美少女電脳戦士”Hi Teck マイ”



第二話

イヤイヤ美少女電脳戦士


 日曜日の朝である。時計は10時をまわっているが、舞はまだベッドの中だ。

 「う、う〜ん」

舞は寝ぼけて布団を蹴飛ばす。全裸の身体が露わになった。何ヶ月か前、雑誌で一流のモデルは下着の線が身体につかないように全裸で寝ている

という記事を読んで以来、舞は裸で寝ているのである。

 ブィーンとパソコンが起動した。白く光っているモニターからアイが出てくる。アイはバグバグモンスターが現れなくても、たびたび舞の部屋にやって来る

のようになった。

 「舞ちゃんには、いっぱいご迷惑かけてますから・・・」

といいつつ、学校のコンピュータのデータを覗いてテストの問題を教えたり(オイオイ)、電話会社のサーバーに侵入して、携帯電話の通話料を

改変したり(それって犯罪じゃ!)、いろいろ舞の世話を焼いているのである。初めは舞も拒否をしていたが、だんだん受け入れるようになっていった。

 裕福な家庭で何不自由なく育った舞は基本的にお人よしである。自分の身に悲惨な状況がふりかかっていても(無理矢理、美少女電脳戦士を

やらされていることだヨ)、他人の不幸を目にすると心を痛めるタイプである。はっきりいってアイの行為は恩の押し売りだが、

自分が拒否をしたときに見せる悲しげな顔を見ると断りきれなくなるのだ。

 アイのほうも自分がどれだけ酷いこと(舞の恥ずかしい画像をネタに美少女電脳戦士をやらせている)をしているのか、ほとんど自覚症状がないので

ある。舞も彼女の行動に悪気がないことは感じられるので、なんとなく許しちゃっているのである。


 「舞ちゃん、お・き・て・く・だ・さ・い」

アイは舞の傍らに腰をおろすと、新婚の新妻のように耳元で囁いた。

 「まだ眠いよぉ・・・・・・・・・・・って!  アイちゃん、み、見ないでヨ!」

舞はシーツを手繰り寄せ胸を隠す。

 「あ、あの、ごめんなさい、でも、緊急事態なんです!」

アイは今にも泣き出しそうな顔をして、舞を見つめている。男なら、例え世界を敵に回しても守ってあげたいような表情だ。

緊急事態といえばただ一つ、あのおぞましいバグバグモンスターが現れたことを意味する。日曜日の爽やかな朝とは裏腹に舞の心は真っ暗になった。

「や!」

間髪いれずに舞は言った。どのみちコスチュームを引き裂かれたり、身体中に触手を這わせられたりという恥辱にまみれた戦いを

強いられるのはわかっていた。とにかく拒否をしたかった。

「舞ちゃん、お願いですぅ」

アイは切なげな顔で舞を見つめる。彼女の水晶のように澄み切った大きな瞳から真珠ような涙がぽろぽろこぼれおちた。

「舞ちゃんに救けてもらえなかったら、あたし、あたし・・・・」

アイの言葉は途切れ、顔を俯かせると声を押し殺すように泣き始めた。

「もお!そんな泣き方しないでよ!あたしが悪者みたいじゃない!行けばいいんでしょ!」

「舞ちゃん、ありがとうございます!」

アイは男なら悪魔に魂を売ってでも見たくなるような、天使の笑顔になった。

「じゃ、早速行きます!」

アイは舞の手をひいて、ネットの世界に入って行った。舞は一瞬目の前が真っ暗になったが、すぐに視界が開けた。

「あれ、前よりも何か早い・・・」

「はい、舞ちゃんとこ、ADSLになったから、データの転送速度が速くなったんですよ!うふ」

「うふ、じゃないわよ!早く服!」

ネットの中へは、人間の意識しか入る事ができない。当然、今の舞は全裸である。(ていうか、今日は舞は朝からスッポンポンである)

「はあい、それじゃバトルコスチュームセットアーップ!」

アイが叫ぶと舞の身体の回りに白い霧が現れ一瞬のうちにそれはナースの制服になった。

「あ、看護婦さんだあ」

ちっちゃな頃、看護婦になるのが夢だった舞は一瞬、顔がほころんだがすぐに憂鬱になった。

制服はライトピンクのスタンドカラータイプだが、スカートの丈が股下2cm、サイズを間違えているかと思うほど身体にフィットしている。

布地はシースルー一歩手前、ノーブラの乳首が透けて見えた。

そして股間がスースーする。舞はスカートの中に手をやる。白いパンストの中はパンツ無しだ。靴はキャンギャルが履くようなハイヒール。

「これじゃ、イメクラじゃないの!」

舞は叫んだ。頭にかぶったナースキャップだけが、妙にリアルだ。

ちなみにアイのコスチュームは舞が通う高校のセーラー服(夏服)姿である。どうもアイはこのコスチュームが気に入っているらしく

たいていの場合、このかっこうでいる。ただアイなりにアレンジをしていて、キュンと細いウエストを強調するかのようにセーラーの

丈が少し短い。スカートもけっこう短くしていて、そこからすんなり伸びた脚は眩しいくらいにキレイだ。


「バグバグモンスターの気配がします」

アイはそう言うと、透明アクリル板のようなモニターやキーボードを出現させると、バグバグモンスターのサーチを開始した。

モニターに写し出された画面が目まぐるしく切り替わる。そして一点を示し画面が止まった。

「見つかりました。さあ舞ちゃん行きましょ!」

アイは舞の手を掴むと、猛スピードで飛びはじめた。

「ちょ、ちょっとまってよ!」

舞は叫んだ。なにせノーパンの上、股下2cmである。ちょっと風で煽られたり、かがんだりしただけで、スカートの中が丸見えである。

必死でスカートの前をおさえているが、片手はアイに掴まれているので、お尻は全開で丸見えであった。

「やだあ!もう!」

舞の悲痛な叫びは誰にも聞き入れられることはなかった。


「いたわ!」

5分ほど飛んだであろうか。アイが緊迫した面持ちで言った。

何か白いモヤモヤした物体が見えた。2人が近づいていくと、それは人の形をしていた。そいつは顔を2人に向ける。

度の強いメガネともしゃもしゃ頭をした、絵に描いたようなオタク顔である。そしてなぜか白衣を着ている身体も2人に向けた。

「いやあ!」

舞は思わず顔を伏せた。白衣の下は全裸であった。しかし股間の部分はモザイクがかかっていた。流石、ネットの世界である、

画像処理は完璧だ。

「アイツがバグバグモンスターです。舞ちゃんお願い!」

アイは、美少女電脳戦士の必須アイテム、ワイヤレスマウスを手渡そうとした。

「やだやだやだやだやだやだ!もう帰る帰る帰る帰る帰る帰るうぅ!!」

舞は子供みたいに脚をバタバタさせて駄々をこねた。

「あんな気持ち悪いのと戦いたくないぃ!」

次の瞬間、バグバグモンスターの口からカメレオンのように舌が伸び、それが無数に枝分かれして、アイの身体をとらえた。

「や〜ん」

アイにまとわりついている、舌がヌルヌルした液体を分泌しはじめた。

それがアイが着ているセーラーに染み込み下着が透けてみえた。

「ああ!アイちゃん下着つけてるぅ!ずっるうい!」

舞は非難がましく叫んだ。(って怒るポイントがちがうぞ、舞)

「はあはあはあ、ああん」

アイの声がだんだん甘美なものになっていく。プログラムの集合体であるアイはコンピューターウイルスの塊のようなバグバグモンスターの愛撫に

100%影響をうけてしまう。こうなってしまうとアイは抵抗する術がない。

分泌している液体は衣服を溶かしてしまうことができるようである。舌がアイの身体を這い回るたび、着ているセーラーが

紙のようにとけてなくなっていく。露わになった胸や股間やお尻に舌が集中し、微妙な 振動を与えはじめた。

セーラーは全部はなくならず絶妙なバランスでアイの身体に残っている。このモンスター、間違いなく着衣マニアだ。

「あひい!ああん、らめぇええええ!」

アイは身体をのけぞらせピクンピクンさせ絶頂に達した。舞は思わず見入ってしまった。

見た目は超絶美少女のアイである。そんな彼女がエッチなことをされてイッテいる図というのは

女の子の舞でもかなり興奮してしまう場面だ。

「やだ、あたしったら・・・のんきに見てる場合じゃないわ!」

舞は、アイが落としたワイヤレスマウス拾いあげると、クリックしてアプリケーションを起動させる。

”撃退君Ver.1.52”が立ち上がった。ワードパットが開き”検索時間が15%あっぷ(当社比)”と表示された。

「んなことどうでもいいの!」

舞はワードパットを閉じると、アプリを操作した。画面がめまぐるしく動きだし、検索を開始した。

「きゃあ!いや!放して!」

アプリの操作に気をとられた一瞬であった。バグバグモンスターは舞を襲い始めた。

舞の身体にモンスターの無数の舌が絡みつく。そしてすぐさまぬるぬるした液体を分泌しはじめた。

「いやあ!気持ち悪いよお!」

分泌液によって舞の着ているナースのコスチュームはトイレットペーパーのように溶けてなくなってしまった。

ナースキャップと白のパンスト(オールスルー)とハイヒールだけになってしまった。パンストは濡れて肌になじみ、

まるで穿いてないみたいだ。モンスターは舞の胸や股間に舌を這わせ愛撫を始めた。

「ひい!や、やめてえ!はうう、お、お尻はだめえ」

舞は必死に抵抗するが、強烈な快感が彼女を襲う。こままじゃモンスターのなすがままだ。

そのときだ。”撃退君Ver1.52”がモンスターをロックオンした。舞はやっとの思いでデリートキーを押した。

バグバグモンスターは動きを一瞬止めたかとおもうと、ブロックくずしのように消失した。

「はあはあ、やったわ・・・あ、アイちゃんだいじょうぶ?」

舞はアイの傍らに駆け寄った。アイは絶頂の余韻で恍惚の表情であった。

「ったくう!何やってんのよお!アイのぶぁかあ!」

舞はアイの頭をゴンと殴った。

「ほら!アホ面こいてないで!さっさとかえるわよ!」

「はあい、わかりましたあ」

アイは甘美な夢から覚めやらぬ様子であったが、舞の手をとると来たときと逆の手順で戻って行った。


「舞ちゃん、バグバグモンスターをやっつけてくれて、ありがとうございます。次もこの調子でがんばってくださいね」

アイは感謝の笑顔を満面にたたえて言った。

「ええ!次もって何よ!あたしもう知らない!あんな恥ずかしい思いするのはもうたくさん!!」

朝(昼近く)起こされてすぐにバグバグモンスターのもとへつれて行かれた舞は今だに裸のままであった。

そんなことはかまいもせず、フテりまくった。

「でもぉ・・・」

「盗み撮りした写真だったら勝手に配信でも何でもすればあ!もうどうでもいいよ!」

舞は怒りにまかせて叫んだ。

「あのぉ、これ・・・舞ちゃんに・・・」

「何よう!」

アイはバレンタインデーに好きな男の子にチョコを渡す時のように可愛らしく上目使いで預金通帳を渡した。

舞は不審そうな顔で中を開く。

「な、何!こんなにいっぱいのお金!」

舞は驚愕した。残高が100万を越えていたのだ。

「どうしたの!これえ!」

驚く舞を尻目にアイはパソコンに駆け寄り起動させ、ひとつのサイトを表示させた。

「実はあ、前回の舞ちゃんの活躍が素晴らしかったのでえ、ホームページにして公開してみたんですぅ。

そしたら、ものスゴイ反響で!バナー広告もいっぱいついて。うふ」

舞が思わずサイトを見てみると、あの悪夢のようなあの戦いが画像付でストーリー仕立てで公開されていた。

「そ、そんなあ・・・」

舞は、裸のまんま、その場でフリーズし続けるのであった。(風邪ひくぞ)

「めでたし、めでたし、ですわね。うふ」

女神のような微笑でアイは満足そうにつぶやいた。

第2話 完

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