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▲絵はがき(©
Intrepid Sea Air Space Museum)
1 空母が博物館!?
2001年1月31日、海外出張で訪れたニューヨークのハドソン川河畔にあるイントレピッド海洋航空宇宙博物館を訪れました。この施設は何と、米海軍の退役航空母艦(以下「空母」という。)「イントレピッド」それ自体が展示物という、特異で貴重な博物館なのです。摩天楼そびえるマンハッタンのど真ん中に本物の空母を浮かべて博物館として利用するという大胆な発想によるこの博物館は、イントレピッドのほかにも米海軍の退役駆逐艦エドソン及び潜水艦グローラーが係留され、そのいずれにも乗艦することができます。
入口付近にあるビジターズ・センターの1Fで料金を払って入場しますが、このとき、チケット代わりに黄色い紙テープを手首に巻かれました。また、日本語音声ガイド機器を借りられるのはありがたいサービスです。これは無料でしたが、保証金代わりにパスポートをカウンターに預けておきます。この機器は、たくあんのような大きさと形をしたトランシーバ型をしており、ダイヤルで言語選択及び展示品番号を設定して説明を小形スピーカーから聞くというものです。これがFM電波レシーバーなのか、シリコンオーディオなのかは特定できませんでした。でも、これのおかげで、英文の説明を苦労して読むことなく、博物館を楽しむことができました。
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▼博物館の概要
▼配置図(パンフレットから転載、加筆。©
Intrepid Sea Air Space Museum)

- 障害者等出入口
- メインの出入口
- 催事出入口
- 業務用出入口
- 保安詰所
- ベルリンの壁、冷戦の展示
- ビジターズ・センター(入場券、化粧室、売店)
- 来場船用ドック
- 格納庫への下り階段
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- カタパルト
- 艦載機用前部エレベータ
- 「A-12・ブラックバード」(現在は(10)の位置)
- 銃砲ギャラリー
- 艦橋
- 艦載機用左舷エレベータ
- アングルド・デッキ(着鑑用斜行甲板)
- 艦載機用右舷エレベータ
- NASAが使ったはしけ
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▲位置図(Microsoft Encartaワールドアトラスから作成) |

▲案内図(Microsoft
Encartaワールドアトラスから作成)
- ミッドタウン地区からは、バスのM50(マンハッタン路線の50番線。料金は$1.50均一)に乗って約15分、ハドソン川沿い12番街のバス停で下車後すぐ。このM50系統は、一方通行の道を走るため、往復で経路とバス停位置が異なるので注意。
- 地下鉄の最寄り駅は、A,C,E系統の42St.8Av.駅。しかし、徒歩20分(約1.5km)と離れており、10番街から先のハドソン川沿いの地区は治安が悪く、徒歩で行くのは危険(NY在住者談)。
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2 U.S.S.イントレピッド(CVS-11)
航空母艦イントレピッドは、第二次世界大戦後期の1943年、航空戦力を大幅強化するために大量23隻も建造された正規空母エセックス級の3番艦です。エセックス級空母は主に太平洋戦線に投入され、イントレピッドもフィリピン奪還におけるレイテ沖海戦で、重要かつ最大の功績をあげました。戦後に大改修されてアングルド・デッキ化(着陸用斜行甲板を装備)され、全長272メートル、排水量4万2000トンと現在の形態となりました。その後は、NASAの宇宙船と宇宙飛行士の地球帰還時の海上回収作戦やベトナム戦争に参加した後、1974年に退役しています。
▼アイランド
こんなところへ入っていいのでしょうか?本物の空母の艦橋への入場がかないました!ホント、エヴァ第8話「アスカ、来日」で描かれたとおりのたたずまいでした。空母のアイランドは飛行甲板を確保するため横幅が狭く造られており、艦橋も護衛艦のそれと比べて狭隘な空間となっていました。
また、飛行甲板には、「カミカゼ」記念プレートが置いてあります。まさにその場所に特攻機が体当たりしてきたという場所だそうで、イントレピッドは、特攻機により60名以上の被害者を出しています。
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▲艦首 |

▲艦橋内部 |
3 格納庫展示
▼イントレピッド艦内の展示配置図(パンフレットから転載。©
Intrepid Sea Air Space Museum)
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- 障害者等出入口
- メインの出入口
- 催事出入口
- 業務用出入口
- 多目的シアター(準備中)
- 飛行甲板への上り階段
- 「ネイビー・ホール」
- インフォメーション・デスク
- 特別展示室への下り階段
- 「イントレピッド・ホール」
- 展示室係員
- 艦載機用左舷エレベータ
- 「パイオニア・ホール」(企画展示)
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- 「テクノロジー・ホール」
- 未来の国防の展示
- 「スペースファイト・シアター」、売店
- NASAの展示
- 艦載機用右舷エレベータ
- ネイビー・フライト・シミュレータ
- 「エセックス・ルーム」(業務用)
- 「星条旗カフェ」
- 障害者等用トイレ
- 女性用トイレ
- 男性用トイレ
- 扇形艦尾(ハドソン川の展望)
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イントレピッドの艦内は、長さ200メートル近くもある巨大な展示ホールとなっており、そこはかつて艦載機格納庫として使われていた部分なのです。展示ホールの最初は、空・航空機のコーナー。その1番手が、「グラマン・F-14D・スーパートムキャット」。この機体は、現在も米海軍の主力戦闘機として使われているF-14の戦闘爆撃機バージョンの試作1号機。傍らには艦載攻撃機A-5のコックピットの実物大模型に座ることもできます。
雷撃機「グラマン・TBF・アベンジャー」と「グラマン・F-6F・ヘルキャット」は、第二次世界大戦時に実際にイントレピッドの艦載機であった米海軍の代表的な軍用機です。格納用のために主翼の根本から折り曲げられた形で展示されているものの、その意外にも大きく感じられて圧倒されました。
次のコーナーは、海・艦船です。潜水艦の歴史、特に南北戦争時の人力潜水樽の原寸大復元品の展示が見ものです。また、第二次世界大戦中のイントレピッド、戦艦ミズーリ、戦艦アリゾナ等の軍艦の模型もいくつかあります。
最後は、宇宙・ロケットのコーナー。スペースシャトルや惑星探査機等の模型展示が中心です。海や空の展示と比べるとやや物足りない感じがしました。

▲レイテ沖海戦の解説図 |

▲硫黄島記念像(ワシントンD.C.にある巨大彫像の元祖がコレ) |

▲艦上攻撃機・グラマン・TBF・アベンジャー |

▲艦上戦闘機グラマン・F6F・ヘルキャット |
4 甲板展示
フライトデッキで最も目を引く航空機が、高々度偵察機ロッキード・A-12・ブラックバードです。この機体は、戦略偵察機U-2の後継機としてロッキードが開発した秘密偵察機です。その後、A-12を母体として開発された空軍の戦略偵察機ロッキード・SR-71が
ジョンソン大統領から発表されるまで、スパイ機としての存在は秘密とされてきました。そもそも、米国の戦略偵察飛行は、旧ソ連領空でU-2偵察機が撃墜された事件により一度停止されましたが、マッハ3偵察機トリオ(A-12、YF-12、SR-71)の開発・生産を受けて、4年後の1964年に再開されました。これらの戦略偵察機の主な任務は、米空軍とCIAによるキューバや中国に対する偵察行為でしたが、現在は軍事偵察衛星にその座を譲り、全機引退しています。
ブラックバードの特徴である超高速飛行のために水平尾翼を無くした三角翼は、胴体と融合させて空気抵抗を極力押さえています。垂直尾翼が内側に傾けているのも珍しい形態です。また、機体の外装には大気摩擦による高熱に耐えるためにチタン合金を用い、黒色塗装はレーダー反射をかく乱させるためのものです。そして、最高速度マッハ3.5を実現する強力エンジンは後継機種のSR-71にも積まれて、1976年に実用航空機としての世界最高速度3,529.6km/hを記録しています。
▲先進的なデザインを持つロッキードA-12ブラックバード
5 潜水艦グローラー

▲駆逐艦エドソン(左)と潜水艦グローラー(右)
この博物館のもうひとつの目玉は、「内部が一般公開されている世界唯一の潜水艦」という触れ込みの攻撃型潜水艦グローラー(SSG-577)です。潜水艦の内部はとても狭いため、係員が見学客12人ごとにツアー形式で艦内を案内するルールとなっています。潜水艦の傍らに待合い用テントまでこしらるほどの行列必至のスポットでしたが、今回は私たちのほかにスペインからの観光客を含めて10人足らずと空いていて、ほとんど待たずに乗艦できました。見学の所要時間は、約15分。
まず、艦内の一室のベンチシートに座わらされ、見るからに怖そうな海軍軍人もどきの係員のお兄さんから見学上の注意を受けるとともにグローラー号の歴史を映し出す数分間のビデオを見ます。ここから先は、例の日本語音声ガイド機器に頼ることはできないのため、英語で行われる説明を必死に聞き取ろうとしました。しかし、「ビデオ撮影はしてはいけない、そしてスチル写真は………」というくだりの文法が解析できず、撮影禁止なのか可能なのか判りませんでした。しかし、どちらにしろこの貴重な潜水艦内の写真は1枚も撮れなかったのです。その理由は、係員のお兄さんが怖そうだったから?違います。まさにこの瞬間、カメラの電池が消耗してしまったのです。自衛艦「あすか」の悪夢、再び…。
階下に下りて、手が触れる位置に魚雷が置かれている魚雷装填室、海図が並べられた作戦室、寝返りを打つのも困難と思われる水兵用ベッド、今でも食事がとれそうな厨房と食堂など各所で係員からの説明を聞きます。もちろん、英語なのでほとんど意味を聞き取れませんでしたが…。浸水隔壁がいくつもある廊下や階段はとても狭く、特に潜望鏡のある操舵室は、これまで映画で見てきたどの潜水艦よりも狭い場所だと感じました。今回の海外出張の最終日(2001年2月10日)に起きた「えひめ丸事故」(ハワイ沖で愛媛県の海洋実習船が米海軍の潜水艦と衝突、沈没させられた事故)で、米海軍の潜水艦グリーンビルは、操舵室に16名もの民間人見学者が居たそうですが、そりゃもう、むちゃくちゃな状態だったに違いありません。

▲潜水艦グローラー |

▲巡航ミサイル? |
なお、もう一つの展示艦、駆逐艦エドソン(DD-946。フォレスト・シャーマン級)は、時間の都合で見学しませんでした。桟橋から見ると、海上自衛隊の護衛艦そっくりな外観をしていました。
6 地上展示

▲ベルリンの壁

▲東西両陣営の戦車

▲空母が描かれたPETボトル飲料自販機
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ビジターズ・センターの手前の区域は、「冷戦」をテーマとした展示コーナーとなっていて、入場料を払うことなく自由に見学することができます。「ベルリンの壁」は、東西ベルリンを隔てていたコンクリート壁を切り取った本物なのだそうです。旧東ドイツ政府が西ベルリンへの亡命を防ぐために1961年に築いたベルリンの壁は、東欧自由化の波に飲み込まれて1989年11月9日に崩壊しました。壁のほとんどは破砕されて道路建設用の資材に使われたそうですが、一部はこのような形で残っているわけです。一説ではオークションにも出たそうで、1個が80〜1,200万円にもなったようです。
入口近くで目につく2台の戦車のうち、旧ソ連製の戦車は、湾岸戦争(1990-91年)の際にイラク軍から接収した戦利品です。
このほか、ビジターズ・センターの1Fと2Fにはミュージアム・ショップがあり、軍艦、軍用機、宇宙船といったこの博物館にちなんだ土産品がずらりと並んでいます。在日電脳委員への絵はがきは、ここで調達したものです。
わずか2時間と慌ただしい見学でした。空母自体と屋外展示機は雨ざらしのために状態が良くない感じがしましたが、もっとじっくり見る価値はある博物館だと思いました。帰国後に、サーチエンジンで検索したら、マイナーだと思っていたこの博物館を紹介するページが続々でてきたのには、驚きでした。
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(BGM♪錨をあげて(ツィンマーマン作曲)/MIDIデータ音源は勝手に使わせていただいております)
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