Jack Higgins No.6

死にゆく者への祈り

原題  A PRAYER FOR THE DYING
訳者名  井坂清
出版社  ハヤカワ文庫(NVヒ1-4)
ページ数  285

introduction

舞台は1973年イギリス。
元アイルランド共和国軍(IRA)中尉のマーチン・ファロンは、既に30人以上の人間を殺害して警察から追われ、そしてあるテロ活動の失敗からIRAを逃亡したためIRAからも追われていた。国外へ逃亡するためには偽造旅券が必要だった。それを嗅ぎつけた<英国版アル・カポネ>ことミーアンは、偽造旅券と引き替えに商売敵の殺害を依頼する。あっけない仕事だった。しかし一人の目撃者を作ってしまった。

IRAの将校、街の陰の実力者、教会と一癖ありそうな神父、そして教会に身を寄せる美女。ヒギンズらしい人物設定。しかし冒頭に一つの殺人が行われ、その後は登場人物の内面を追うためストーリーとしてはとても地味な感がある。でも、べとべとした人物描写をせずに、彼らの日常の生活から、あるいは他の登場人物との関わり合いから、そして行動から、彼らの内面を上手に表現して、実にすんなりとクライマックスへ。結末に違和感を残させない、なんというかヒギンズというのはとても豊かな作家なぁと改めて感動した。
巻末の「訳者あとがき」によるとヒギンズは、アンケートで自分の作品の中で本作品が一番好きだと答えたという。むべなるかな。

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