面白かったと思う。でも、1800円払ってまで映画館で見る映画だとは思わない。だから、これを読んだ人は、特に見なければならない理由がないなら、ビデオが出るまで待った方が良いかも…。 主人公の宇宙飛行士レオは、遭難した猿の宇宙飛行士ペリクリーズを救うために宇宙に飛び出すが、彼がやる気になるのは、この冒頭のシーンだけだ。パンフレットには、我等が主人公レオは、惑星を支配する猿に対する、人間の反乱軍のリーダーとして立ち上がるとある。しかしながら、私が映画を見た限り、レオにそんな気概は見えない。やる気がないのだ。 宇宙船内には、レオの恋人候補らしき女性科学者、猿の女性人道主義者アリ、被差別人間の女性デイナという三人の女性が、レオの周りに存在するが、レオ自身はその誰をも愛しているようには見受けられない。彼は、一人で猿の惑星を脱出するのである。 これまで、ヒーローは、悪を倒し、ヒロインを救うものと相場が決まっていた。しかしながら、レオは、自身と対立する「悪」と戦うことさえ面倒な様子を示し、ただ理不尽な場所から逃亡することを切望する。結果的に猿の軍団と戦うことになるが、これも成り行き以上の興奮はない。残念。 レオが遭難する時、偵察用宇宙ポッドの中で、狂ったようにデジタル時計が時を刻むが、レオ自身は時間の経過を感じない。同じスピードで動いている物体は、同じ時間の流れの中にいるはず。時計が2000年の時を刻めば、レオもまた2000年分年をとるのが必然だろうと思う。俗に言うウラシマ効果、特殊相対性理論の時間遅延効果ってのは、この場合、ポッドの内側の時間の流れが、外側の時間の流れより相対的に遅れていることを指す。多分、前述のような動き方をする時計は、壊れていたんだろうと思う。 大昔、SFのヒーローと言えば、地球を守るために戦ったもんだが、最近は戦うことを潔しとしない平和主義者がヒーローになるらしい。もっと興奮させてよ。ドッカン、ドッカン、頑張っている雄姿を見せてよ。私は、君たちヒーローの活躍に期待しているんだからさ。(2001,8,6) 以上のようなことを、シカゴ在住のRobertさんへのEメールに書いたら、時空連続体に関するお返事をもらった。彼は、ポッドの時計に関して、以下のように考えている。 ポッドは確かに時空を移動している。A地点からB地点への中間的な時間経過を伴わない移動は、時空の捻れによって説明することができる。レオも時計も時間経過を経験していないが、同一時空連続体の中で、時空を超えたことは事実なので、時計はその事実を記録しなければならなかった。従って、時計は自身が経験していない時間経過をカウントしたのではないかというのである。 Robertさんの屁理屈を読んで、私は映画『CONTACT』を思い出した。ジュディ・フォスターのビデオ・レコーダーは、10時間以上に渡って砂嵐を録画していた。ポッドの外部では、ほんの数分が経過しただけだったが、ビデオ・レコーダーは、ジュディ・フォスターが経験した時間経過を、それ自体は経験していないにも関わらず、記録したのである。なぜなら、ジュディ・フォスターとビデオ・レコーダーは、同一時空連続体の中にあったから。 屁理屈だって理屈なわけだが、こんなこと考えるなんて、やはりRobertさんは只者ではない。面白いじゃないか。映画製作者サイドが、あの時計に関してどういう意図を以って演出したのかは分からないが、どこかの物好きが、私と同じような疑問を持ち、これに答えなければならない状況が発生したら、その時には、Robertさんの屁理屈を、是非とも採用していただきたいものだと思う。(2001,8,24)
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