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横浜FCモデルのユース組織

2000.5.18
横浜FC シニアマネージャー
田部 和良

 横浜FCはソシオと呼ばれる会員に支えられた、日本で初めての市民によるスポーツクラブです。現在JFLに所属するプロのトップチームのみの活動となっていますが、今年から横浜FCの理想である地域との融合とチームの強化を目的に、ユース組織(育成組織)をスタートします。まず、ジュニアユース(Under-15)を始め、来年にはユース(Under-18)を始める予定です。ここでは、その横浜FCモデル・ユースの狙いについて説明いたします。

育成組織の意味

 サッカークラブの組織において、トップチームの強化とクラブとしてのアイデンティティー確立のため、また地域社会との共存を図るJリーグの理念の実現のためにも、ユースからの選手の供給がとても重要になってきます。これはすでに広く認知され、既存のJリーグのチームでもスタートしています。
 しかし現状では各クラブにユース出身の選手の数がそう多くいない事でわかるように、これまでの育成の体制が全てうまくいっているとは言いがたい面があります。
 そして何よりも現在の学校と地域社会を取り巻く状況から、これまでの発想とは違う新しい社会体育の場が必要になってきていると考えています。

子供達を取り巻く現状

 現在、学校の部活動をめぐる状況が大変難しくなってきています。
これは、
*学校以外の遊び場が盛んになる事による学校離れ
*少子化による生徒数、部員の減少
*指導する顧問の先生の不在
などの原因ですが、これによりサッカーですら部活動が成立しなくなっている学校が増えています。横浜市でも2校の合同によるサッカー部が、高校でも中学でもテストケースで始められました。
ところが、それにより学校施設の利用が減り、使われていない校庭が増え、そしてサッカーをしたくても所属する学校にサッカー部がない、という生徒、サッカーを教えたくても部員が集まらなくて苦労している先生が増えていることも一方での現実なのです。
 横浜FCはここに着目し、何とか学校も含めた地域社会の力を利用して横浜FCの目指す理想のクラブ、ユース組織を実現できないかと考えました。単なる子供達のあこがれのチームではなく、より身近に気軽に参加できるチーム、それがこの横浜FCモデルなのです。

横浜FCモデル

 ユース組織全体のうち、ジュニアユース(U-15)は地域の方に運営の主体となっていただく、これが私たちの考えの柱です。

 指導者は、例えばライセンスを持ちながらも指導するチームがない、その地域の方。練習場所は、地域に対する学校開放を推進したい行政サイドに協力してもらい、学校を中心として施設の確保を図ります。そして集まる選手はあくまでも生活時間に無理が来ない、その地域の子供たち。これまでのJクラブのセレクションには合格しなかったけれど、学校にはサッカー部が無く、でもサッカーがしたい。そんな子供達と、横浜FCの仲間としてともに作るクラブなのです。

 今年はとりあえず3チーム。市内を中心に数年のうちに10チーム以上を目指します。それぞれ毎日でなくても週に2日、3日のトレーニングから始めます。そして上手な選手はそれぞれのクラブから選抜し、横浜FCジュニアユーストレセンとして、随時別のトレーニングの場も設けます。このトレセンが来年から始めるユース(U-18)の母体とも成ります。

 このユース組織のテクニカルディレクターは水島武蔵(36歳)です。ご存じのように水島は10歳からブラジルへ留学、サンパウロFCで育ち20歳でプロ契約、帰国して日立(現レイソル)でプレー後、再びブラジルでコーチライセンスを取得して現在まで横浜をベースに小学生のチームを指導していました。横浜FCの理想に共鳴した水島は、これまでの経験とノウハウを生かしユース組織全体のテクニカルディレクターとして、また来年からスタートするユース(U-18)の監督して、ゼネラルマネージャー奥寺とトップの監督リトバルスキーとともに、ユース組織の確立と選手の育成に取り組みます。

横浜FCユース誕生

 横浜FCがJリーグ入りを目指して戦うこの2000年シーズン。クラブ組織の確立と横浜を中心とした地域社会との融合を目指して、まずはアマチュアチームの一部である、横浜FCのフットサルチームをスタートさせました。その数20チーム以上。これはそれぞれのチームに横浜FCのチーム名を冠し、大会も主催し、トップの応援とともに、自らもプレーすることをも楽しんでいます。
 そして5月25日三ツ沢球技場、JFL対大塚FCのゲーム前のお披露目を機に、いよいよユース組織をスタートさせます。
 この日のマッチのタイトルは「横浜FC ユース誕生」
 横浜FCとサッカーを核にして、多くの大人と子供が関わっていくコミュニティ。
 それが私たちの描く横浜FCの姿なのです。

参考資料

水島武蔵 略歴

1964年9月10日 東京生まれ
1970年     静岡県清水サッカー留学
1971年     サンパウロFCとプロ契約
1993年     ブラジルテクニカルライセンス取得
1994年     帰国後、横浜で「FCムサシ」の代表をつとめるかたわら、全国でサッカーおよびフットサルの指導を行う。

本人からのコメント

 横浜の市民クラブ、横浜FCにおいて下部組織のテクニカルディレクターとして、またユースの監督として、ブラジルでの経験を生かし情熱をもって、取り組んでいきたいと思います。そして、横浜FCとして個性と魅力のある組織作りにベストを尽くし、地元から誕生した横浜市の選手がトップチームで活躍すること、横浜FCからそうした選手を生み出すことを目標に、活動していきたいと思います。

横浜FCモデル ユース組織図