特集「頑張れ! 女性志願者」(2005年12月号より)

 今回は、女性の一般曹候補学生の採用にスポットを当ててみま
した。

 一般曹候補学生(女子)の今年度の採用枠は陸・海・空合わせ
て70名。単純計算をすれば、1つの都道府県からは約1.5人
しか合格しません。それが、YST塾生からは、夏期講習会の参加
者も含めると、なんと2名も女性合格者が誕生しました。また、
模試受講生や教材購入者からも、毎年数名の合格者が出ており
ます。こんなにもたくさんの女性合格者を間近に見ている人間は、
恐らく私をおいて他にはいないと思います。だからこそ、彼女たち
のこと、曹学に合格する女性志願者のことについて本紙面でお伝
えする責務が私にあると思い、ペンを取った次第です。

 私が自衛官採用試験に携わり始めたのが平成5年。当時通って
くる志願者は、すべてが男子でした。授業形態も個別指導のみ。
ここだけの話、自衛官採用試験には、まだ肩入れしていませんで
した。自衛隊コース・夏期講習会・模擬テストと、本格的に採用試
験に携わることになるのは、平成12年のことです。そしてその年、
初めて女性の曹候補士合格者が塾生の中から誕生しました。私と
しても、女性の採用に関しては、実は右も左も分からない状態での
合格者です。本当に嬉しかったことを今でも覚えています(余談で
すが、先日、彼女が突然私の事務所を訪れてくれました。近々結
婚するとのこと。相手も自衛官だとか。本当におめでとうございます)。

 一度合格者が出ると、どれだけのことをやればいいのかが分か
ります。翌年も自衛隊コースに、女性志願者(Tさん)が一名入塾
しました。彼女は曹候補士・一般曹候補学生を目指していました。
曹候補士は、前年に合格者が出たこともあり、ある程度レベルが
分かったのですが、実は、一般曹候補学生に関しては、全く情報
がありませんでした。最寄りの募集事務所に問い合わせたり、イ
ンターネットでいろんな掲示板を調べまくったりしました。その時た
どり着いた結論は、女性で一般曹候補学生に合格するレベルとい
うのは、「雲の上の存在」だということです。ある掲示板には、

「現実的には、各都道府県から一名程度しか合格しないので、合
格者というのは、いわば、その都道府県の代表者に相当します」

なんてことが書いてあります。指導する立場にありながら、私は
はっきり言って面食らってしまいました。

 Tさんの6月の模擬テストの結果は、45点満点中21点。これ
では、一般曹候補学生はおろか、曹候補士さえも危うい状況で
す。幸い、模擬テストを作成するにあたって問題のデータベース
化をしていたので、出題頻度の高い問題、どれくらいのレベルま
でやればいいのかについては、感覚的には分かっていました。
とにかく日々の授業では、こちらから提供できるものについては
精一杯提供することを心掛けました。彼女は模試の結果にめげ
ることもなく、強(したた)かに勉強を続けました。夏休みには実戦
問題集(曹学用)に集中して取り組んでもらいました。

 結果は一般曹候補学生・曹候補士とも最終合格!

 Tさんは合格発表の日、その結果が信じられないといった様
子で電話をよこして来ました。一方の私は、彼女の報を受け、
ようやく肩の荷が下りました。実は同じ年、夏期講習受講生か
らも一般曹候補学生の最終合格者(女性:Mさん)が誕生してい
ます。更に、県外の模試受講生・問題集購入者の中にも、なん
と三名の合格者が出ております。

 その時、私はあることに気が付きました。それは、曹学(女子)
に合格するレベルが「雲の上の存在」だと思ったのは、間違い
だったということです。まして、「都道府県の代表者」のレベルに
達しなければいけないというのもウソだと気が付きました。

 一体どういうことなのか? この謎を解く鍵は2つあります。

 1つ目は、倍率の高さ・採用枠の少なさに受験をする前から
ビビってしまっているということ。実は準備さえしっかりしておけ
ば、どなたでも曹学(女子)に合格することができるんです。それ
なのに、受験勉強をする前から倍率等の数字に面食らってしま
って、戦意喪失状態になってしまう。これでは栄冠は勝ち取れ
ません。

 そして2つ目は、ツボをおさえた勉強をすればいいということ。
YSTから受験情報を得ている人は別ですが、それ以外の志願
者は、やっぱり何をどう勉強していいのか分からないわけです。
多くの場合、市販の問題集を買ってきて勉強を始めるのですが、
これが食わせ者。全く最近の出題傾向に合っていないんです。
そんなこととは知らずに彼女たちは黙々と勉強を続ける。つま
り、彼女たちがその問題集を用いて勉強をすればするほど、実
際の試験問題からどんどんかけ離れて行くんです。そういう人
たちの中から合格者が出るとすれば、それはやっぱり「雲の上
の存在」のレベルの学力を持っている人なんです。

 Tさん・Mさんの学力は決して「雲の上の存在」のレベルでは
ありませんでした。どこにでもいる、ごく普通の女の子です。
しかし、2人とも努力家でした。コツコツと努力を積み重ねて
いくタイプです。また、「絶対に自衛官になりたい」という強い
意志を持ち合わせていました。それから、分からないことは
納得するまで質問をしてきました。内容は勉強に限りません。
倍率や普段の勉強法、作文の内容、面接。とにかく疑問に思
ったことは何でも聞いてきました。私が思うに、納得をすること
で勉強に専念できる環境を作っていたのではないかと思いま
す。

 曹学に受かるためには、別に「雲の上の存在」になる必要は
ありません。出題頻度の高い問題・出題されるレベルに見合っ
た学習事項をしっかりと身につければいいだけなんです。ただ
それだけなんです。それと倍率は気にしないこと。だって、受
験生の多くは、最近の傾向には全く合っていない問題集をやっ
ているんですから。彼女たちは、実は「敵」ではないんです。
倍率を上げるためにいる人たちだと思えばいいんです。



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