ドイツビールめぐり(その1) 

平成14年の3月上旬、8日間のイギリスとドイツを廻ってきました。ドイツに行く目的はもちろんビールです。本場のドイツビールをしっかり味わってきたい、そんな想いで、イギリスからドイツへの飛行機に乗ったのでした。



機内で飲んだドイツビール
北ドイツのホップ風味の強いピルス

ドイツのフランクフルトまでは1時間半ほどの飛行時間、それでも軽食と飲み物のサービスが有ります。私が乗った便はルフトハンザの機体が使われていました。そうなるとドイツビールが飲める!。飲み物が配られている時にビールを頼むと、やはりドイツビールが出てきました。ホップの香りが効いたピルスで、4日間旅したイギリスに別れを告げて、ドイツに足を踏み入れたのだと実感したのです。

ビールを飲み、良い気分になってフランクフルトに着きました。ここからドイツの旅が始まります。ドイツの入国審査はパスポートを見せるだけでおしまい。。荷物を受け取り、DB(ドイツ鉄道)のフランクフルト空港駅Frankfurt Flughafen Fernbfに向かい、途中の両替所で2万円ほど両替して、DBの窓口に行ってジャーマンレイルパスの日付入りのハンコを貰って、となかなか忙しい。ホームに入るとすぐにICE825列車が入ってきました。これに乗ってWurzburg Hbfまで行き、そこでRB20367列車に乗り換えて本日の目的地であるバンベルグBambergに16時前に着く予定です。

ドイツの旅行はICEから始まりました。ICEとはInter City Expressの略で日本で言う新幹線のような存在、綺麗な車両が使われていて、当然食堂車も連結されています。車窓を眺めながらゆっくり飲みたいところです。さっそく食堂車へ向かいました。

食堂車には売店兼ロビーが併せて設けられていて、飲むだけの私はこちらでビールを買うことにします。まずサッパリとした苦味の効いたピルスを飲
んでのどの渇きを癒し、次に小麦ビールを頼みます。白く濁っているのは瓶の中に酵母が濾過されずに残っているからで、日本でもヘーファ・ヴァイツェンビールとしてお馴染みのスタイルです。列車は丘陵地帯を右に左にへとカーブして走って行きます。窓の外はドイツの大地と、たまに現れる小さな街、イメージとして持っていたドイツの風景が目の前に広がっています。

1時間半ほど走ってWurzburg Hbfに到着、ここからRB20367列車に乗り換えてバンベルグまで行きます。RBとはRegional Bahnの略で、要は各駅停車です。客層も先ほどまでのICEとは違い、買い物帰りのような地元のお客さんが乗っています。私の反対側の席には小さな子供を連れたお母さんが居眠り。遊び相手が居ないドイツ人の子供がしきりに私の方を眺めます。子供の相手をしつつ景色を眺めるとマイン川のゆったりとした流れ、小型のタンカーのような船が行き交っています。小さな集落に設けられた小さな駅にこまめに停まって、1時間ほどでバンベルグBambergに着きました。今日はここに泊まる予定です。


バンベルグ、戦災を受けなかったために中世からの街並みが現在でも残っているドイツのフランケン地方の古都です。あちこちに残るロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、バロック様式の建築物と、その間の迷路のような小路と広場はユネスコの世界遺産にも登録されています。

駅前の新しい街並みを歩き、運河Main-Donau-Kanalを渡り古い街並みへ入って行きます。バンベルグ観光のシンボル、レグニッツ川Regnitzの中州に立てられた旧市庁舎を中心に広がる地域が旧市街で、中世からの美しい街並みが広がっています。道すがら眺めた教会のような古い建物には彫刻が施されていて、数百年前に戻ったかのようです。

旧市庁舎の脇にある観光案内所に行って今晩の宿を紹介して貰います。私はドイツ語はサッパリですが何とかなりました。旧市街の真ん中のホテルを紹介して貰い、さっそくホテルに向かいます。旧市街のど真ん中、中心部の広場から少し入ったところにホテルは有りました。一見して数百年はこの地に建っていそうな古い建物でしたが、女主人に案内された部屋はミニキッチンまで付いた広々とした部屋で、窓から道路が見下ろせる雰囲気の言い部屋でした。部屋の床が大きく傾いているのはご愛敬でしょう。この部屋に即決し、荷物を下ろして街歩きに繰り出します。

街歩きは好きで、それが石畳の道路沿いに雰囲気の良い建物が並んでいるのですから最高です。街を見下ろす丘に建つ教会まで歩いて行きました。建ち並ぶ家のオレンジ色の屋根、教会からそびえ立つ尖塔、混在が一体となって美しい風景を造っています。やがて陽が落ちてきてました。そろそろ夕食に行きましょう。

バンベルグ、私が訪問地に選んだのですから、ビールは欠かせません。ここは燻製されたビール、ラオホビールRauchbierの特産地なのです。麦芽を乾燥させる際にブナのチップで燻製されたビールは、クセのある喉越しが印象的で2・3杯飲むと病みつきになるという。日本の地ビールでも、富士櫻高原ビールなどで稀に造っているところもあって、私もすっかり病みつきになっていました。そして、本場であるバンベルグにやってきたのでした。

バンベルグのあるフランケン地方はドイツワインで有名な場所ですが、ビールにも負けてはいません。バンベルグだけでも10ヶ所ほどの醸造所があって40種類のビールが造られているとか。それでも特産のラオホビールが造られているのはヘラー醸造所Brauerei Hellerとシュペチアル醸造所Brauerei Spezialの2ヶ所だそうです。私はヘラー醸造所のレストラン「シュレンケレラSchlenkerla」に行ってみました。

重いドアを開けて、薄暗い店内に入ります。ウェイトレスにグーテン・ターク(夕方だったのでグーテン・アーベントの方が良かったかな)と挨拶をして席に
着きます。でもウェイトレスが持ってきたメニューを見ても全く解らない。当たり前だけど、全てドイツ語で書いているのです。私のドイツ語の会話力なんて全くない。出発前まで「ドイツ語で1,2,3ってアン・ドゥ・トワだよね」なんて言っている始末で、往路の飛行機の中でドイツ語会話集で一夜漬けの勉強をして、簡単な挨拶を覚えた程度です。メニューのドイツ語を見ても解るわけがありません。その中でも解る単語がありました。Bierです。これは私でも解る。その項を見るとhellとかHefe-Weizenといった馴染みのある単語が並んでいる。その中の一つ、バンベルグ特産のRauchbierを注文しました。

2・3杯飲むと病みつきになると言うラオホビア。私は3口で病みつきになってしまいました。喉の奥をくすぐる薫製の香り、これが食欲を刺激するのです。しかしメニューが解らない。そこで必殺技!、ドイツ語の会話集に載っていた「貴女のお薦めの物をもらいたい」の項目を示して何とか注文します。持ってきた料理は、大きなチキンのもも肉を焼いたものにマッシュポテトが添えてあるボリュームたっぷりの料理で、ビールに合っている美味しい料理でした。ラオホビール他にバイエルン地方で人気の、Hefe-Weizen Bier、薫製麦芽と小麦麦芽を組み合わせたRauch Weizen Bier、定番のPilsなどを飲みます。どのグラスも500mlの大きさでボリュームたっぷり。美味い料理と美味いビールですっかり満足して、最後にラオホビールをもう1杯飲んで食事を終えました。再び会話集を取り出して「とても美味しかった、ありがとう」の項を読んで、多少のチップを添えて店を出ました。

部屋に戻ってシャワーを浴びてもまだ寝るには早い。ちょっと恐いけど夜の街歩きに出てみました。昼間見た旧市庁舎はライトアップされて、より一層の美しさを見せています。見上げれば満天の星空で、ちょっと冷たい夜風にあたっていると酔いも覚めてきます。もう一軒行く事にしましょう。ホテルの近くのビアレストランに入ってビールを頼みます。麦芽の香りが好ましいへルHells、バイエルンといえばのヴァイスビアWeiss-Bier、先ほどの店より小さ目のグラスに入れられて運ばれてきました。酔って適当に料理を注文したら、サラダの大盛りが運ばれてきたのは、ちょっと失敗でしたね。サラダを肴に周りの人達の会話を聞きながらドイツ初日の夜は更けてゆきました。

その2に続く
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