約物に強くなる(2)
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「文系な」あなたに贈るパソコン使いこなし講座


●おしらせ(2005.10.26)

このページは更新を停止した古いコンテンツです。書いてあることにまちがいはないと思いますが、新しいコンテンツをごらんになったほうがいいでしょう。新しいコンテンツは「●ことばと文字にかかわるおぼえがき」からどうぞ。

 「区切りの意味で使う記号類」の次は、いろいろな形がある「かっこ類」についてお話ししていきます。

■かっこ類
 「JIS X 0208」で規定されているかっこ類には、次のようなものがあります。

《表1》かっこ類
  呼び方 シフトJISのコード番号
‘ ’ コーテーションマーク 8165・8166
“ ” ダブルコーテーションマーク 8167・8168
( ) かっこ、まるかっこ、パーレン 8169・816A
〔 〕 亀甲 816B・816C
[ ] ブラケット、角ブラケット 816D・816E
{ } 中かっこ、波かっこ 816F・8170
〈 〉 山がた、山かっこ 8171・8172
《 》 二重山がた 8173・8174
「 」 かぎ 8175・8176
『 』 二重かぎ 8177・8178
【 】 すみつきパーレン、黒亀甲 8179・817A

■「 」と『 』の使い分け
 文献を表記する場合、一般的には書籍・雑誌名に『 』、論文名に「 」をつけます。たとえばこんな感じですね。

  向坂香織「太陽系出版社の動向」(『月刊星間ネットワーク』2048年3月号)

 映画やアルバムのタイトルなども、これに準じる形にすればいいでしょう。

  『原爆の子』(新藤兼人監督 1952年)
  小宅珠実『あの頃のジャズ』(キングレコード 1991年)


 オムニバス映画の中の1編や、シングルとして発売された(あるいはアルバムに収録された)曲名には「 」をつけます。

 ……という具合に、一応の決まりを作ることはできるのですが、何ごとにも例外はつきもの。あまりこだわらないで、臨機応変に対処してください(笑)。

■かっこ類の順位
 「 」の中で「 」を使いたいときは、『 』にします。

  「『そうじゃない』って言ってるでしょ」

 これは誰でもご存知のはず。では、かぎ以外のかっこ類を入れ子にする場合はどうしたらいいのでしょう。

 「約物に強くなる(1)」で紹介した『最新用字用語ブック』によれば、「カッコ内にカッコを用いるとき」の順位を次のように決めています(p. 523。なお『最新用字用語ブック』は第3版が刊行されました。第3版ではp. 521)。
[(〈 〉)]
 新聞記事では、( )の中は〈 〉にするんですね。必ずしもこのやり方にのっとることはないと思いますが、一つの目安にはなるでしょう。いずれにせよ、原稿の中でかっこの順位を決めておくことが大切です。

■< >と〈 〉は別のもの
 〈 〉のつもりで< >を使っている人が、あまりにも多いんですよね。

 かな漢字変換ソフト(ローマ字入力)から[Shift]+[ね]で入力できるのは「<」、[Shift]+[る]で入力できるのは「>」。これらはいずれも数式で使う不等号です。山かっこではありません。間違えないようにしましょう。

■かっこ類を効率的に入力する
《図1》図1:いろいろなかっこ類の候補  《図1》のように、MS-IME98では「かっこ」と入力して変換すると、いろいろなかっこ類が候補として現れます。よく使うかっこ類は学習されて前の方に来ますから、それなりに便利ですね。

 ただ、候補の中には(1)半角のかっこ類、(2)<>や≪≫――もありますので、候補を選ぶときには注意しましょう(≪≫は、数式で「非常に小さい」「非常に大きい」を表す記号です)。

 特定のかっこを一発で出したいなら、単語登録するしかありません。たとえば『』を「にじゅうかぎ」などの読みで登録するわけです。このとき、登録する単語の品詞は「単漢字」にしておきます。


■「ちょんちょん」はどこにある?
 縦組みで強調したい部分に使う「ちょんちょん」は、「ダブルミニュート」と呼ばれています。「JIS X 0208」では規定されていないのですが、いわゆる「NEC外字」を使うことは可能です。

《図2》図2:NEC外字にあるダブルミニュート  《図2》を見てみましょう。しるしをつけたのがダブルミニュート。シフトJISのコード番号で8780と8781になります。プリントアウトを目的とした原稿なら、あるいは原稿をやりとりする双方が了解しているなら、使っても構いません。

 ただし、赤坂トオル「TrueTypeフォント『ダブルミニュート問題』とは」(『Windows DTP PRESS』vol. 4 技術評論社 1999年所収)によれば、「ダブルミニュートを利用する場合、仮想ボディ内での位置に関して注意がいる」(p. 149)。つまりダブルミニュートの位置は、書体(フォント)によって違うのです。

《図3》図3:フォントによるダブルミニュートの違い  著者は3つのタイプがあると指摘しています。すなわち――

(1) 「起こしは全角仮想ボディの下側、受けは上側にある」タイプ
(2) 「起こしは仮想ボディの上側に、受けは下側に位置する」タイプ
(3) 「あまり考慮していない」タイプ

 これら3タイプのフォントを並べたのが《図3》です。左から(1)タイプのヒラギノ明朝、(2)タイプのMS明朝、(3)タイプのGTタイプバンク明朝――。まさに一目瞭然、ヒラギノ明朝以外は使い物にならないことがわかるでしょう。

 プリントアウトが目的の場合、(1)タイプのフォントは絶対に必要です。フォントはお金を出して買うもの、という実例ですね。

■コーテーションマーク類は縦組みでは使わない
《図4》図4:シングルミニュートとダブルミニュート  コロンと同じく、コーテーションマークとダブルコーテーションマークは縦組みでは使いません。たまにあるんですよね、縦組みでこれらの記号を使っている印刷物が。まったく困ったもんです。

 「JIS X 0208」の「附属書4」では「参考」として、

・コーテーションマークの縦組み用字形として「シングルミニュート」
・ダブルコーテーションマークの縦組み用字形として「ダブルミニュート」

を挙げています。シングルミニュートとは、「ダブルじゃない」(笑)ミニュートのこと。《図4》に「むりやり」作ったシングルミニュートの例を挙げておきます。

 確かにこうしたフォントがあれば便利でしょう。ところが現時点では、コーテーションマーク類とミニュート類を同じ文字コードに割り当てたフォントは存在しないのです。

 NEC外字のダブルミニュートは、ダブルコーテーションマークとは文字コードが異なります。またシングルミニュートに至っては、使いたければ外字として作成しなければなりません(シフトJISのコード番号で818Cにある「′」は「分」を表す単位記号。かっこ類ではありません)。

 縦組みにする原稿ではコーテーションマーク類を使わず、面倒でもダブルミニュートを入力するようにしましょう。


【参考文献】
・玄光社編集企画室編『クリエイターのための印刷ガイドブック1 基礎編』玄光社 1986年
・日本エディタースクール編『標準 編集必携』日本エディタースクール出版部 1987年
・デザイン編集室編『編集ハンドブック 第6版』ダヴィッド社 1990年
・赤坂トオル「TrueTypeフォント『ダブルミニュート問題』とは」(『Windows DTP PRESS』vol. 4 技術評論社 1999年)
・時事通信社編『最新用字用語ブック 第2版』時事通信社 1997年
・時事通信社編『最新用字用語ブック 第3版』時事通信社 2000年


[2000年 3月 1日]
[2000年 5月 8日修正]


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