) | 1280×1024(SXGA) | 0.263 | 96 |
| 19(スクエア・5:4) | 1280×1024(SXGA) | 0.294 | 86 |
| 20.1(スクエア・4:3) | 1600×1200(UXGA) | 0.255 | 100 |
| 22.0(ワイド・16:10) | 1680×1050(WSXGA+) | 0.282 | 90 |
| 24.1(ワイド・16:10) | 1920×1200(WUXGA) | 0.270 | 94 |
「型」はインチ(などというローカルな単位!)で、画面の対角線の長さを表しています。また、横と縦の長さの比は、横の解像度(ピクセル):縦の解像度(ピクセル)。これだけわかれば、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使って、画素の大きさを求めることができます。くわしい計算式は、下記の図のとおりです。図をクリックすると、大きな画像が表示されます。
ウェブページで数式を表現するためのマークアップ言語、「MathML」を使えばいいのですが、私には荷が重すぎるので(^^;、計算式はとりあえず図にしてみました。
とはいえ、図を見ながら計算するのもめんどうですよね。そこで、画素の大きさを求めるジャバスクリプト(JavaScript)を書いてみました(ジャバスクリプトをオフにしている人は、「オン」にしてからこのページを読み込みなおしてください)。
以下の入力欄に、1バイト(半角)文字で数値を入れてみてください。「画素の大きさを計算します」と書かれたボタンを押すと、画素の大きさを「ミリ」(小数点以下第4位で四捨五入)と「ppi」(pixels per inch。小数点以下第1位で四捨五入)で表示します。
動作や計算結果については、たぶん、大丈夫だと思うんですが、なにしろ、ジャバスクリプトは“ならいたて”。うまく動かないとか、計算結果がおかしい、といったことがありましたら、お知らせください。私のメールアドレスは「このウェブサイトについて」をどうぞ。
現在、「15型・1024×768ピクセル・0.298ミリ」を使っていて、みための違和感なく大画面の液晶ディスプレイに移行したい、という場合は、「19型・1280×1024ピクセル・0.294ミリ」を選べばいい、ということがわかります(0.004ミリの差なら、まあ、なんとかなるでしょう)。「17型・1280×1024ピクセル・0.263ミリ」を選ぶと、画素が小さいぶん、みための文字やアイコンは小さく表示されてしまいます。
どれくらいの画素の大きさまで耐えられるかは、いろいろな液晶ディスプレイを見比べて、自分自身の目で判断するしかないでしょう。
私はここ数年、「12.1型・1024×768ピクセル・0.240ミリ」を使っています(あとで書くように、ノートパソコンです)。ただ、年齢とともに、この解像度ではだんだんと見づらくなってきました。ところが液晶ディスプレイは、ますます高解像度化=画素の極小化がすすんでいます。おそらく、液晶ディスプレイメーカーの技術者のみなさんは、年をとっても小さいものが見づらくならない、きわめて強い目の持ち主ばかりなんでしょう。
いずれにせよ、「文字やアイコンが小さいなあ〜」と思ってしまうような液晶ディスプレイは、買わないほうがぶなんでしょう。すでに購入してしまった場合は、買い替えるのがいちばんです。自分の目に“代え”はありませんからね。
◆ウィンドウズの設定を変えて、みための文字やアイコンを大きく表示する
現実には、液晶ディスプレイを買い替えられないこともあるでしょう。そんなときは、ウィンドウズの設定を変えて、みための文字やアイコンを大きくしてみてください。
「コントロールパネル」の「画面」アイコンをダブルクリックして、「設定」タブをクリック。右下にある「詳細設定」ボタンを押します。そうすると「全般」タブが開くので、「DPI設定」を「大きなサイズ(120dpi)」に変更します。
上が96dpiで表示した設定画面、下が120dpiで表示した設定画面です。文字やアイコンがそれなりに大きくなっているのがわかるでしょう。ただ、かならずしもバランスがいいとはいえません。みためのバランスが悪いのはいやだなあ、と感じてしまう人にはおすすめできないですね。
■チェックポイント(4):輝度を下げる
一時期、液晶は暗い、などといわれた反動なのか、最近の液晶ディスプレイはとても明るくなっています。この明るさを「まぶしい」と感じる人もいるでしょう。もちろん私も「まぶしい」と感じているので、液晶ディスプレイの輝度はつねに下げて使っています。
たいていの液晶ディスプレイは、輝度の調整ができます。調整のしかたは簡単。自分がふだんよく見ている画面を表示して、いったん最低まで下げてください。そこからだんだんと上げていって、自分がちょうどいい(暗くて見づらい、ということがない)と感じるところで止めます。最低で見づらく感じなければ、最低のままでかまいません。
輝度を最低にしてもまだまぶしい(あるいは「ギラギラする」)、と感じてしまうような液晶ディスプレイは、買わないほうがぶなんでしょう。すでに購入してしまった場合は、買い替えるのがいちばんです。自分の目に“代え”はありませんからね。
◆OAフィルターを使って輝度を下げる
ただ、現実には、なかなか買い替えられないこともあるでしょう。そんなときは、「OAフィルター」を液晶ディスプレイに装着して、強引に輝度を下げるようにしてください。
OAフィルターの品質は値段に比例します。要するに、安物はダメ、ということ。とはいっても、高価なOAフィルターをいきなり買うのはちょっと……とためらってしまうかもしれませんね。
各種OAフィルターを発売している「光興業」では、同社製品の「テスト使用」を受け付けています。効果がないと感じた場合は返却すればいいので、試してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、私はかつて、光興業のテスト使用に申し込んだことがあります。購入した液晶ディスプレイがギラギラとまぶしく、目に合いそうもなかったから。ところが、申し込んだ次の日に問題の液晶ディスプレイが壊れてしまい(たぶん、初期不良だったのでしょう)、けっきょくその液晶ディスプレイは返金ということになりました。そんなわけで、テスト使用もキャンセル。私自身の体験レポートについては、どうしようもない液晶ディスプレイを購入してしまうそのときまで、しばらくはおあずけ(?)です。
なお、高級なOAフィルターのほとんどは、表面にAR(アンチリフレクション)コートがほどこされています。ARコートは、めざわりな色を反射しないようにして写り込みをおさえるコーティング。“ツルピカ”液晶に装着すれば、写り込みをおさえる効果もあります。
ただし、ARコートは万能ではありません。写り込みをおさえる一方で、「写り込むものの形」自体は、はっきりと見えてしまいます。たとえばノングレアタイプの液晶では、「写り込むものの形」は、はっきりとは見えませんよね。つまり、ノングレアタイプの液晶にOAフィルターを装着すると、いままではっきりとは見えなかった「写り込むものの形」が、今度はそれなりにはっきりと見えるようになる、ということ。
したがって、
- そもそも、液晶ディスプレイの輝度を最低あたりにしている(「写り込むものの形」は、液晶ディスプレイの輝度が低ければ低いほど、めだつようになる)
- 「写り込むものの形」が(めだたないとはいっても)見えてしまうのはいや、「写り込むものの形」がはっきりとわからない(=ぼんやりとしている)ほうがいい
という場合は、OAフィルターでなんとかする、という選択肢は選ばないほうがいいでしょう。
■チェックポイント(5):色温度を5000〜5500Kに下げる
「色温度」(いろおんど)を調整できる液晶ディスプレイもあります。色温度とは、光源から出てくる光の色のちがいを、温度になぞらえて表したもの。単位は「K」(ケルビン)。Kの数値が低いと赤っぽい光、高いと青白っぽい光、ということになります。
リバーサルフィルムで写真をとってきた人、また、デジカメのホワイトバランスについてくわしい知識のある人は、色温度についてよくご存じでしょう。おもな光源の色温度は、およそ次のようになっています(野尻健一『JAGAT認証試験のためのDTPエキスパートスーパーカリキュラム』グラフィック社 2001年 55ページより)。
| 光源 | 色温度 |
|---|---|
| 北空光 | 1万K |
| 100%曇天光 | 6800K |
| 昼光色蛍光灯 | 6504K |
| 写真用ストロボ光 | 5500K |
| 正午平均光 | 5035K |
| 日本印刷学会推奨標準照明、昼白色蛍光灯 | 5003K |
| 日の出2時間後、日の入り2時間前の太陽 | 4800K |
| 白色蛍光灯 | 4300K |
| 日の出1時間後、日の入り1時間前の太陽 | 4000K |
| 温白色蛍光灯 | 3500K |
| 電球色蛍光灯 | 3000K |
| 100Wガス入り電球 | 2856K |
液晶ディスプレイの色温度は、部屋の照明(環境光)の色温度に合わせるのが基本、とされています。たとえば、東芝ライテックのカタログによると、同社の蛍光ランプの色温度は次のようになっていました。
| 光源色 | 色温度 |
|---|---|
| 昼光色 | 6700K |
| 昼白色 | 5000K |
| 白色 | 4200K |
| 温白色 | 3500K |
| 電球色 | 3000K |
多くの人は「昼光色」を使っているはずですから、液晶ディスプレイの色温度も6500Kに合わせておけばいい、ということになります。
最近の液晶ディスプレイは「sRGB」に対応しています。sRGBは、色空間に関する国際的な標準規格で、色温度は6500Kに決められています。したがって、sRGBに対応している液晶ディスプレイなら、色温度を6500Kに設定できるはずです。
液晶ディスプレイの画面を見ていて、青みが強くていやだなあ、と感じる人は、色温度を6500Kに設定してみてください。初期設定が9300Kというとんでもなく高い色温度になっていることもありますから(この国の人たちは9300Kという高い色温度を好む、などという話もありますが、私には真偽のほどはわかりません)。
ただ、6500Kにしても青みがかっていていやだ、と感じる人もいるでしょう。昼間の部屋の照明は窓から差し込んでくる太陽光、夜間の部屋の照明は「昼白色」――といった場合ですね(私の場合です(^^;)。そんなときは、さらに色温度を下げて、5000〜5500Kくらいにしてください。そうすれば、青みの抜けた発色になります。はじめのうちは赤っぽいと感じるかもしれませんが、しばらくすれば慣れるものです。
なお、印刷業界では、ディスプレイの色温度を5000Kに合わせています。
色温度を5000Kまで下げられない液晶ディスプレイは、買わないほうがぶなんでしょう。すでに購入してしまった場合は、買い替えるのがいちばんです。自分の目に“代え”はありませんからね。
■チェックポイント(6):ディスプレイアダプタの色補正機能を使ってみる
さて、ここからは“正確な色再現”をカンペキに無視した話になります。
パソコンで画面表示を担当しているのは、マザーボードに“じかづけ”されている(=オンボードの)「ビデオチップ」や、マザーボードの拡張スロットに差し込まれている「ビデオカード」です。これらビデオチップやビデオカードをひとまとめにして、ウィンドウズでは「ディスプレイアダプタ」と呼んでいます。
たいていのディスプレイアダプタには、色補正機能があります(正確にいうと、ディスプレイアダプタを動かすためのソフト、「ディスプレイドライバ」が色補正機能を提供しています)。コントロールパネルの「画面」アイコンをダブルクリックして、「設定」タブをクリック。右下にある「詳細設定」ボタンを押します。たくさん並んでいるタブのなかに「色」などというタブがあったら、クリックしてみましょう。
上の画面は、私が使っているデスクトップパソコンの色補正機能です(ディスプレイアダプタは「RADEON 2100」)。この画面では、「ガンマ」「明るさ」「コントラスト」を数値で調整できます。
- 「ガンマ」……それぞれの色の中間階調部分を、なだらかに上げたり下げたりします
- 「明るさ」……それぞれの色のすべての階調を、いっせいに上げたり下げたりします
- 「コントラスト」……それぞれの色のいちばん明るい部分といちばん暗い部分の差を、大きくしたり小さくしたりします
それぞれの数値を上げたり下げたりすると、画面のみためは次のような感じになります。
| 調整項目 | 数値を上げる | 数値を下げる |
|---|---|---|
| ガンマ | 全体に白っぽくなる(真っ白と真っ黒はそのまま) | 全体に黒っぽくなる(真っ白と真っ黒はそのまま) |
| 明るさ | 全体に明るくなる(真っ黒が白っぽい黒になる) | 全体に暗くなる(真っ白が黒っぽい白になる) |
| コントラスト | 全体に明るく白っぽくなる(中間の階調がなくなってくる) | 全体に暗く灰色っぽくなる(中間の階調だけになってくる) |
画面のみためをことばでいい表すのは、なかなかむずかしいですね。みなさんのディスプレイアダプタにこれらの設定があったら、ぜひ、試してみてください。
私のこれまでの経験からいえば、明るさとコントラストの調整だけでは、自分の目に合わせることはできませんでした。したがって、ガンマ調整(ガンマ補正ともいいます)のできないディスプレイアダプタは問題外、ということになります。さらにいえば、私にとっては、ガンマ値を「1未満」にできないディスプレイアダプタも問題外。特にインテル製ビデオチップは、ガンマ値の下限が「1」になっているので、私にとってはなんの価値もない製品だったりします。
実際の調整のしかたとしては、最初にガンマを下げ、次に明るさとコントラストをおなじくらい下げて、好みのみためになっているかどうか、目が疲れないかどうか、といったことを判断するようにしています。
オンボードのビデオチップのなかには、ガンマ・明るさ・コントラストを数値で調整できないものもあります。そんな場合は、拡張スロット(AGPスロットやPCI-Eスロット)に差し込むビデオカードを購入したほうがいいでしょう。デスクトップパソコンの場合、拡張スロットにビデオカードを差し込むと、オンボードのビデオチップは自動的に使われなくなります。とにかく、自分の目に“代え”はありませんからね。
■チェックポイント(7):「PowerStrip」を使ってみる
液晶ディスプレイでは輝度しか調整できない、ディスプレイアダプタの色補正機能はとても貧弱、でもどうしてもそのディスプレイを使いたい(あるいは使わざるをえない)……。そんなときの最後の手段を紹介しましょう。
上の画面は、私がメインマシンとして使っているノートパソコン「ThinkPad X22」の色補正機能です。調整できるのは「明るさ」と、R・G・B独立の色曲線(ガンマ)だけ。しかも、どちらも数値では調整できません(マウスで動かせるだけ)。これじゃあどうしようもないですよね。
ところが、こんなどうしようもないディスプレイアダプタでも、なんとかしてくれるソフトがあります。
そのソフトは「PowerStrip」(パワーストリップ)。「エンテックタイワン」(EnTech Taiwan)社が開発しているオンラインソフト(シェアウェア)で、同社のウェブサイトからダウンロードできます。
ダウンロードしたファイルは、ダブルクリックしてインストール。メッセージにしたがって再起動したら、さっそくPowerStripを立ち上げてみましょう。「Quick Setup」画面に続いて、「PowerStrip Tips」が表示されます。「PowerStrip Tips」は、料金を支払ってライセンスキーを取得すれば、表示しないように設定できます。つまり、料金を支払うまでの機能制限、というわけですね。
それでは、タスクバーに表示されたPowerStripのアイコンを右クリックして、メニューの[Color profiles]→[Configure]を選んでください。こんな画面が表示されるはずです。
これがPowerStripの色補正機能。さきほどの“どうしようもない”設定画面に比べると、まったくちがいますよね。ガンマ・明るさ・コントラストのほかに、なんと色温度まで数値で調整できます。私の場合、ThinkPad X22の液晶ディスプレイが青みがかっていてどうしようもなかったので、最初に色温度、次にガンマ、さらに明るさとコントラスト――といった順番で数値を下げていきました。
PowerStripでどれくらい色補正できるのか、実例をごらんください。私が使っている「ThinkPad X22」の液晶ディスプレイを、デジカメ(ミノルタZ1)で撮影してみました(以下の説明画像は、一部を切り取ったものです)。
ディスプレイに表示していたのは、こんな画面です。白地に、グレースケール化したウィンドウズの操作画面がある、という画面ですね。
色補正していない状態で撮影したのが、下の写真です。デジカメのホワイトバランスは「昼光」(約5000K)にしました。あきらかに青みがかっていて、約5000Kよりも高い色温度であることがわかります。
ホワイトバランスを「曇天」(約6500K)にして撮影したのが、下の写真です。まだ、青みがかってますね。ThinkPad X22の液晶ディスプレイは、sRGBが規定する色温度(6500K)よりも高い色温度になっているようです。
PowerStripで色温度を4000Kまで下げた状態を撮影したのが、下の写真です。ホワイトバランスは「昼光」(約5000K)にしました。灰色の部分から青みが抜けて、ちゃんとした灰色になっているのがわかります。PowerStripで設定した色温度は4000Kですが、この写真から判断するかぎり、実際には約5000Kの発色になっているようです。おそらく、ThinkPad X22の液晶ディスプレイはもともとの色温度がかなり高い、ということなんでしょう。
いかがでしょう? PowerStripを使えば、液晶ディスプレイで輝度しか調整できなくても、ディスプレイアダプタの色補正機能が貧弱でも、いま使っている液晶ディスプレイを、なんとか自分の目に合わせることができるんじゃないでしょうか。
PowerStripの料金は29.95ドル。ビザ、マスター、JCBなどのクレジットカードでも支払いができます。自分の目に必要なのかどうか、じっくりと試してみてください。私はすでに料金を支払いました。PowerStripがなかったら、いま使っているThinkPad X22がメインマシンになることは絶対になかった、と断言できます。
ただ、ディスプレイアダプタによっては、PowerStripがうまく動かないこともあるんですよね。そんなときはもう、どうしようもありません。目に合わない液晶ディスプレイを使い続ける……なんてことはしないで、かつての私のように、とっとと売り払うのが正解でしょう。なにしろ自分の目に“代え”はありませんからね。
*
自分の目に液晶ディスプレイを合わせる方法を、あれやこれやと書いてきました。私と似たような“弱い目”をしている人の役に立つことを願っています。
……と願ってはいるんですが、あれこれやってみてもまったく目に合わない、目に合う液晶ディスプレイを探して何台も買い替えざるをえない、というケースもあるでしょう。私もそうした経験をしてきましたし、現在でもしています。
いくら液晶ディスプレイが安くなったとはいえ、一部のお金持ちをのぞけば、数台買い替えるのが限度でしょう。となると、何台か買い替えてそれでも目に合わないとなってしまったら、もう、どうしようもないんですよね。
液晶ディスプレイメーカーの技術者たちにはまったく期待できないでしょうね。おそらく彼らは、マジョリティー(多数派)である“目の強い”人たちの立場に立って(そして、そうした立場に立っていることに無自覚なまま)開発しているだけでしょうから。“目の弱い”人たちの立場に立った目の専門家や技術者が出てくればいいんでしょうが、ムリかもしれませんね。
けっきょくのところ、目に合う液晶ディスプレイが見つからない場合は、パソコンなんてものを使わないのがいちばん、ということになるのかもしれません。なんともおあとがよろしくないようで。