ドイツビールめぐり(その6)
またローカル列車で30分ほど揺られてデュッセルドルフDusseldolfに付きました。ライン川沿いの商業都市、という肩書きは私には全く関係なく、私のお目当てはもちろんデュッセルドルフ特産のアルトビールAlt
bierです。
アルトビールというのは濃色麦芽を使った赤褐色の上面醗酵ビールで、色合いから想像できるモルトの香りと、飲み応えと飲み口のバランスを取った美味しいビールです。シュレッサーSchlosserなどが有名な銘柄ですが、せっかくビアライゼと称してデュッセルドルフに来たのですから醸造所併設のレストランで飲むことにしましょう。目指したのは旧市街の市役所近くにあるツム・ユーリゲZum
Uerige、「奇人亭」という意味で、何でも初代が年がら年中不機嫌で笑ったためしがないからだそうですが、遥か彼方からビールを飲む為だけにこの地にやってきた私にとってはピッタリの店です。
駅前で頻繁にやって来るトラムをを眺めて小休止、本当はトラムに乗りたいのですが、もう夕方から夜に変わる頃で、間違って変な場所に連れて行かれても困るので、解りやすいUバーンに乗ってツム・ユーリゲを目指します。市庁舎を目印に行けば店はすぐ近く。街角に立っている店の前では地元の人たちがテーブルを囲んで飲んでいます。まだ寒い時期なのに酔狂なこと、自分を棚に上げて、そんな風に見てしまいます。酔っておしゃべりをしている人たちの脇を抜けてレストランに入りました。

店内から醸造釜などの設備が見えるところは、日本の地ビールレストランと同じ。そこで造られたであろうアルトを注文。先ほどのケルシュと似たような円筒形のグラス、量はちょっと多めの250ml。飲み干すと店員が新しいグラスを持ってくるのもケルシュと同じです。さっそく飲む。美味い!!。赤褐色のビールはモルトとホップの調和のとれた香り、色合いから想像できるコクと飲み易さを両立させた味、これは何杯でも飲める。飲み飽きない味です。
嬉しいことに英語のメニューがあったので料理の方も迷わずに注文できます。ビールに定番のソーセージなど想いのまま。これもなかなか美味い。さらにビールが美味い。コースターにチェックされた数が酔っぱらって解らなくなるぐらい飲んみました。一つの種類でこれだけお代わり出来るビールはさすがです。さすがに7〜8杯も呑むとお腹が膨れてきます。そうなったらグラスの下に敷いてあるコースターをグラスに乗せて蓋をします。これが「もう、いらないよ」のサイン。これで、先ほどから強い視線でお代わりを尋ねるウェイターは見向きもしなくなります。


良い気分で外に出ます。デュッセルドルフの小さな名物、ガス灯で妖しく照らされた街をブラブラ歩いて、もう一軒の醸造所レストランであるイム・フィクスヘ
ンIm Fuchschen(小狐亭)に向かいました。夜も更けて旧市街からも外れているので店内に居るのは地元のおじさまだけ。「コンバンワー」と酔った勢いで日本語で挨拶して席に座ります。テーブルは古いビア樽です。前のカウンターにはビールが入った木製の樽が置かれていて、直接そこからアルトビールが注がれます。これはツム・ユーリゲと同じで、似たような大きさのグラスに注がれたアルトは、ツム・ユーリゲよりは苦みが強いようですが、こちらも文句なく美味い。またしても飲んでしまう。3杯4杯と杯が進む。隣に座ったおじさん達のグループが話しかけてきたが、お互いに酔っているので意味も通じないし何を話したかも覚えていない。でもいつの間にか意気投合していたようで、乾杯し合ってまた飲む。ツム・ユーリゲと同じくらい飲んで、ますます妖しくなった足取りで、妖しい輝きを放つガス灯に導かれるようにして中央駅に戻ったのでした。
今夜の宿はケルンで予約しています。特急に乗れば30分程度で着きます。インフォメーションで予約して貰ったホテルは駅の裏手にあるものの、徒歩5分くらいの近くで便利な場所。チェックインしてシャワーを浴びて落ち着いたら、またビールが飲みたくなりました。そもそも先ほどまで居たデュッセルドルフとケルンという街はライバル関係で、ケルンに泊まるのに胃の中がアルトで満たされているというのはケルンに対して失礼であろう。訳の分からない理由を付けて散歩がてらホテルを出ました。
駅を抜けて大聖堂の前に行けば、有名なドーム醸造所Dom-Brauereiのレストランが在ることは知っていまたけど、そこまで歩くのは面倒なので、駅の途中に在った小さなバーに入りました。店はママと馴染みの客が一人だけ。当然ケルシュを頼みます。ケルシュの慣例に逆らってグラスは大きめの400ml、こんな店もあるようです。Reissendolfのケルシュでした。これもケルシュらしい、爽やかな飲み口の美味いビールでした。