名水大全カバー画像・2000年10月号


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表紙画像(2000年10月号)

鳥海山山麓
胴腹瀧湧水
(山形県飽海郡遊佐町,1999年7月探訪)

表紙画像 山形県遊佐町・胴腹瀧湧水

 無明舎出版の「とうほく名水紀行」は10月初め現在まだのようです(後日記:同社のニュースページによると,10/31に出版されたらしい).まあ少しくらいじらしてもらった方が入手時の喜びが増えると言うものですが….それはそうと他人のことを言える身分ではありません.9月は結局多忙により「後半号」を出せずじまいでした.期待してちょくちょくアクセスして頂いていた方には本当に申し訳ないことをしました.深くお詫び申し上げます.「出来るかどうか分からないことは約束しない」という鉄則どおり,今月は「10月号」とし,月内更新はしないことにします.あしからずご了承ください.

 さて,本題です.各地に,周辺の人の間では知らぬもののない存在でありながら全国的には知名度はイマイチ,いやはっきり言って無名という水があるものです.その代表格が,この胴腹滝(どうはらのたき)でしょう.鳥海山からやってきた熔岩流のその末端,急斜面の下部から2本の滝が落ちています.よく見るとその滝は崖の途中からいきなり始まっているのです.

 車道から5分くらい森の中を歩いて到達すると言うシチュエーションがなかなかよく,とりあえず鳥海山入門にはぴったりの水場です.本体の水場に至るまでにも,いくつか小さい流れをわたることに注意しましょう.この付近では複数の湧水があるのです.

 前述のとおり車道ぞいではないので,水汲みをしたら重いタンクを車まで持っていかねばなりません.しかしそれでも,毎日大勢の人がこの水を求めて集まってきます.本当に本当に人気の水なのです.しかし,現在のところ全国版の名水本にこの水が載っているのは見たことがありません.まったくもって不思議ですが,しかしそういう水は意外と多いものです(ちなみに遊佐からは名水百選候補が一つもエントリーしていません.この程度の水があたりまえであるので,町の担当者がこれらの水をそれほど貴重なものと思わなかったのかもしれません←あてずっぽうですが)

 これからこの連載でおいおい触れてゆきますが,遊佐は極めて水資源が豊富なところで,山の中には湧水はいくらでもあり,街中には掘りぬき井戸が多数あります(ただし現役は少ない).そういう場合,往々にして水に対する地元の関心が薄れてゆきがちなものですが,この胴腹滝上部に採石場(いわゆる「鳥海石」の)が設けられるかもしれないということで反対運動が盛り上がりました.鳥海山山麓には極めて数多くの湧き水がありますが,この胴腹滝はその象徴的存在なのです.そして,必ずしもその湧き水に隣接しているわけではないがしかし水の通り道に当たるかもしれない所に設けられる採石場に反対する声が上がったと言うのは,「その水がどこからくるのか」という,湧き水を見るときに極めて重要な基本概念が周辺の方々に見に着いていることを意味します.素晴らしいことです.

 いつまでもこの類まれなる自然が保たれるように願いながら,鳥海山山麓湧水シリーズを開始します.

(詳しい位置等については名水大全山形県編参照.)


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