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1887(明治20)年初演の河竹黙阿弥の作品。能『紅葉狩』を素材にした作品だが、松羽目物ではなく、歌舞伎風の舞台装置で演じられる。舞台上に常磐津、長唄、義太夫が居並び、競演するのが特徴。

美しいの一言に尽きる玉三郎の更科姫を堪能した。この舞踊劇の見所は、前半の美しい更科姫と後半の鬼女の正体を現した後の更科姫の演じ分けにある。私が、歌舞伎がエンターテイメントだと感じるのは、後半の玉三郎が鬼女のメイクを施している辺りである。おどろおどろしい鬼女を視覚的に表現しないことには済まないと考えるのは、創造力に欠けた一般観客への配慮であろうと思われる。余計なお世話である。

恐ろしいイメージであれば、玉三郎の更科姫の美しさが既に内包していると言って良い。美というものは、本質的に危険な要素を孕んでいる。究極の美というものは、これに向かい合う者にとって、常に恐ろしいものなのである。今回の舞台に於ける玉三郎の更科姫には、間違いなくこの危険な美が存在した。玉三郎には、おどろメイクの必要などないのである。とは言え、玉三郎の美に免じて、今回の『紅葉狩』は良かったと評価したいと思う。幕。(2002,12,7)


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