名水大全カバー画像・2000年9月号


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表紙画像(2000年9月号)

鳥海山山麓
遊佐町「ゆうすい」
(山形県飽海郡遊佐町,1999年7月探訪)

表紙画像 遊佐町福祉施設「ゆうすい」

 この夏に秋田の無明舎出版から「とうほく名水紀行」という本が出る予定でした.出たらその記念に「鳥海山山麓湧水シリーズ」でもはじめようかと思っていたのですが,むむ,残念ながらまだのようです(9月下旬には学会で仙台にいくので,その折に持ってゆきたいものですが).

 業を煮やして?「もうかってにはじめてしまおうか」なんて思いもしたものですが,やっぱり出版記念企画としては発行後にやりたいし,でも…と思い悩むうちに,妥協案として鳥海山山麓遊佐町の紹介でもしてみようかということにしました.というわけで今回はちょっと息抜き?に湧水以外の写真です.

 水の郷百選に選定されている遊佐と八幡は,いずれも山形県最北部の鳥海山山麓にあり,お隣どうしです.鳥海山からやってくる豊かな河川水と,そしてなんといっても湧き水が訪れる人を魅了します.

 さらに言うと,遊佐市街ではかつて多くの掘りぬき井戸が使われいたようです.川の水は涸れず,湧き水が豊富で,しかも庭に井戸がある!なんと贅沢な…水には不自由しなかったことがうかがわれます.

 冬の季節風をまともに受ける独立峰の高山である鳥海山には,膨大な積雪があります.一説によると降水量換算で10,000mmを軽く超えるとのこと.それが河川水・湧水として流れ出すわけです.そんな鳥海山の湧き水ですが,まだその全貌は明らかになっていません.しかし八幡・遊佐の人々,特にOさんという個人が超人的な悉皆調査を行っていて,今後が大いに期待されます.

 あまりに湧水があたりまえすぎるのか,遊佐町は今まで水の街としての宣伝は多く行っていなかったようです.たとえば1984〜85年に行われた名水百選候補調査(環境庁が各自治体に呼びかけたらしい)では遊佐町からは一つもエントリーがないのです.また,現在のところ遊佐の水を紹介している名水本は僅少です.地元の人には有名な胴腹滝なども,全国レベルの知名度はイマイチです.いや,もっとはっきり無名の存在といってもいいでしょう.そんな素朴な水が,人が,街が,まだ日本には残っているのです.

 そんな遊佐町も,水環境に関する住民意識は次第に高まりつつあるようです(私も昨年招待されて行ってきました.詳しい地元住民活動内容は今後紹介します).そしていきなり老人ホームについてしまった名前が,「ゆうすい」.まさか幽邃のことではないでしょうね(笑).そうだとしても,少なくとも私はこれを湧水と読みます.キッパリ.

 世の中にはまだこんな水があったのか…と驚くことウケアイという水を,これから連続で紹介してゆきます.そう,豊かな水環境というものは,探せばまだまだあるのです.ただし知らなければ知らないうちに消えてしまうものなのです.出来るだけ多くの水に足を運び,水に手を差し入れ,周囲の自然を感じてください.


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