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昨夜、TVの県内版のニュースで一人のレスラーの訃報が告げられた。
さる4月14日に気仙沼市で行われた新日本プロレスの興行において、試合中に頭部を強打して意識不明となり、即日市内の病院で開頭手術が施されて一時は自力で呼吸するところまで持ち直したが、19日早朝、息を引き取ったという。
彼は平成7年「レッスル夢ファクトリー」というインディー団体でデビューしたのだが、一からプロレスを修行し直したいという彼のたっての願いで、去年新日に移籍した。
インディー団体といえどもかつてはエース級だった選手が、一転メジャー団体で若手選手らと同等に扱われるのには並々ならぬ苦労や葛藤があったに違いない。またケガにも泣かされ、最近ようやく復帰してきたばかりだった。
しかし、彼はようやく実力の片鱗を見せはじめ、現在行われている新日若手レスラーの登竜門ともいえる「ヤングライオン杯」では、優勝候補の一角にもあげられていた。
結婚も間近に控え、ようやく一花咲かせようというその矢先の出来事だった。
奇しくも試合のあった日、私は週末で実家に戻っていたのだが、時間と予算の都合で観戦をあきらめていた。試合が行なわれた会場は、車で行けば1時間もかからない場所にあったのだが、まさか目と鼻の先でこんなことが起きようとは・・・
かつて、樹木子(じゅぼっこ)なる妖怪がいたという。
古戦場などに生えている人間の血を大量に吸った木に生命が宿り、新たな血を得んがため枝を伸ばしては木の下を通る人間を捕らえるのだという。
かつて、アニメ「タイガーマスク」の主題歌の中に、プロレスのマットをジャングルに例える一節があったが、今回、数多のレスラーの血を吸ってきたジャングルは、前途ある一人のレスラーの命をも奪ってしまった。
折りしも、宮城県県北地方は昨日の夜半から雨になった。ようやく咲き始めた桜の花が、激しい風雨に散っていた。
平成12年4月19日、リングに散った遅咲きの桜を、私はきっと忘れない。
新日本プロレス所属・福田雅一(ふくだ・まさかず)選手。享年27歳。
樹木子の花(じゅぼっこのはな)
2000.4.20
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