ドイツビールめぐり(その8)
再びデュッセルドルフに来たのは、もちろんアルトビールが第一の目的ですが、市内を縦横に走るトラムに乗るのも目的の一つでした。昨日に行ったツム・ユーリゲあたりが飲食店街ですから、そこを目標にトラムに乗ります。駅前のターミナルに続々とやってくるトラムの行き先を見ても解らないので適当に乗ります。やはり乗り間違えたようで、曲がりたい交差点を直進してしまいました(^^)。次の電停で下車、反対側のトラムに乗って戻ります。そん
な繰り返しを楽しんでいるうちに、目的の電停に着いたようです。この電停の一帯はトランジットモールになっていてクルマは入ってきません。思い思いに歩いている人たちはトラムが近づくと、さっと線路から避けるのです。中心街なのでトラムが到着する度に大勢の乗客が降り、乗っていきます。
中心街の電停は、飲食店が連なるボルカー通りに面していて、私のようなビール目当ての者には好都合です。デュッセルドルフで事前にチェックしていた店は昨日に行ってしまったので、適当に目星を付けて入ります。入った店は後日に調べたのですが、Haus
Brauerei“Zum Schlussel”(個人醸造所、鍵亭の意味)で、ビール通の方々には有名な店でありました。


強面のウェイターの強い視線には慣れました。もちろんアルトビールを頼みます。ランチタイムなので料理も注文、ドイツ語のメニューしかないので適当に注文したら、鳥のもも肉の料理が出てきました。ランチよりディナー向きのメニューでしたが、料理自体は美味しく、刺身のツマのように添えてあるフライドポテトをつまみにしてアルトを飲みます。昨日のツム・ユーリゲに対して、ちょっと甘みが強いような感じ。スッキリとした飲み口と飲み応えを両立させているのは、さすが本場のアルトです。よせば良いのに、美味さに任せて飲み過ぎてしまう。昼時なのにすっかり良い気分になってしまいながら、再びトラムを乗り継いでデュッセルドルフ駅に戻り、列車に乗ってケルンへ戻ってきました。
旅行も終盤を迎えましたが未だお土産を全然買っていません。これまで買ったお土産といえばイギリスで買った絵葉書とバス好きの友人へのイギリスのバス雑誌だけで、出発前に打ち合わせとか壮行会と称して飲み会を開催してくれた飲み友達には未だ何も買っていませんでした。残り時間も財布の中身も少なくなってきましたので高価なものは、気持ちだけでも買っていこうと思います。
ケルンの駅のホーム下にはショッピング街があって簡単な土産物は買えるようになっているので便利です。飲み友達の女性には定番中の定番「ケルンの水」を買おう。綺麗な箱に入っているのでお土産には最適です。男性にはビールの成分が入ったシャンプーを購入。茶褐色のシャンプーはビールの香りがするという代物で、飲兵衛には面白い土産になりそうです。
列車の時刻が近づいてきました。あとはフランクフルト空港へ行って日本への飛行機に乗るだけです。時間の許す限りホーム下のカウンターでケルシュを飲みました。次にケルシュを飲むのは何時になるのだろう、面白かった旅行をふりかえりつつ、ケルシュを飲んだのでした。

ケルンからフランクフルトの途中に、ライン川の景勝地沿いに走る区間があります。ドイツに詳しい友人の勧めで、有名なローレライを挟む区間、コブレンツからマインツまでは各駅に停まる普通列車で車窓を眺めることにしました。コブレンツでIC527列車を降りて、普通列車に乗り換えます。運良く新型の2階建て車両が連結されていて、高い視点からライン川を眺めることが出来ます。
コブレンツでモーゼル川と分かれたライン川は深い谷をきざみながら、大きく蛇行を始めます日本でもライン下りと称して、あちこちにライン川がありますが、本物のライン川は雄大な流れと急斜面の組み合わせは、まさに大陸の河川の風格を漂わせています。そして崖の上に点在する古城とライン川を行き来する船舶、しばし時間を忘れて眺めてしまいます。同じく車窓を眺めていた子供連れのお父さんが話しかけてきました。「あれがローレライだよ」と教えてくれた場所はライン川が一番大きく蛇行しているところで、船の航行の難所です。日本ですと、「ライン川随一の景勝地、ローレライへようこそ」と野暮な看板を立てたドライブインが林立しそうな場所ですが、申し訳なさそうに1軒のレストランが建っているだけの、見事な風景の場所でした。
途中で何本かの特急列車に抜かれましたけど、ゆったりと景色を眺めるには普通列車が最高です。特急の倍くらいの時間をかけてマインツに着きました。ここまで来るとフランクフルト空港まであと少し、つまり私の旅行も終わりが近づいてきました。勤め帰りの人たちに混じってSバーンに乗ります。これがドイツ最後の列車になりました。夕暮れが近づいた駅に停まるたびに家路を急ぐ人たちが降りてゆきます。Inter
City Expressから始まったドイツの旅も最後は通勤客を乗せたSバーンで、この間に数多くの種類のビールを飲みました。バンベルグのラオホビア、ヴァイヘンシュテファンのヴァイスビア、ケルシュ、アルト、心に残るビールの数々・・・。飛行機の搭乗開始まで空港のバーで最後のビールを楽しむことにしましょう。時間の許す限り飲んで、機内では空港で買ったヴァイスビアの缶を開けます。全日空ですから機内の殆どは日本人。ドイツビールの最後の一滴を飲み干して、私のドイツ旅行が終わりました。